「銀河鉄道の夜」は私の卒論のお題でした。
だから、思い入れの強い作品のひとつですし、大好きな作品のひとつです。
以下、あらすじです。
主人公のジョバンニがケンタウルス祭の日に、友人と思っていたカンパネルラがジョバンニをいつもからかう人たちと一緒に行動しているのを見てショックを受ける。
仕方なく、ジョバンニはひとりで祭りに出掛け、天気輪の柱の下で横になる。そして、そこから銀河鉄道に乗り、カンパネルラと一緒に旅をする。
とにかく、宮沢賢治の表現が好きです。
「天の川の形はちょうどこんななのです。このいちいちの光るつぶがみんな私どもの太陽と同じようにじぶんで光っている星だと考えます。私どもの太陽がこのほぼ中ごろにあって地球がそのすぐ近くにあるとします。みなさんは夜にこのまん中に立ってこのレンズの中を見まわすとしてごらんなさい。こっちの方はレンズが薄いのでわずかの光る粒即ち星しか見えないのでしょう。こっちやこっちの方はガラスが厚いので、光る粒即ち星がたくさん見えその遠いのはぼうっと白く見えるというこれがつまり今日の銀河の説なのです。」
「あああの白いそらの帯がみんな星だというぞ。 ところがいくら見ていても、そのそらはひる先生の云ったような、がらんとした冷いとこだとは思われませんでした。それどころでなく、見れば見るほど、そこは小さな林や牧場やらある野原のように考えられて仕方なかったのです。そしてジョバンニは青い琴の星が、三つにも四つにもなって、ちらちら瞬き、脚が何べんも出たり引っ込んだりして、とうとう蕈のように長く延びるのを見ました。またすぐ眼の下のまちまでがやっぱりぼんやりしたたくさんの星の集りか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。」
「銀河鉄道の夜」の最後は、カンパネルラが友達を助けるために川に入り、行方不明になってしまいます。カンパネルラのその後を思わせる描写も、途中に入っています。
カムパネルラは、なぜかそう云いながら、少し顔いろが青ざめて、どこか苦しいというふうでした。するとジョバンニも、なんだかどこかに、何か忘れたものがあるというような、おかしな気持ちがしてだまってしまいました。
ジョバンニが乗っている銀河鉄道の世界は、死語の世界だという説があります。
論文を書いていた当時の私も、そうだと思っていました。
しかし、今は少し違います。
「どうしてって、来ようとしたから来たんです。ぜんたいあなた方は、どちらからおいでですか。」 ジョバンニは、すぐ返事しようと思いましたけれども、さあ、ぜんたいどこから来たのか、もうどうしても考えつきませんでした。カムパネルラも、顔をまっ赤にして何か思い出そうとしているのでした。「ああ、遠くからですね。」鳥捕りは、わかったというように雑作なくうなずきました。
「これは三次空間の方からお持ちになったのですか。」車掌がたずねました。「何だかわかりません。」もう大丈夫だと安心しながらジョバンニはそっちを見あげてくつくつ笑いました。「よろしゅうございます。南十字へ着きますのは、次の第三時ころになります。」車掌は紙をジョバンニに渡して向うへ行きました。
ここだけ見れば、確かに死語の世界かもしれないと思いますが、次の文章を今読んでみると、もっと現実的な世界だったのではないかと思いました。
「おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符だ。天上どこじゃない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれぁ、なるほど、こんな不完全な幻想第四次の銀河鉄道なんか、どこまででも行ける筈でさあ、あなた方大したもんですね。」
この世界(宇宙)には、たくさんの次元があるかもしれないと言われています。
そして、それぞれの世界の構成物質は違っていて、それぞれの世界のルールがある。
私たちは、その次元を越えることは決してできないのだそうです。
この事を知ったのは、科学にはまって科学雑誌を読み漁っていた4~5年前です。
はたして、宮沢賢治がそれを知っていたのかわかりませんが、少なくてもブラックホール(物語の中でも「石炭袋」という名で出てきます)が、時間の感覚を狂わせ、別次元の入り口になりうることは知っていたような気がします。
どれをとっても、不思議な宮沢賢治の世界。
秋の夜にじっくり読みたい一冊です。
この本が、誰かにとっての大切な1冊になりますように☆ミ
銀河鉄道の夜
English:銀河鉄道の夜 The Night of the Milky Way Train (ラダーシリーズ Level 2) https://www.amazon.co.jp/dp/4896840283/ref=cm_sw_r_taa_uTRfybTZX82ZP
