あるきっかけで

永井荷風『墨東奇譚』を読むことになった

と、先日書きました。

 

その「きっかけ」とは

海老坂武

『シングル・ライフ 女と男の解放学』(中公文庫)

を読んだことでした。

 

退職を控え、本を処分せざるをえず、

泣く泣く処分の対象を選んでいるのですが、

その候補の一つが『シングル・ライフ』でした。

 

これまで何度か手にとってはみたものの、

いつも数ページ読んだだけで

別の本に関心が移っていく

ということが続いていました。

 

でも、今回読んでみると、

途中でやめられなくなってしまいました。

 

海老坂武といえば

サルトルで実存主義

という素人考えがあった私にとって

自己管理のライフ・スタイルの章が

おもしろかったです。

 

サルトルや実存主義が大切にする「自由」と

私がイメージする「自己管理」とは

私には「両立しないもの」だったのですが、

それが私の偏見あるいは無知に過ぎないことを

気づかされました。

 

そして、この章で海老坂武は

次のようなことも書いているのです。

 

「私は荷風の文学を、

偉大なる単独生活者の文学

として読むべきであると考えている……。

彼の文学に表われた生の軌跡は、

その俗な部分、

脆い部分をも含めて、

この国において独身の原理を立てたときの、

一人の自由人の格闘である」。

 

ほんまかなぁと思いながらも

海老坂の解釈を確かめるため、

荷風を読みはじめたわけでした。

 

さらに、

『シングル・ライフ』は捨てるどころか、

海老坂自身の著作を次々読むきっかけに

なってしまいました。

 

本を減らすつもりが

逆に増えてしまっています。