最近、神社やお寺に行きますと「お賽銭箱の横にPayPayなどのQRコード」が置かれているお寺や神社が増えています。
「神様の前でスマホを出すなんて、バチが当たらないか?」
「小銭を用意しなくていいから助かる」
様々な考えがありますが、これらはどちらも間違っているとは言えません。
寺社仏閣の「お賽銭事情(キャッシュレス化)」について、少し触れたいと思います。
「お賽銭に電子マネー」あり派・なし派のそれぞれの意見
やはりキャッシュレス決済は、世代によって「感覚」が違うというデータが出ています。
① 20代〜30代:約7割が「あり派」が多数
この世代は、スマホ一つで外出するのが当たり前の「デジタルネイティブ世代」です。
「小銭がないからお参りできないとなるくらいなら、PayPayでサッと払ってしっかり手を合わせたい」 という、合理的な考え方が主流です。
確かにお守りもスマホ決済できる時代ですし、自然な流れかもしれません。
② 40代〜50代:「便利と感じながら、一番意見が分かれる世代」
ここは意見が真っ二つに割れる「過渡期」の世代です。
「便利さはわかる。でも、やっぱり投げ入れた時の『チャリン』という音がないと、なんだか寂しい」と感じる方も多いです。
③ 60代以上:「意外と現金派」だけではない世代
「お布施は白い封筒に入れるもの」という感覚を大切にされている世代ですので、抵抗感が強い方が多いのが現状です。
一方「お寺や神社の維持管理(防犯の取り組み・檀家減少の問題)」を知り「協力しよう」と、電子マネーを選ぶシニア層が増えています。
■ 「電子マネー参拝」「電子マネーの使用」ができる有名寺院・神社
築地本願寺(中央区):「お寺の未来形と言われる寺院」
ここは別格です。銀座からも近いこのお寺は、「お寺のDX(デジタルトランスフォーメーション)」の最先端と言われています。
併設されている素敵なカフェ「Tsumugi」やブックセンターはもちろん完全キャッシュレス対応です。
さらに驚くのは、お賽銭やお布施(懇志)も、館内の端末やネットから納めることが可能です。「開かれたお寺」を目指す姿勢は、本当に勉強になります。
増上寺(港区):東京タワーの麓にある徳川家菩提寺。
外国人観光客の方も多いので、電子マネー対応導入が早い寺院です。
お賽銭箱は基本的に現金ですが、お守り授与所や宝物展示室などはクレジットカードや交通系ICが使えます。
神田明神(千代田区):ITの神様・商売の神様のため、電子マネー対応が可能
秋葉原に近いこともあり、「IT情報安全守護」というお守りがある珍しいお守りもあります。
神田明神はデジタル対応にもいち早く対応し、境内のカフェも電子マネー決済が可能です。お参りの後にスマホ一つで休憩できるのが魅力の最先端の神社となります。
愛宕神社(港区):出世の石段・いち早く電子マネーを導入
愛宕神社はかなり早い段階から、賽銭箱の横に楽天Edyなどの端末を置いて話題になりました。
初詣の時期には「電子マネー専用レーン」ができることもあり、混雑緩和に役立っています。
■ 全国の観光名所も電子マネー対応が増えている
東京だけではなく、全国の寺社仏閣も「キャッシュレス対応が進んでいる有名寺社」が増えてきました。
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【日光東照宮(栃木)】 拝観券などが自動券売機で買えます。
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【平等院(京都)】 10円玉のデザインの平等院ですが、支払いは最新鋭(カード・IC対応が可能)です。
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【太宰府天満宮(福岡)】 参道のお店はほぼキャッシュレス対応となっています。ご祈祷の受付なども試験的に導入が進んでいるようです。
■ 参拝において「大切なこと」
「お賽銭をデータで送るのは、心がこもっていない」と思われる方もまだまだ多いです。
しかし、お金の形は変わっても、 「自分の大切なお金をお賽銭として寺社仏閣へ納め、感謝を伝える」 という行為の本質は変わっていないと考えます。
どちらが正解、ということではなく、「その時の状況に合わせて使い分ける」ことが大事であり、これからの時代の「参拝」なのかもしれません。
