秋が来るとき




監督 フランソワ・オゾン

  ブルゴーニュの美しい景色の中で、沢山の落ち葉が積もるように主人公たちの秘密は隠されていきます。


 どんな人にも色々な顔があり、それは嘘でも真実でもない。誰かを守るためだったり、愛を伝えるためだったり、人の一面というものはそれが全てではないと改めて気付かされます。


登場人物すべての人に葛藤や悩み、悲しみや労りがあり 豊かな実りの秋にこそ、それを背負って生き抜く強さやたくましさも感じました。


 優しい嘘で皆が幸せになれるなら、真実を知らなくてもいい事だってあり、生前は理解し得なかった親子の感情もこうして赦されていくのだな、と思いました。


娘には昔の母の秘密が許せなかった。

でも母は娘の幸せのためにはそうするしかなかった。


そしてまた時代は変わり、何度も秋は来る。


落ち葉の下に眠るミシェルと、その全ての秘密が、高く青い空と美しく色付いた木々に最後まで守られていきました。


暗くてつらい映画ではありません。

笑ったり踊ったり、陽気な場面も沢山あります。


だからこそ、静かに流れるエンディングに涙が溢れたのかもしれません。


誰にでも秘密はあり、誰にでも死はやって来る。

この美しく豊かな秋の実りの中で、精一杯 息を吸おうと思いました。