持って後10年か? | 社老士の社労士業界徘徊記
安倍総理大臣はいよいよTPP参加に踏み切るみたいです。TPPというと農業問題だけみたいに思われてるむきもありますが、実際にはもっと各方面に大きな影響が出ます。

士業制度もそのひとつといったら??って思う人もあるかも・・・いや、大部分の士業者がそうでしょうね。

なぜ、士業が影響を受けるのかというと、TPPに含まれているISD条項と呼ばれるもののためです。これは加盟国の制度によって、他の加盟国の企業の活動が制限され、不利益をこうむった場合、その制度を設けている国に対して損害賠償を請求することが出来るというものです。
既得権やさまざまな規制は、非関税障壁としてISD条項で訴えられる対象になる可能性が高くなります。士業と言うのは既得権の塊みたいな制度ですから、例えばアメリカのコンサルタント会社が特許の登録などに関する事業を行なおうとすると弁理士法に抵触することが考えられます。土地の登記等を行なう場合には司法書士法との関係が問題になると考えられます。

こうなると、コンサルタント会社は企業活動を制限され、不利益をこうむることになるので、これら士業制度は自由な活動を邪魔する非関税障壁だとして訴えることが出来るのです。

この結果アメリカにも同じ制度がある弁護士、公認会計士はともかく、その他の士業は独占業務を奪われ、その名前を使うことが認められるだけの名称独占資格とされてしまうでしょう。

名称独占資格の場合、たとえば中小企業診断士は現在でも名称独占資格ですので、無資格者が診断士と名乗ることは出来ませんが、診断士と同じ仕事(コンサルタントなど)をすることは違法とはなりません。

このため士業の大部分が名称独占資格となり、今まで法律で制限されていた業務が自由に行なえるようになると、法律知識の不足している者へ仕事を依頼した結果、充分な仕事が行われないことで不利益をこうむるということが起こってしまいかねません。

また、士業者もこのような「無資格者」との競争を強いられることで充分な収益を上げることが出来なくなってしまうことが考えられます。

社労士の場合は・・・もってあと10年かも。