【小説】オーバーロード 聖王国の聖騎士 | ぐれむりんの気ままなブログ

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勝手気ままな★備忘録★レビュー

丸山くがねさんの作品

オーバーロードのご紹介です。

今回は、書籍版第12~13巻

「聖王国の聖騎士」です。

アマゾンのレビューでは賛否が分かれてるみたいです。

否定意見としては、「話が進まない」とか「無駄な文章が多すぎ」というのが多いようですね。

 

 

僕的には、今までの中では圧倒的に「面白い」と感じる話でした。

それは多分、プレイヤーや竜王など、この先にいる強敵に僕があまり関心が無いからだと思います。

先が気にならないから今を楽しめる、みたいな?

格言っぽく言ってみましたが、単に熱心なファンじゃないから熱量が少ないだけですね。

今回は、「王国の漢たち」のイビルアイに匹敵するくらいの面白キャラ「ネイア・バラハ」が登場です。

 

モモンに恋い焦がれるイビルアイ「王国の漢たち」

魔導王を尊敬・心酔するネイア・バラハ「聖王国の聖騎士」

 

今回の面白さはズバリ、ネイア・バラハという第三者視点から見たアインズ・ウールゴウン魔導王陛下(ナザリック陣営)の見え方です。

もちろんその8割が……、いや9割が……、いやそのほとんど全てが、ネイアの勘違いという、第三者視点勘違いコントです。

 

第11巻「山小人の工匠」では、アインズが鏡に向かって何時間も反復練習した「絶対的支配者の立ち振る舞い」を披露する心境(苦労)が描かれてました。

アインズから見た周囲の反応です。

例えば、ドワーフの洞窟でアウラが見せた意味深な行動とか。

※アインズの不可解な言動に疑問を感じて質問しようとしたアウラだけど、これはきっとシャルティアを試してるのだと解釈し発言を途中で止める……とか。当のアインズは何も考えてないってオチです。

 

今回は、それ※支配者的演技を見た一般人(ネイア)の心境が描かれています。

もちろん、ネイアの心境を描いている文章なので、普段のコミカルなアインズは見れません。

ただ、真面目な文章の裏に、真面目ゆえに「勘違いコント」が見え隠れするのには読んででニヤニヤが止まらなくなっちゃいます。

 

これは、アレですね。

8時だよ全員集合で「志村うしろー!」って叫ぶ子どもの心境です。

魔導王に心酔するネイアちゃんに「ネイアちゃんうしろー!」って叫びたくてウズウズしちゃいます。

 

そして時折登場する、アインズ目線の「勘違いコント(解説編)」

魔導王の偉大さに心酔するアイネを、「この娘、いつも睨んでて怖い」って思ってたり。

魔導王に借りた高価な武器に感動するアイネ※こんな高価な武器は恐れ多くて使えないに、「武器を貸しても喜んでもらえない」って思ってたり。

魔導王に心酔する周囲に気がつかず「誰にも尊敬してもらえなかった」って思ってたり……。

まあ、それが最終的にデミウルゴスをも嫉妬させるほどのアインズ謀略になっちゃうわけですが。

 

ここら辺を踏まえ、無意味な文章の裏にある(ありそうな)意味を考えながら読むと色々な小ネタが登場してることに気がつきます。※答えが書かれてないので憶測でしかありませんが。

 

例えば、聖騎士団がアインズと謁見した時。

ネイアは「くしゃ」という小さな音を聞いてます。さらに謁見の途中にアインズがほんの一瞬だけ杖を持っていない手の方に顔を向ける姿を見ています。

さらにさらに、アインズに強い口調で命令されたアルベドが肩を僅かに震わせ、その後、頬を赤くしていたり……。

ネイア目線で語られるため、それが何を意味しているのかは書かれていません。いや、書かれていてもあくまでネイアの主観的意見が書かれてるだけです。

 

これらの行動の意味……。

 

これって、アインズが左手にデミウルゴス計画のカンニング・ペーパーを忍ばせてるって前振りですよね。※中盤からは明らかにカンニング・ペーパー見てますもの。

アルベドが肩を震わせたのは、アインズに強く命令され「嬉しくてゾクゾクしてる」って意味ですよね。※だって今回のお話、全てナザリック脚本・演出の茶番劇だもの。

 

馬車で移動してる時も、ネイアは魔導王陛下の庶民的な演技(ネイアを気遣って)が増えたって考えています。

魔導王が庶民と同じ目線で会話をしてくれるのに感激してます。

……いや、魔導王の中身はサラリーマン鈴木悟ですもの。

 

