【最新】注目される葬儀業界:上場葬儀社・大手葬儀社の動向について | 葬儀相談・葬儀専門家 生前葬儀アドバイザーの葬儀・終活相談所

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主に終活・お葬式・お墓・仏事・相続についての情報を発信いたします。高齢者のサポートが現代では求められる時代になりました。
終わるための活動ではなく「次世代への継承活動」を普及を行います。

葬儀業界は死亡人口の増加とともに「市場性が上昇する」と言われてきた業界と言われ「安定する業界」とも言われていました。

一方、

  • 核家族化

  • 兄弟姉妹の人数

  • 親族付き合い

  • 近隣付き合い

  • 所得

  • 都市部と地方

  • 多様性

これらの要因により、現実として決して右肩に市場規模が増えている現状ではありません。

高齢者増加により死亡者数が増えている現状があり「葬儀需要」が増えていることは間違いありませんが、大手・中小葬儀社に関係なく「経営の見直しやブランディングを整えなければならない状態」となっています。

葬儀業界の全体動向

  1. 葬儀の小規模化と単価下落
    家族構成などの社会的構造の変化により、家族葬、一日葬、直葬(火葬式)が一般化し、従来の一般葬は減少傾向にあります。これにより葬儀一件あたりの単価は下落圧力がかかり続けています。

  2. M&Aによる業界再編の加速
    単価下落と後継者不足を背景に、地域の中小葬儀社のM&Aが活発化しています。上場企業や互助会大手が買い手となり、急速に事業エリアと規模の拡大を進めています。

  3. DXと異業種参入
    ここ15年程度でインターネットによる集客(ポータルサイト)が常態化しており「従来より安価な葬儀費用」が目立つようになりました。
    また、AIによる業務効率化や、小売・IT・金融など異業種からの参入も続いており、従来のビジネスモデルが変革期を迎えています。
    多くのポータルサイトが乱立し「ポータルサイトの区別」がわかりにくくなっています。

 

1. 上場葬儀社の同行(ホールディングス体制による規模拡大)

体力のある上場企業は、積極的なM&Aにより規模を拡大し、「葬儀」単体から「ライフエンディングサポート全般」へと事業領域を広げる戦略が鮮明です。

燦ホールディングス

  • 特徴
    「公益社」という関西基盤の葬儀ブランドを中核に持つ持株会社です。比較的、葬儀単価が高い葬儀プランを提案していますが、近年は家族葬にも力を入れています。
    2024年、家族葬大手の「きずなホールディングス(家族葬のファミーユ)」をTOBにより連結子会社化し、業界トップクラスの規模となりました。
    2025年、こころネットを経営統合を行ったと話題になりました。

  • 傾向・戦略M&Aによる規模拡大事業の多角化が二本柱。
    きずなHDの買収により、弱点であった家族葬領域と広範な地方ネットワークを一気に獲得しました。
    同時に、リハビリデイサービスや高齢者向け配食など「ライフエンディングサポート事業」を第2の柱として育成しています。
     

  • メリット(強み)
    「公益社」のブランド力(高単価・高品質)と「ファミーユ」のノウハウ(家族葬・効率運営)という両極のブランドポートフォリオを保有しています。
    葬儀前から葬儀後までを囲い込むトータルサポート体制を構築しつつあります。
     

  • デメリット (弱み・課題)
    きずなHDという大型買収に伴う「のれん」の償却負担が発生しており、短期的には利益率を圧迫。また、一気に大きな葬儀社買収・葬儀対応エリアをカバーすることとなったため、文化の異なる両社のPMI(経営統合後のすり合わせ)が今後の課題です。
     

  • 今後の動向
    既存の傘下葬儀社(公益社等)ときずなHDとのシナジー(バックオフィス統合、エンバーミング施設の相互利用など)を本格化。
    シニア世代のライフパートナーとして、葬儀事業の安定基盤の上で、ライフサポート領域の売上拡大を加速させると予測されます。

ティア

  • 特徴
    愛知県名古屋市を地盤とし、「直営店舗」と「フランチャイズ(FC)」の両輪で全国展開を進める全国でも珍しい葬儀社です。
    「生前見積もり」や明朗会計を早期から打ち出した葬儀社として有名です。
     

