ある出来事がきっかけで、外科医をやめた小鳥遊 優(たかなし ゆう)は、教授の薦めで天医会総合病院に勤める。
そこで、かなり変わった副院長であり統括診断部長の天久 鷹央(あまく たかお)と出会う。
「「年齢がなんの関係があるんだ?」鷹央は心から不思議そうに小首をかしげた。」(41頁)
鷹央は、空気を読むことができない。相手の気持ちを汲み取ることも苦手。一人のキャラクターと考えればミステリー小説の主人公にはありがちな設定とも言えるかもしれない。
しかし、この個性には名前がついていた。
「『空気を読め』『相手の気持ちを考えろ』
自分が鷹央にかけた言葉が耳によみがえる。なんてことを言っていたのだろう。鷹央にはそれができなかったというのに。
鷹央が細いあごをぐいっと持ち上げると、自虐的な笑みを浮かべる。
「そうだよ。私はアスペルガー症候群だ」」(110頁)
アスペルガー症候群。
表情や身ぶりなどによる日言語的な対人能力の障碍。脳の情報処理機能の不全による発達障碍。(私は人の個性に「障害」と使うことは苦手なので、「障碍」と書きます。どちらも読み方はおなじです。)
鷹央はアスペルガー症候群らしい。さらに、「サヴァン症候群(重度の知的障碍があるにもかかわらず特定の分野でのみ異常な才能を発揮することがある)」でもあるらしい。なかなか、特殊な事例だ。
「(中略)私はこの特徴を『疾患』だなんて思ったことはない。これは『個性』だ。たしかに、この世の中は多数派にすごしやすいようにできている。だから私は世の中でいろいろ不便を感じることはあるけど、だからって、私はこの『個性』を捨てたいとは思わない。この『個性』は私の一部なんだ。」
(115頁)
この発言をする前は、鷹央は空気の読めない不思議な女の子(27歳だが、見た目は若い)だった。
それが、この発言をした後は「確かに空気は読めないがそれがどうした、私はおまえよりはるかに知能が高いぞ」と強烈な個性を出していく。ここから鷹央は生き生きと物語の中で動いていく。
内容は、洗脳を医学的に作り出した犯罪のお話。興味深いのはその中に、自己洗脳も入るということ。
作者はお医者さんだけあって、専門的な描写はとっても説得力がある。
そして、ストーリーは面白い。
だからこそ、欲を言えばもっと人間描写が深ければとっても面白いだろうなと思ってしまう。
沖田医師と娘のお話は、もっと深堀して過去のエピローグが入れば、グッと入ってくるものがあるはず。
今後に期待です!
この本との出会いが、誰かにとって素敵な出会いになりますように☆ミ
スフィアの死天使: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)
そこで、かなり変わった副院長であり統括診断部長の天久 鷹央(あまく たかお)と出会う。
「「年齢がなんの関係があるんだ?」鷹央は心から不思議そうに小首をかしげた。」(41頁)
鷹央は、空気を読むことができない。相手の気持ちを汲み取ることも苦手。一人のキャラクターと考えればミステリー小説の主人公にはありがちな設定とも言えるかもしれない。
しかし、この個性には名前がついていた。
「『空気を読め』『相手の気持ちを考えろ』
自分が鷹央にかけた言葉が耳によみがえる。なんてことを言っていたのだろう。鷹央にはそれができなかったというのに。
鷹央が細いあごをぐいっと持ち上げると、自虐的な笑みを浮かべる。
「そうだよ。私はアスペルガー症候群だ」」(110頁)
アスペルガー症候群。
表情や身ぶりなどによる日言語的な対人能力の障碍。脳の情報処理機能の不全による発達障碍。(私は人の個性に「障害」と使うことは苦手なので、「障碍」と書きます。どちらも読み方はおなじです。)
鷹央はアスペルガー症候群らしい。さらに、「サヴァン症候群(重度の知的障碍があるにもかかわらず特定の分野でのみ異常な才能を発揮することがある)」でもあるらしい。なかなか、特殊な事例だ。
「(中略)私はこの特徴を『疾患』だなんて思ったことはない。これは『個性』だ。たしかに、この世の中は多数派にすごしやすいようにできている。だから私は世の中でいろいろ不便を感じることはあるけど、だからって、私はこの『個性』を捨てたいとは思わない。この『個性』は私の一部なんだ。」
(115頁)
この発言をする前は、鷹央は空気の読めない不思議な女の子(27歳だが、見た目は若い)だった。
それが、この発言をした後は「確かに空気は読めないがそれがどうした、私はおまえよりはるかに知能が高いぞ」と強烈な個性を出していく。ここから鷹央は生き生きと物語の中で動いていく。
内容は、洗脳を医学的に作り出した犯罪のお話。興味深いのはその中に、自己洗脳も入るということ。
作者はお医者さんだけあって、専門的な描写はとっても説得力がある。
そして、ストーリーは面白い。
だからこそ、欲を言えばもっと人間描写が深ければとっても面白いだろうなと思ってしまう。
沖田医師と娘のお話は、もっと深堀して過去のエピローグが入れば、グッと入ってくるものがあるはず。
今後に期待です!
この本との出会いが、誰かにとって素敵な出会いになりますように☆ミ
スフィアの死天使: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)