僕はこの、第三者目線勘違いコントが面白くて、聖王国の聖騎士(上)(下)を読み終わったその日に、(上)の再読を始めちゃいました。

再読で、初読み時に気がつかなかった小ネタに色々と気がつきましたね。

 

この第三者目線の勘違いって、僕的には結構「ワクワク」しちゃいます。

第8巻「破軍の魔法詠唱者」で、アインズに謁見した皇帝ジルクニフは、玉座の横に並ぶ面々(階層守護者)を見て、シャルティアは愛妾(弱い)、半悪魔形態のデミウルゴスは馬鹿そうって思ってましたもの。

 

今回、ネイアもアルベドを見て、「暴力とは無縁な」絶世の美女って思ってました。実際はナザリック内で最強レベルの戦闘力を持ったひとりなんですけどね……。

確か、デミウルゴス(ヤルダバオト)より強かったはずです。

この勘違いが、後でどのような広がりを見せるか、それとも見せないのか?

何だかワクワクしちゃいます。

 

そして、何気に面白い小話(?)も良かったです。

第11巻「山小人の工匠」のエピローグでエンリが語った新婚夫婦のアレやコレや。

最近、夫のンフィーレアの朝の目覚めが遅くなった。仕事で疲れてる様子はなく理由が分からないけど、自分に気を許してくれた証拠なのかも……って、そんな話の真相?

 

今回、ンフィーレアの報告(相談)によると、夫婦の営みが「気持ちいい」ということを知った妻に何度も求められてしまい、体力が続かないから滋養強壮のポーションを作ってみた……そうです。

※丸山さん! 中・高生向けのラノベで何を書いてらっしゃるのっ!

第10巻「謀略の統治者」で魔導王の策略に翻弄されたせいで、大量の抜け毛に悩まされていた皇帝ジルクニフの現在の様子……とか。

アインズの死を知ってアルベドとの結婚を目論むフィリップ男爵……とか。

まあ、「アインズ死す」関連の小話には次巻への伏線が含まれてる気がしますけど。

 

ただ、今回の上・下巻、特に下巻は500ページ超えの大ボリュームです。初登場のキャラも多く、1回読んだだけじゃ理解できない部分が多かった気がします。

だからって、下巻は再読するにはボリュームが多すぎなのですが。

 

ちなみに、下巻の途中でアインズと戦う戦闘メイドはホムンクルスの変装でしたが、その後に登場するシズは本物のシズ……ですよね?

 

シズとネイアの先輩&後輩コンビもなかなか面白かったですね。

そう言えば、第8巻「二人の指導者」でエンリにルプスレギナのことを褒められたナーベラルが無表情で喜んでたのを思い出しました。

基本、人間を「虫けら」と蔑むナザリック陣営ですが、仲間を褒める人間には好意的なようです。

 

アインズも仲間(ギルド・メンバー)を褒め称えたネム(エンリの妹)を優先的庇護対象にしてたもの。

今回のシズも、アインズに心酔し褒め称えるネイアが気に入ったようだしね。

 

と、言うことで……

やっと、ネタバレ・ストーリー紹介です。

 

第1章 魔皇ヤルダバオト

第2章 救いを求めて

第3章 反攻作戦開始

第4章 攻城戦

第5章 アインズ死す

第6章 銃兵と弓兵

第7章 救国の英雄

 

ちなみに、今回はやたらと挿絵的なカラーイラストが多かったように思うのですが、気のせいでしょうか?

 

さて、今回お勧めのBGMは、

マリリン・マンソンの「ザ・ゴールデン・エイジ・オブ・グロテスク」です。

ダーク有り、コメディ有りの「聖王国の聖騎士」にはマンソン史上※個人的意見です最もポップでキャッチーで毒々しいこの作品が合う気がします。ただ、マンソンのディスコグラフィーの中では……評価は散々だった気がしないでも……。

 

先ずは上巻。

第1章

ヤルダバオト率いる亜人連合が聖王国を襲撃。

北部聖王国は聖王女カルカと神官ケラルトを失い、都市も壊滅状態となってしまいました。

第2章

聖騎士レメディオス率いる聖騎士団(と従者ネイア)が援助を求めて王国へやってきます。

でも、王国は先の戦争と魔導国への対応で他国を助ける余裕なんて無い……。

聖騎士団は蒼の薔薇と会談し、そこで漆黒のモモンを紹介されます。

モモンがいるのはアンデッドが統治する魔導国。聖騎士団は困惑です。

魔導国を訪れた聖騎士団は、平和的に統治された魔導国に驚きつつ魔導王と会談。

アンデッドとは思えぬ威厳と風格を持った魔導王の姿にネイアは驚愕です。

そして、魔導王は2年後にモモンを派遣することを約束。

……がその日の夜、魔導王が単身で聖騎士団の元を訪れ、ヤルダバオト討伐後に彼の部下のメイド悪魔を魔導国が配下とすることを条件とし、魔導王自らがヤルダバオト討伐のため聖王国へと向かうことになります。