  • 傾向・戦略
    近年、M&A戦略へ大きく舵を切っており、2024年の「東海典礼」、2025年の「八光殿」など、大型のM&Aを連続して実行しています。
    買収した企業のブランドを「ティア」に統一し、会員制度も「ティアの会」に統合するなど、PMIを迅速に進めています。
    直近では北海道札幌市の葬儀社のM&Aも行っており、中部地方・関東地方・関西地方以外にも営業範囲を広げています。
     

  • メリット (強み)
    M&Aによる急速な成長性と、FC展開で培った葬儀運営の標準化・効率化ノウハウが強みです。
    M&A先の仕入れやオペレーションをティアに統合することで、原価低減やサービス品質の均一化を図っています。
     

  • デメリット (弱み・課題) 
    積極的なM&Aにより有利子負債が増加しております。
    また燦HD同様に地域エリアの急速な拡大を行っているため、オペレーション面での課題があります。
     

  • 今後の動向
    当面はM&Aを最優先し、事業エリアの全国的な拡大を続けます。
    燦HD同様、トータルサポート化を目指す方針と発表されています。

株式会社金宝堂

  • 特徴
    千葉県野田市を創業とした葬儀社です。
    元々は仏壇・仏具の販売(「メモリアル仏壇」)を祖業としており、そこで培ったEC(インターネット販売)のノウハウが最大の強みです。
    近年、その集客力と資本を背景に、家族葬専門ブランド「小さな森の家」を関東圏中心に爆発的なスピードで出店(ドミナント展開)し、葬儀事業を急拡大させています。
     

  • 傾向・戦略
    「仏壇EC(Web) × 家族葬ホール(リアル)」という独自の垂直統合モデルを確立しています。

    1. Webマーケティング
      業界トップクラスと自負するEC事業で培ったSEOやWeb広告のノウハウを葬儀事業に横展開し、デジタル経由での集客に圧倒的な強みを見せます。

    2. ハイスピードな出店
      家族葬に特化した「小さな森の家」を、特定のエリアに集中的に出店するドミナント戦略により、短期間で地域のシェアと認知を獲得しています。
      近年の葬儀社の中では特に出店スピードが速い葬儀社となっています。

  • メリット(強み)

    • 驚異的な成長率
      近年の売上高は、200億円(2023年)、300億円(2024年)、450億円(2025年実績)と、業界の常識を覆すスピードで成長しています。
      施行件数も年間2万件を超えるとされ、規模ではすでに大手と肩を並べつつあります。

    • デジタル集客力
      葬儀単体でWeb集客を行う他社と異なり、「仏壇」という別の強力な入口を持つため、集客コストや効率の面で優位性があります。

  • デメリット (弱み・課題)

    • 急拡大に伴う品質維持
      年間数十単位でのホール出店とそれに伴う人員採用は、サービス品質の均質化や、企業文化の浸透に課題を生じさせる可能性があります。

    • 財務の不透明性
      現状非上場であるため、上場企業のような詳細な財務諸表や投資計画は公開されていません。

    • ブランドの多層化
      「金宝堂」「メモリアル仏壇」「小さな森の家」など複数のブランドが併存しており、消費者にとっての分かりやすさや、グループシナジーの最大化が今後の課題となる可能性があります。

  • 今後の動向
    同社は公に「上場を目指す」と明言しており、今後は成長スピードを維持しつつ、上場に向けた内部統制の強化や、財務基盤の整備を並行して進めることになります。
    当面は「小さな森の家」の全国展開(関東圏から他エリアへの進出)を継続し、施行件数・売上ともにトップクラスの地位を確立すると予測されます。
    上場が実現すれば、調達した資金で更にM&A戦略にも乗り出す可能性があり、燦HDやティア以上の葬儀社となる業界再編存在です。

2. 非上場大手(互助会モデルの変革)

全国に広がる互助会ネットワークという安定基盤を持ちつつも、葬儀の小規模化やデジタル化に対応するため、ビジネスモデルの変革を迫られています。

アルファクラブ(さがみ典礼)

  • 特徴
    埼玉県を本拠とし、北関東から東北、静岡など広域で事業展開する互助会大手です。「さがみ典礼」ブランドで知られ、国内有数の互助会会員数を誇り、傘下の葬儀ポータルサイト「小さなお葬式」を含め、事実上最大の葬儀社と言われています。
     

