『老人と骨董』
今日も定刻には、50人は越える欲張りな老若男女が集まっていた。
すべてのダンボールが降ろされるまで、緊張の時間が流れる。
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最後の一個が降ろされた瞬間、一斉に群がった。
骨董・ガラクタが好きでたまらないと見える老人(80歳くらいか)は、ここで勝ち抜く戦略を心得ていた。
最前列を確保してしゃがみ込み、次に中身を見るダンボールをライバルに獲られないように両足で挟んでガードする。
そして両手はと言うと、多くの欲望の宿る手を巧みにサバキながら、商品が包まれている新聞紙を次々と剥いて品を確かめる。
私はその老人の剥いている中身をちゃっかり見ようと、老人と横のおじさんの背中に体重をかけていた時だ。
『こら押すな!』
『お前だろ!』
と老人の声がしたかと思ったら、横のおじさんと喧嘩をし始めたのだった。
私はそ知らぬふりをして、その生態観察をした。
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