アメリカの動物行動学者ジョン・バルパス・カルフーンが1960~70年代にかけて行った「Univerce25」について6回に分けて説明してきました。

 衣食住が完璧に揃い、天敵のいない極上空間に放たれたマウスはどのように暮らし、数を増やしていくのか。

 結果は極上どころか最悪の修羅場となり、この世のパラダイスは消滅したのです。

 

 ここからは実験の過程と結果を、人間界と比較しながら考えていきます。

 僕の知能レベルの考察ですから勘違いや誤りの山になると思いますけど、よろしければお付き合いください。

 

 実験の場となったのは中央に広場、壁には巣作りに適した個室が縦に連なる正方形のケージでした。サイズは四方が2.5メートル高さ1.4メートルで、マウスに用意されたベスト環境は生存スペースにのみ、制限があるということです。

 これを人間に置き換えると、太古から21世紀の今にかけて人は住める場所という場所に住んできたと僕は思っています。そこに環境の優劣はあっても人は地球の大地に目一杯広がり、載っているのです。私たちにもスペース的な限界はあり、実験ケージのマウスと人間は同じ状況にあると言っていいでしょう。

 ケージでは食べ物や水、巣作りの材料が常に満たされ、掃除もなされて病気も防止されます。貧困国に生まれた人々は食糧難に直面し、医療・衛生面でも行き届かず、病気や疫病が蔓延する地域も少なくありません。

 天敵がいないという点ではマウスと人は同じ環境にいます。

 

 ケージに放たれたマウスは子を順調に増やしていきました。そして当初の数の10倍になったとき、オス同士が縄張り争いを始めます。

 人間の歴史もまた闘争の歴史です。相手の領土を奪い、自分の土地を拡大するための地域紛争や世界大戦を過去から今日まで飽くことなく繰り返しています。

 自分の土地を守るためであろうと、闘いに正義も方法も問われることはありません。

 どんなに非人道的であっても勝ち残った国や人は栄華を誇り、敗れた国は引き下がる。

 ただそれだけです。            

                  ――次回へ続く――

 

 ふんわり静かに・・・。