だから、思い入れの強い作品のひとつですし、大好きな作品のひとつです。
以下、あらすじです。
主人公のジョバンニがケンタウルス祭の日に、友人と思っていたカンパネルラがジョバンニをいつもからかう人たちと一緒に行動しているのを見てショックを受ける。
仕方なく、ジョバンニはひとりで祭りに出掛け、天気輪の柱の下で横になる。そして、そこから銀河鉄道に乗り、カンパネルラと一緒に旅をする。
とにかく、宮沢賢治の表現が好きです。
「天の川の形はちょうどこんななのです。このいちいちの光るつぶがみんな私どもの太陽と同じようにじぶんで光っている星だと考えます。私どもの太陽がこのほぼ中ごろにあって地球がそのすぐ近くにあるとします。みなさんは夜にこのまん中に立ってこのレンズの中を見まわすとしてごらんなさい。こっちの方はレンズが薄いのでわずかの光る粒即ち星しか見えないのでしょう。こっちやこっちの方はガラスが厚いので、光る粒即ち星がたくさん見えその遠いのはぼうっと白く見えるというこれがつまり今日の銀河の説なのです。」
「あああの白いそらの帯がみんな星だというぞ。 ところがいくら見ていても、そのそらはひる先生の云ったような、がらんとした冷いとこだとは思われませんでした。それどころでなく、見れば見るほど、そこは小さな林や牧場やらある野原のように考えられて仕方なかったのです。そしてジョバンニは青い琴の星が、三つにも四つにもなって、ちらちら瞬き、脚が何べんも出たり引っ込んだりして、とうとう蕈のように長く延びるのを見ました。またすぐ眼の下のまちまでがやっぱりぼんやりしたたくさんの星の集りか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。」
「銀河鉄道の夜」の最後は、カンパネルラが友達を助けるために川に入り、行方不明になってしまいます。カンパネルラのその後を思わせる描写も、途中に入っています。
カムパネルラは、なぜかそう云いながら、少し顔いろが青ざめて、どこか苦しいというふうでした。するとジョバンニも、なんだかどこかに、何か忘れたものがあるというような、おかしな気持ちがしてだまってしまいました。
ジョバンニが乗っている銀河鉄道の世界は、死語の世界だという説があります。
論文を書いていた当時の私も、そうだと思っていました。
しかし、今は少し違います。
「どうしてって、来ようとしたから来たんです。ぜんたいあなた方は、どちらからおいでですか。」 ジョバンニは、すぐ返事しようと思いましたけれども、さあ、ぜんたいどこから来たのか、もうどうしても考えつきませんでした。カムパネルラも、顔をまっ赤にして何か思い出そうとしているのでした。「ああ、遠くからですね。」鳥捕りは、わかったというように雑作なくうなずきました。
「これは三次空間の方からお持ちになったのですか。」車掌がたずねました。「何だかわかりません。」もう大丈夫だと安心しながらジョバンニはそっちを見あげてくつくつ笑いました。「よろしゅうございます。南十字へ着きますのは、次の第三時ころになります。」車掌は紙をジョバンニに渡して向うへ行きました。
ここだけ見れば、確かに死語の世界かもしれないと思いますが、次の文章を今読んでみると、もっと現実的な世界だったのではないかと思いました。
「おや、こいつは大したもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符だ。天上どこじゃない、どこでも勝手にあるける通行券です。こいつをお持ちになれぁ、なるほど、こんな不完全な幻想第四次の銀河鉄道なんか、どこまででも行ける筈でさあ、あなた方大したもんですね。」
この世界(宇宙)には、たくさんの次元があるかもしれないと言われています。
そして、それぞれの世界の構成物質は違っていて、それぞれの世界のルールがある。
私たちは、その次元を越えることは決してできないのだそうです。
この事を知ったのは、科学にはまって科学雑誌を読み漁っていた4~5年前です。
はたして、宮沢賢治がそれを知っていたのかわかりませんが、少なくてもブラックホール(物語の中でも「石炭袋」という名で出てきます)が、時間の感覚を狂わせ、別次元の入り口になりうることは知っていたような気がします。
どれをとっても、不思議な宮沢賢治の世界。
秋の夜にじっくり読みたい一冊です。
この本が、誰かにとっての大切な1冊になりますように☆ミ
銀河鉄道の夜
English:銀河鉄道の夜 The Night of the Milky Way Train (ラダーシリーズ Level 2) https://www.amazon.co.jp/dp/4896840283/ref=cm_sw_r_taa_uTRfybTZX82ZP