【小説】オーバーロード 半森妖精の神人 その2 | ぐれむりんの気ままなブログ

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丸山くがねさんの作品

オーバーロード再読です。

今回は、書籍版の第16巻

半森妖精の神人[下]です。

 

オーバーロード史上、最も低評価のレビューが吹き荒れた前巻「半森妖精の神人[上]」の結末が描かれる下巻です。

 

上巻の不完全燃焼を巻き返す圧巻の面白さっ!

と高評価される下巻ですが、個人的には、過去の1~14巻に比べるとイマイチ面白味に欠ける展開のお話でした。

 

一部の熱心なファンは、下巻中盤から始まる「エルフ王との戦い」「法国の切り札、絶死絶命(半森妖精の神人)との戦い」を絶賛していましたが、ライト読者の僕は、今回のサブタイトルにもなっているキャラ「絶死絶命」への思い入れが無い……って言うか?

そもそも、今回の「エルフ王」は過去巻にはほとんど登場していない(僕が気が付いてないだけかも?)し、「絶死絶命」も謎の人物だし(僕が気が付いてないだけかも?)、そもそも「法国」自体が良く分からない国(僕が気が付いてないだけかも?)だし……。

ちなみに、ウィキペディアによると、絶死絶命の本名は「アンティリーネ・ヘラン・フーシェ」と書かれていますが、それすら知らんかった……って感じです。

もしかすると、今までのお話(1~14巻)の中の「エルフ国」「法国」関連のお話をまとめて読み返すと(過去巻に飛び飛びバラバラにお話が散りばめられてますので)感想が変わるかもしれません。特に「法国」は組織自体がマニアックで分かり難い国に感じてしまっているので。※改めて第1巻から読み返してみようと思います。

 

ってことで、今回の「半森妖精の神人」の総評としては、個人的にはファンから低評価だった上巻~下巻中盤までのチンタラ・ダラダラ・グダグダな日常パートが最も面白かった、かな?

 

半森妖精の神人[下]

第4章 村での生活

第5章 横殴り

 

第4章は、上巻の続きで、ダークエルフの村にやってきたアインズ一行が正体(魔導国&アンデッド)を隠した状態で村人と交流し、アインズがダークエルフの薬師に弟子入りする……ってそんなお話が続きます。

ただ……今回の「ダークエルフ村」のお話は、とにかく中途半端ですね。

過去の「リザードマン編」「王国編」「ドワーフ編」「聖王国編」のような、感情移入できる愛され新キャラも登場しないし、伏線(伏線回収も含め)となるようなエピソードも無いし、まさに、ページ稼ぎのための無駄話……って感じ。

 

まあ、次巻以降に再登場するかもしれませんが。

 

第5章は、いよいよ(?)エルフ王との戦い絶死絶命との戦いが描かれますが、正直、こちらも中途半端……と言うか、ライト読者には分かり難い戦いだった気がします。

※バトル自体は面白いので満足の内容です。

 

先ず、「エルフ王との戦い」は、本来は戦う予定ではなかったエルフ王と偶然遭遇してしまったことで急遽始まるバトルです。

「エルフ国」と「法国」の戦争※法国がエルフ国の王城に進攻していますのゴタゴタに乗じて、「エルフ国の秘宝」を盗み出そうとしたアインズ一行の前にエルフ王が登場。

 

エルフ王は、王とは名ばかり(?)の独裁者で、自分以外のエルフ(弱者)に存在価値はなく、ただ、優秀な子孫(自分の子ども)を残す為の道具って、そんな、フェミニストの天敵のような性格の王様です。

 

王城でアウラ&マーレ(アインズは不可視化の魔法で姿を消しています)に出会ったエルフ王は、二人が自分の血を引いていると思い※アウラ&マーレの左右の目の色が違うのが「王族の証」だと思ったようです、さらにふたりの強さを知り、自分の子どもを産ませるために連れて行こうとします。

それに怒ったアインズがエルフ王の顔面にグーパンチッ!

そのせいで不可視化の魔法が解けてしまうのですが、それをエルフ王が「ふたりのどちらかがネクロマンサー(死者使い)」と勘違い。アインズはそれに便乗し、召喚されたアンデッドの振りをしてエルフ王と戦う……ってそんなお話です。

 

ここでのアインズの戦い方は、過去作のような「超越者(オーバーロード)」然とした強大な力は見せず、エルフ王の強さを見極めるための回りくどい戦い方を披露……。

この戦い方が、とにかく地味で退屈です。

 

……が、熱心なファンの解説を読むと、実はコレ、ユグドラシルというゲーム内での「本来のアインズ」の戦い方で、相手の力量を見極めながら逃げる隙を与えず確実に敵を倒す、PK(プレイヤー・キラー)の極意に則った戦い方なのだそうです。

 

確かに、この戦いを見ていたアウラ&マーレは「アインズ様って、怖いよね」と、アインズの戦略の凄さを絶賛していました。

 

そして、エルフ王が魔力をほとんど使いきった状態になったところで、アインズが本来の超越者の強さを披露。

 

……が、まさかまさか?