  • 傾向・戦略積極的なM&ADX・新規事業への投資が際立っています。
    後継者不在の地方葬儀社や互助会をM&Aすることでエリアを拡大し続けており、同時に、『葬儀DX』と称して業務効率化や遺体取り違え防止システムを導入するほか、「メタバース霊園」や「宇宙葬」、デジタル終活サービスへの出資などに積極的です。
     

  • メリット (強み)
    互助会組織という強固な顧客基盤(ストックビジネス)が安定収益源となっています。また、豊富なM&A経験によるスピーディーな意思決定と、DXや新規事業への果敢な投資姿勢は、他の互助会系企業と一線を画します。
     

  • デメリット (弱み・課題)
    互助会ビジネスは、現状課題が多く現代の葬儀と合わないと考えています。
    積立金の運用や、葬儀単価下落による施行時の利幅縮小、解約リスクといった構造的な課題を常に抱えています。
     

  • 今後の動向
    引き続きM&Aによるシェア拡大と、DXによる経営効率化を推進します。新しい家族葬専門ブランド「ファミラル」の出店、小規模葬儀ニーズへの対応も進めています。
    メタバースなど先進技術を、既存の互助会会員サービスとどう結びつけていくかが注目されます。

ベルコ

  • 特徴: 全国規模で展開する互助会最大手の一角です。
    「シティホール」や「家族葬のベルコ」などのブランドを持ち、圧倒的な知名度とネットワークがあり、主に西日本で目立つ互助会です。

  • 傾向・戦略
    アルファクラブがM&Aや新規事業で目立つのに対し、ベルコは足元のデジタル化を着実に進めています。
    WebマーケティングやDX化を専門に担う関連会社「THD」を設立し、グループ全体のIT基盤強化やWeb経由の顧客獲得に取り組んでいます。

  • メリット (強み)
    全国を網羅する会館ネットワークと、互助会による膨大な顧客基盤が最大の強みです。ブランド力も高く、地域での信頼があります。

  • デメリット (弱み・課題) 
    企業規模が巨大であるため、小回りの利く戦略や、アルファクラブのような先進的すぎる事業への転換は遅れがちになる可能性があります。互助会モデルの構造的課題は同様に抱えており「互助会からの顧客」をどこまで確保できるかが今後の課題となります。

  • 今後の動向
    専門子会社(THD)を中心に、Webマーケティングと社内DXを推進し、既存の強固な資産(会員、会館)の収益性を高めていく戦略が続くと予想されます。


3. 葬儀ポータルサイト(ネット系プラットフォーマー)

インターネットを主戦場とし、「葬儀社と顧客のマッチング」または「定額パッケージの提供」でここ15年程度で成長した葬儀マッチングサービスです。

当初は葬儀業界でこのビジネスモデルは流行らないと言われていましたが、「葬儀の小型化」「低価格の見せ方」「特に葬儀社にこだわりはない」というニーズを捉えており、既存葬儀社のブランド意識とは全く異なる方向で成長しました。

鎌倉新書

  • 特徴
    終活ポータルでは珍しい東証プライム上場企業です。
    「いい葬儀」のほか、「いいお墓」「いい仏壇」「いい相続」「いい介護」など、終活・ライフエンディング領域のポータルサイトを網羅的に運営するプラットフォーマーです。
    特に成長しているのは「いいお墓」のブランドと言われています。
     

  • 傾向・戦略
    官民連携(BtoG)という独自の戦略を採っています。全国の多数の自治体と「終活支援協定」を締結し、「おくやみハンドブック」の共同制作や「おくやみコーナー」の開設支援を行っています。
    これにより、公的な立場から住民(潜在顧客)との接点を作っています。
     

  • メリット (強み) 葬儀から墓、相続、介護まで、終活のあらゆる領域をカバーしているため、顧客をを長期にわたり囲い込む戦略です。
    また、自治体との連携実績は、他のネット系企業にはない圧倒的な信頼性とブランド構築に寄与しています。
     

