キミとボク | 東京は夜の7時~

東京は夜の7時~

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とおいとおい昔のお話し。

僕が20代前半の頃。

当時、僕は 中学校の教員だった。

リカさんは僕の1年後輩で大学を卒業してすぐの新人先生。

背が小さくてガリガリでおサルみたいなショートカットで。

僕はセンパイ面して よーし!若い先生だけで飲み会するぞ!と

歓迎会を開いた。

会場に来たリカさんにびっくり。
普段は地味なスーツにひざ下のスカートで冴えない感じだったのに

私服はめちゃめちゃオシャレだった。
古着をうまーく着こなしてて こりゃタダモンじゃないぞ!と意識するようになった。

よくよく聞いてみると 実は彼氏と同棲中で その彼氏は古着屋さん。
あーだからオシャレなのね。と納得した。

ち!!彼氏いるのかよwと内心。

リカさんも俺と同じ 体当たりで指導するタイプ。
生徒が大好きだから 空き時間なんかは生徒と体育の授業を受けたり
家庭科の授業を受けたり。

飲むのも大好きなリカさんだったから
よーく若い教員同士で熱く語り合っていたっけ。

ある日の飲み会の帰りに2人で帰ったことがあった。

飲み足りないから 2人で飲むか!と2人で初めて飲んだ。

色々話したのだが 実は。。。。とリカさん。

彼氏とは一緒に住んでいるのだが 長年一緒に居た為か 冷めきっていて
どうやら彼は 他に好きな人が出来てる気がする。と。
彼氏はリカさんと一緒に住んでいるのに 何時間も女の子と仲良く話していて
居場所が無い。とこぼした。。。。


いつも生徒の前でもふざけていて いじられキャラのリカさんが 急によわよわしく見えて。


何にも言えない僕は しゃあねえなー さみしい時はあそんでやるから いつでも呼んでくれよ。と元気づけた。放課後一緒に仕事して遅くなった時は食事して帰ったり。

なるべく 彼と一緒にいないように僕もよくリカさんを誘った。


ある夏。ロックインジャパンという野外フェスが開かれるという噂を聞いて
リカさんの大好きな奥田民生も出るし 気晴らしに遠くまでいこうぜーと
チケットを取り、茨城の常陸那珂までドライブをした。

小さい身体なのにリカさんはノリノリで民生のライブの時はどんどん前に行ってしまう。

前の方で自由に踊り狂うリカさん。
実はその後ろで押してくるヤツやダイブしてくる奴らを俺が身体を張って止めていた。
蹴られたり 殴られたりしたけど リカさんがたのしそうに踊ってるのを見ていたかったのだ。


民生のライブが終わって夕方。
ステージから離れて芝生でのんびりしてたら
スピッツのライブが始まっていた。

夕暮れの中で聴くスピッツはすごい心に染みて
夕日に輝くリカさんの横顔を見て思った。

リカさんが好きになっていた。

好きな人が悩み、苦しんでいる。
涙がぽろぽろでた。


ライブの後の帰り道。
僕は思い切って言った。
彼の家から出ようよ。

そうしたいんだけど。。。。

リカさんと彼は長く一緒に住んでいた為か戸籍が同居人。内縁の妻になっていた。

僕は好きになったらすごい行動力を表すタイプなので
市役所にいって戸籍の抜き方や不動産やで物件探しとか

リカさんの為になんでもやった。


そしてある冬の日。

その時にはもうリカさんの彼は完全に彼女がいて リカさんがいない時に彼女を連れ込んでいるようだった。

深夜3時。僕はリカさんと彼の家に行き クルマをとめていた。
リカさんが出てくる。大きなバッグを持って。

そう、リカさんは寝ている彼の顔をまたいで 逃げて来たのだ。

寝ているとはいえ、出て行くリカさんに気付いて 彼が追いかけて来たらどうしよう。。
ものすごいドキドキした。

新しいアパートに向かう途中、リカさんが やっと本気で人を好きになれる。。。と
つぶやいた。

一生幸せにしたい。 そう思いながらクルマを走らせた。


5年後。。。。

色々あって 2人は別れた。
リカさんは結婚し子供が生まれた。

10年後の今。
リカさんとは 同窓会で再会し、今ではカフェ友だ。
ちいさい息子さんと3人でお茶をする。

あの時の話しはタブーだ。
お互い良い思い出だけでいたいから。


~キミとボク~