美容師という仕事を私はよく知らない。
どんな資格なのか、
資格を取って就労してから、
どれだけ下積みしなければ
客を取らせてもらえないのか。
ただ、よく見た光景、聞いた話だと
最初はシャンプーや掃除など見習い。
お店を閉じてから残ってひたすら練習。
給料も安く、残業代も出ない。
とにかく過酷な印象だ。
今はだいぶ改善されたと聞くが、昔はそういうものだったらしい。
アイツは美容専門卒業してからすぐに、
モヒカンの元カリスマヤンキー店長の元働いて、
頭角を表した
ということだったんだろう。
私が大学卒業してから、アイツに何度か髪を切ってもらったが、
いずれもお店ではなく、
アイツの実家、3階の部屋だった。
小学生の頃から変わらない部屋。
部屋の壁には、
憧れのX Japanのhideのポスター
セックス・ピストルズのシドヴィシャスのポスター
等が貼られていた。
お店ではなかったのは、
休みの日に練習台としてタダで切ってもらってたから?
理由はよく覚えてない。
その頃、アイツは、付き合っていた一見ボーイッシュな地元の同級生Tと別れたと言っていた。
理由は、
仕事と私どっちが大事なの!?
と聞かれ、
仕事
と答えたからだという。
比べるものじゃないのだが、その頃はまだ20代中頃。
同級生Tの意外な乙女な一面に驚いたのを覚えている。
が、今にして思えば、、、
そんなアイツは、
病気で働けなくなったという叔母のお店、美容室を手伝うべく
生まれ故郷の北海道札幌市に1〜2年帰ることになった。
仲の良い同級生が何名かで空港まで見送りに行ったという。
その頃、私はというと、、、
人生迷子になっていて。
風俗業界に就職したり、
地元の友達や大学の友達と遊び呆けて、
今さえ楽しければ良い日々を過ごしていた。
さらに数年経ち、
今の職種と出会った頃。
地元の同級生Sが、地元で飲食店を始めた。
同級生Sは、人間関係のバランス感覚に非常に優れ、大雑把なようで、誰とでもちょうど良い距離感が取れる。
同級生Sとは、よく飲みに行ったり車で温泉行ったり友達の家に遊びに行ったりした。
思い出もそれなりにたくさんある。
年末もそいつとよく過ごした。
そんな同級生Sの店には、多くの地元の同級生や先輩後輩など訪れた。
何より、飯も酒も美味かった。
あっという間に人気店になった。
仕事帰りに店を覗けば、誰かしらが地元の友人がいた。
アイツもその店でよく飲んでた。
アイツがいつ、北海道から地元に帰ってきたのか、正直覚えてない。
気づいたら帰ってきてて、みんなで飲みに行ったのは覚えているが、
北海道札幌市の親族のお店のことは、さほど語らずだった。
今にして思えば、
いつもなら、大袈裟にエピソードを面白おかしく話す奴だが。。。
アイツはいつも、触れて欲しくないことは適当にはぐらかして、
気に入らないことや核心突かれそうになると、
相手を攻撃的なほど弄り、見下し、
押さえつけることがあった。
触れて欲しくない何かがあったのだろう。
そういえば、その数年の間、
数ヶ月、
顔を誰にも見せない時期もあった。
誰かが
どこ行ってたんだよ!
と聞けば、
美容師の出張でしばらく台湾に行っていたと話していたこともあったっけな。
台湾で借りた部屋にはゴキブリがたくさんいて、、、
って話を盛りに面白おかしく話していたのは覚えている。
あの話、
今にして思えばなんだったんだろうな。。。
30歳手前の頃。
同級生Sのお店に足繁く通い、
お店閉店後の深夜からみんなで地元のレストランバーに飲みに行くというのを
毎月何回も繰り返していた。
アイツと会う日もあれば会わない日もあったが、
次第に、アイツの話の内容と態度と酒の頻度が比例して大きくなっていった。









