始まりの日 | 片岡亮太 ̄めざせ!!ファンキー グルーヴ“千里の道も一歩から~♪♪”

始まりの日

 ゴールデンウィークになると必ず思い出す、2007年伊豆洋ランパークさん(当時)での演奏。
プロとしての活動が始まった日。
あの時は、持っている楽器もセットで使える桶太鼓が二つ、あとはジャンベだけだった。
考えつくことをいろいろやった。
でも、そもそも花を見に来た人たちの足を止めるほどのエネルギーをそこに込めることはできていなかった。
たしか3日間ほど場所を提供していただき、一時間に1度くらいの頻度でパフォーマンスをさせていただいたと思うが、自発的に足を止めてくださった人は二ケタもいなかったと思う。
だからこそ、そのお一人お一人の言葉がうれしかったし、飲み物と一緒に「何かこれで飲みなさい」と握らせてくださった500円の重さが身に染みた。
 学生の頃からセミプロのようなチャンスは与えていただいていたし、小学生の頃からの仲間たちと舞台に上がった経験、上京してからの仲間や師匠とのご縁の中で立たせていただいた部隊もたくさんあった。
それでもあの日、あの場所が僕の始まりの日だし始まりの場所。
あそこからまだまだ短いとはいえ、9年の月日が経ち、当時の自分では想像もつかないほどにありがたい経験をたくさんさせていただいている。
自分の音や言葉を気候とあらかじめ心構えをしてくださっている方たちの前に立てる機会がずいぶん増えたけれど、そうじゃなかったあの日のデビュー戦を覚えているからこそ、毎回そのありがたさに心が震える。
あの時の演奏がきっかけでつながったご縁もたくさんあるし、それが今の自分の根幹を支えてくれている。
残念ながら伊豆洋ランパークさんは今では別の施設に変わってしまい、あの場所に立つチャンスはなくなってしまったけれど、心の中に確かに残っているあの時の空気間、緊張、どうにかして足を止めてもらいたくて自分の中にある音をあれこれひねり出そうと苦悩したこと。
何十年か後、プロとしての活動を終える日が来た時も、絶対に忘れないであろうあの一ページ目。
感謝とともにこの先も歩き続けようと思う。