夜、一般病棟内が、しーんと静かになった頃、突然、女性の苦しそうな、大きな声が聞こえる。

「お願いします。ここから出してください。」「ここから連れ出して下さいよー!」「外へ出してちょうだいよー!」

とても、つらそうな叫び声。
かなり高齢な感じの声。
個室の方向から聞こえてくる。

私は、自分が病院に戻って来たんだ、と実感する。

以前の入院の時にも、別の入院患者さんの声を聴いたことのある。つらそうな声。
ある時は男性の声だった時もあった。

患者さん自身もツラいし、看護する側の看護師さんもツラい。

精神的つらさ、肉体的、身体的つらさ、もしかしたら自分が誰で、どこに居て、どうしてこんな目にあっているのか?分からないのかもしれない。

認知能力の低下で治療を受けていることも分からないかもしれない。

でも、日本語として、聞いて理解出来る。

逆に、さほど、認知能力は低下していない状態で、ものすごい不安や恐怖感を囚われているのかもしれない。

つらくて、つらくて、どうしようもないて、SOSの声だけ発して、ベッドの上で、うずくまっているのかもしれない。

私には姿は見えないけれど…。

こんな時、やっぱり、私は、入院病棟に戻って来たんだ!と実感する。