仮面ライダーカードには当たりもありました。

 ラッキーカードと名付けられた1枚が出たら封筒に入れ、カルビーに送るとカードを保存するアルバムがもらえたのです。

 当たりですから、そう簡単には出ません。ランダムに入っているので何袋買っても永遠に出ないこともあり得ます。

 初めて当たった時は天に上るほどうれしく、郵便で届くアルバムを首を長くして待ったものでした。1番から順番どおりに持っているカードを収めていくと、コレクションは一段と光り輝きます。もちろんコンプリートできるはずもなく、持っていない番号は空けたまま待っていたり、たまにカードの並べ替えをするのも楽しい時間でした。

 

 ある日アルバムに入れたカードを学校に持って行き、友達に見せたことがあります。

 まだクラスにカードを集めている子がいない頃でした。何人かは興味を持って集まってきましたけど、そこに成績優秀な子はおらず、なんとなく冷たい視線を受けたような気がしました。

 僕としては集めるのが最高に楽しく、カッコいいカードを友達に見せびらかしたい一心でしたけど、どこか砕け散った感がありました。

 

 小学校高学年にしたら、オレは幼稚なことをしているのかな?

 

 羞恥心のようなものがふと頭によぎります。

 学校の成績が良くない僕に現れたコンプレックスでした。

 日が経つにつれ、1人また1人と男の子はカードを集め始めます。頭のいい子からそうでない子までが、何かに憑りつかれたようにカード集めに熱中するのにそう時間はかかりませんでした。

 たかがカード集め。されどカード集め。

 僕にとっては自分の先見の明、もっと大袈裟に言えばアイデンティティに自信を持てる出来事となりました。

 次回に……まだ続きます(苦笑)。

 

 ふんわり静かに・・・。