 

アインズの強さを知ったエルフ王は、恥も外聞も捨て、ガチの逃走って手段に打って出ます。

 

いや~、それにしても。

今回の「エルフ王」のお話(絶死の過去も含め)は、出来ればもう少し詳しく書いて欲しかったですね。

正直、上巻~下巻中盤までの無駄話をカットして、「エルフ王と絶死絶命」のお話を入れれば良かったのに……。

 

戦いの中でエルフ王が語った(脳内会話ですが)、自分の父親がかつて「八欲王と呼ばれた」なんて超重要な発言がサラリと出てるし……、要はエルフ王って、第1巻から伏線となっていた「ユグドラシル・プレイヤー(他の転生者)」の子孫ってことですものね。

 

さて、ガチの逃走を図ったエルフ王を追うことになったマーレ

▲マーレは階層守護者で双子のダークエルフの弟(右)。ナヨナヨした男の娘キャラですね。

マーレは階層守護者(ナザリック最強の戦力)のひとりですが、今までガチの強さを披露したことが無かった気がします。

 

いつもオドオド&ナヨナヨしてて、「男の願望を具現化したような見た目」とまで言われるくらい、弱々しい雰囲気です。

 

逃亡したエルフ王は……

運悪く、王城に潜入した絶死絶命と鉢合わせ。

呆気ないくらい簡単に、絶死の手で殺されてしまいます。

 

その現場に遭遇したマーレ。

必然的に(?)絶死絶命とのバトルの始まりです。

 

初読み時、僕はマーレは絶死に勝てないのかと思いました。

だって絶死は「人族最強」とまで言われる強さを持ち、六大神の血を引く神人だもの。

「王国の漢たち」編の戦闘メイド・エントマのように、ピンチに陥ったところへアインズとアウラが登場して……みたいな、そんな展開を予想していました。

 

実は、最近読み返した第6巻「王国の漢たち」の中で、執事のセバスが言ってました。

王国の裏組織「八本指」に拉致されたツアレを奪還するために編成されたチームの中にシャルティアマーレがいたことに対し、「ナザリック最強のふたり」を編成してくれたことに感激した……って。

 

シャルティアが(単純な戦闘力は)アインズよりも強いというのは作中では有名な話なので、実はマーレも階層守護者の中では上位の強さを持つキャラなのかも?

 

そう言えばマーレって、「帝国編」でも「王国滅亡編」でも、オドオド・ナヨナヨしながら大量虐殺してましたね……。

 

気になって調べてみたら、実はマーレは階層守護者の中では戦闘力は上から2番目なのだとか。

 

今回の絶死とのバトルも、オドオド・ナヨナヨしながら、平然と致命的な攻撃を繰り出しています。

ただ、戦いが「絶死目線」で描かれているためか、マーレの戦略が何気に分かり難かった気がします。

 

これまた、熱心なファンの方のレビューにありましたが、実は今回のマーレの戦略は、先の「エルフ王」戦でアインズが見せたPK戦略の応用なのだとか……。

 

確かに、この「絶死 VS マーレ」の戦いは読み応えのある内容だったし、絶死から見たマーレ(ナザリック陣営)の異様さも面白かったのですが、絶死の自分語り※キャラの設定・説明不足がありイマイチ共感できないが長くウザく感じたし、絶死の使う奥の手(アインズのThe goal of all life is deathと、シャルティアのエインヘリヤル)が、ライト読者には「???」って感じ。

 

実はコレ、ユグドラシル(ゲーム)では、ひとりのキャラが2つの技を使うことができない設定だったり……とか。

 

まあ、要するに、今回のバトルはふたつとも、表面上のバトル展開よりも、その裏にある「オーバーロード作品内のマニアック設定」を知らないとイマイチ凄さが理解しにくい戦い……ってことです。

 

ここら辺の説明の無さ(?)が、ファンが作者のヤル気の無さ※様々な要因が重なり作品への熱意を失った?を指摘する部分なのかもしれません。

 

僕としては、今回の「半森妖精の神人」2冊の約半分近くを使って描かれた「ダークエルフの村」との交流が何の意味も無かったという結末の方がモヤモヤしてますね。

 

でもまあ、「王国の漢たち」編で登場した八本指幹部ヒルマのその後の活躍(?)なんかも考えると、物語の終盤に当たる今回のエピソードは、この後のストーリーの布石みたいなものなのかもしれません。

 

もしかすると、オーバーロードが完結した後に改めて読み返すと、今回の「半森妖精の神人」は何気に重要な物語の一部だったり……すればいいなぁ。

 

ってことで、興味のある方は是非、読んでみて下さいね。