  • デメリット (弱み・課題)
    収益の多くを送客手数料(仲介)に依存しており、送客先である提携事業者(葬儀社、石材店など)との関係性維持が経営の鍵となります。
    また「コールセンター」の質を高め続ける必要があり、電話のみで顧客とのコミュニケーションを取ることは非常に高度です。
    また、調べによると自治体窓口との連携も抜群とは言えない現状もあり、まだ多くの課題が見えます。
     

  • 今後の動向
    自治体との連携をさらに深め、「終活インフラ」としての地位を確立します。今後は自治体DX支援や、ICTを活用したシニア向けプラットフォーム構築など、BtoG事業をさらに拡大させていくと見られます。

ユニクエスト(小さなお葬式)

  • 特徴
    「小さなお葬式」ブランドで、定額・低価格の葬儀パッケージを全国展開するビジネスモデルの先駆者と言われているブランド名です。
    テレビCMなど大規模なマスマーケティングで圧倒的な認知度を獲得しています。
     

  • 傾向・戦略
    コールセンターの対応から、低価格・明瞭会計を武器に、初めて葬儀を経験する層や小規模葬儀を希望する層の取り込みに注力しています。
     

  • メリット (強み)
    「小さなお葬式=安い・安心」という強力なブランドイメージと高い認知度です。
    価格の透明性は、業界の不透明性を打破する要因となりました。
    地域の葬儀社のプランではなく「小さなお葬式」として、独自のプラン設計を行っています。
     

  • デメリット (弱み・課題)あくまで仲介プラットフォームであるため、提携する葬儀社が限定されており、顧客が地域で最適な葬儀社を自由に選べるわけではありません。
    また、価格競争に陥りやすいビジネスモデルでもあり、安いというイメージのみで依頼するとトラブルになることも多いビジネスモデルです。
     

  • 今後の動向
    価格競争力を維持しつつ、提携葬儀社のネットワーク拡大と、実際の施行におけるサービス品質の管理・維持が継続的な課題となります。
    また親会社となるアルファクラブ(互助会)等との連携をどうするか、今後も注目です。

株式会社よりそう

  • 特徴
    「よりそうお葬式」「お坊さん便」などを運営する葬儀ITベンチャーです。スタートアップとして継続的に大型の資金調達(累計数十億円規模)を実施している企業です。
     

  • 傾向・戦略
    調達した資金を人材採用、マーケティング、システム開発に投下し、事業拡大を急いでいます。
    「ライフエンディング・プラットフォーム(LEPF)」構想を掲げ、葬儀・供養から相続までを包括的にサポートするサービスの構築を目指しています。
     

  • メリット (強み) 
    消費者調査では「総合満足度」や「推奨度」で高い評価を得るケースがあり、サービスの質に強みを持つと見られます。
    スタートアップとしての機動力と、テクノロジー(AI活用など)を駆使したサービス開発力が武器と言われています。
     

  • デメリット (弱み・課題)
    「小さなお葬式」と比較すると、「認知率」や「期待度」ではまだ差があります。収益性の確立が課題です。
    また、小さなお葬式と基本同じビジネスモデルのため、差別化が難しい現状です。
    これは他の「葬儀ポータルサイト」でも同じことが言えます。
     

  • 今後の動向
    マーケティングを強化し、まずは葬儀領域でのシェア拡大を目指します。並行して、これからもプラットフォーム構想の実現に向け、相続や終活関連の新規事業を本格化させていくと予測されます。

今後の葬儀業界の動向予測

今後の葬儀業界は、「リアル(会館・人)のM&Aによる規模の追求」「ネット(DX・PF)による顧客接点の獲得」という二つの大きな流れが、さらに加速すると思われます。

  1. リアル(施行)企業
    燦HDやティアのように、M&Aで規模を拡大し、空いたリソースでライフサポート事業を多角化する動きが主流となります。
    互助会系も、アルファクラブのようにDX投資やM&Aを加速させ、既存資産の有効活用を図ります。

  2. ネット(送客)企業
    鎌倉新書のように、葬儀だけでなく「終活」全体をカバーし、自治体(BtoG)という新たな顧客接点を押さえる動きが強まると予想します。
    ユニクエストやよりそうは、葬儀のシェア争いをしつつ、相続などの周辺領域へサービスを拡大していくと予想しています。