魔導王の従者に任命(押し付けられた)されたネイアは、その道中、魔導王の寛大さや慈悲深さを知り、さらにルーンで作られた国宝級の弓を与えられ、次第に魔導王へ心酔し始めます。

第3章

聖王国へ戻った一行は、ヤルダバオト討伐の戦力増強のため、捕虜収容所となった都市の奪還を開始。魔導王の圧倒的な強さを目の当たりにしたネイアはさらに魔導王への敬意と尊敬を募らせていくことに……。

北部聖王国の王族カスポンドを救出した聖騎士団は戦力の立て直しを始めます。

 

そして下巻。

第4章

亜人連合軍が反撃開始。

奪還された都市に4万の亜人軍が攻め込んできます。

この戦いでネイアは戦死……。

窮地に立たされた聖騎士レメディオスを救ったのは魔導王でした。

そして、魔導王の手で蘇生したネイアに、聖騎士ではなく弓使いの能力が開花。

ネイアは「魔導王こそが正義」という信念のもと、仲間を募り訓練を開始します。

第5章

そしてとうとう、聖騎士団の前にメイド悪魔を引き連れたヤルダバオトが出現。

魔導王とヤルダバオトによる、神の領域の戦いが始まります。

※この戦いは、アインズと召喚悪魔(偽ヤルダバオト)の練習試合です。最近、強い敵と戦っていないアインズが訓練を兼ね「殺すつもりで戦え」と召喚悪魔と戦うことになります。結果は、アインズも満足の練習試合になったようですね。

この戦いで魔導王はヤルダバオトに倒され、消息不明になってしまいます。

ヤルダバオトは魔導王は死んだと宣言、自らも傷を癒すため休息に入ることを告げます。

魔導王が倒れたのは、都市解放のために大量の魔力を使ってしまったからだとネイアは後悔……。

レメディオスに魔導王救出部隊の編成を嘆願するが却下されてしまいます。

第6章

そんなネイアの前にメイド悪魔のシズが登場。

※聖騎士団に捕まったという体で連行されてきてるようです。

どうやらシズは魔導王の支配下に入ったらしい。

そして、亜人連合を裏切った藍蛆との密約で、藍蛆王子の救出兼都市カリンシャ奪還のためネイアはシズと共にカリンシャに潜入、見事、藍蛆王子を救出、カリンシャの奪還にも成功します。

※敵悪魔がレメディオスの妹、ケラルトの頭部を身に着けていたのをネイアが回収したことで、聖王女と妹が死んだという現実を突き付けられたレメディオスはこの後……精神的に病んでいきますね。

第7章

そして、聖王国軍の反撃が開始。

残った亜人連合の討伐へと向かい、圧勝するかに思った矢先……

復活したヤルダバオトの出現で形勢は逆転、窮地に立たされてしまいます。

更に、挟撃するように別の亜人連合も接近中……。

もはやここまで。

と思ったネイアの前に、亜人連合を引き連れた魔導王が登場!

ヤルダバオトにやられて墜落し場所に亜人たちがたくさんいたから仲間にして戻ってきた。

平然と語る魔導王を見て感極まるネイア。

魔力が完全回復している魔導王は、ヤルダバオトを余裕で倒し、聖王国の窮地を救うのでした。

……

その後、次期聖王への就任が確定したカスポンドの前にデミウルゴスがやってきます。

そして今後の方針を命令……。

次期聖王カスポンドは……デミウルゴスの部下のホムンクルスでした。

アインズ様の智謀のおかげで「王国」を滅ぼす時期が前倒しにできると不吉に笑うデミウルゴスでした。

 

ちなみにですが……

外出自粛のGWから再読&新読を続けてる書籍版オーバーロードですが……各巻の表紙を見るたびに思うのですが……各巻の内容を知らずに見ると「???」ってなりません?

内容に比べダークな作風だし……。

ついでに言うと……

「なぜそのシーンを表紙にした?」って、ちょっと微妙なシーンが多いような気がするのは……僕だけでしょうか?