『ついに家の近くのビデオ屋さんが100円コーナーをつくらはりました。昨日行って幾つか仕入れてきましたが、まだかなり買い残しがありますよ。紙ジャケなんかも…12時過ぎでもやってはりましたんで、何時来はってもいいですよ…』と万物創造房主人。興奮はいつも通り抑え気味だ。





彼と私には年齢差による若干の好みの差があるので、珍品の買い残しのある期待もあったが、未だにビデオテープを所蔵しているビデオレンタルショップも珍しいと思い、あくる日の深夜に向かった私である。





早速、店内の奥にある中古コーナーと床に置かれた臨時100円ボックス数箱をふたりで一通りひっくり返す事1時間あまり。




『これ知ってる?』




『知ってます。それはかなり面白いですよ。僕的には…』



『これ持ってる?』




『持ってます。それは持っているけどまだみてなくって…』



『これDVD出てる?』




『出てますが、日本語吹き替えがなく…』



『これ面白い?』




『それは駄目ですね。その監督は初期だけですね。いいのは…』






映画・ビデオ専門家の彼は、私のどんな質問にいちいち返事をくれる。




この日、あまりに熱くなり過ぎたこともあってか、横でレンタルビデオを物色していた若い客が薄笑いを浮かべて話かけてきた時は少し警戒した。



『店員さんですか?』






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【店員】がふたりしゃがみ込み、べらべらと喋り込む深夜のビデオ屋は非凡だったかもしれない。