アライナー矯正治療(マウスピース矯正治療)は、

昨今非常に人気が高く

歯並びや咬み合わせを治したいと希望する多くの方に選択されていますが、

学術的にはまだ一般的ではなく国内の大学で教えているところはほぼないのが

現状です。

歯医者になる為には、大学の歯学部で矯正歯科の分野も習いますし、国家試験にも矯正歯科の問題は出るのですが、

大学の授業でこのアライナー矯正(マウスピース矯正)について教えてくれる大学はなく、

(特別講義で外部講師を呼んで来て聴講する機会を与えられる程度が始まっている大学もあるようですが)

国家試験にも出てきていないのではないか?と思います。

という事で日本では学術的な蓄積が未だほぼなく

一般的な治療法になるには至っていない治療法です。

そこで、この治療法を学ぶためには

卒後、歯科医師免許を取得後に、それぞれの歯科医が個別で自己研鑽して

習得する必要がある治療法という事になります。

このように国内の学術的な部分が全くと言っていいほど遅れている治療法というのは案外たくさんあります

インプラント治療、自費の根管治療、ダイレクトボンド、ホワイトニング、トレーナー矯正・・・・・

様々な自費治療のほとんどが歯科医師になった後の歯科医個人の自己研鑽によってのみマスターしていく治療法です。

そして、ほとんどの歯科医が最先進の内容を学びたかったら、

とりあえず進んでいる海外に勉強に行くのが一般的です。

そして、そういう気鋭の歯科医が日本に帰って自分の臨床に応用し、上手く応用できるようになった後に

それを別の歯科医にセミナーなどして数量限定有料で教えていき

徐々に国内に臨床例が増えて来て、

その後しばらくして大学の研究が何とか始まるというのが

昔からの治療法の普及の順番になっています。

大学などの学術的な機関の研究が終わると、

やっと保険適用治療として認定されるという流れです。

なぜ大学の研究がそんなにも遅れるのか?と言えば、

研究にはお金がとてもかかるからですね。

誰が研究費とその研究者への時給を払うのか?という問題が必ずあります。

日本の研究費を捻出してくるためには様々な面倒くさい手順と下準備と顔つなぎなどなど非常に障壁は高い為

常に臨床応用のほうが先行しており、未認可の治療は自費治療でしか受けられないという決まりになっています。

 

そういう治療法は臨床を行う上で非常に多くありますから、

何もアライナー矯正治療に限った事ではありません。

 

今では日本中の歯科医の多くがこのアライナー矯正を積極的に日常臨床に取り入れて

見えない気づかれない歯を汚さない、歯磨きも楽、歯が治療途中グラグラしない、口内炎が出来ない、

食事制限がない、通院回数が激減できる、痛みが少ない、等々の多数の臨床上のメリットを強調して

一般への普及が先行している形になっています。

ただ、そういう治療の流行は様々な社会的問題や健康被害を生じてしまう事も事実です。

保険適用外治療は歯科医と患者の治療委任契約によって

開始され国が関与しないというかできない為

トラブルも多発しやすいのが現実です。

 

そこで、

クインテッセンスという大手出版社(ニッチな専門分野のですが)が

世界に出てきている多くのエビデンス(根拠となる優れた論文)から

役立ちそうな内容をピックアップして掲載してくれ

日本のアライナー矯正(マウスピース矯正)を

学術的なものにしようとしてくれているのが

この今回ご紹介するJAO(ジャーナル オブ アライナー矯正治療 日本版)です。

この定期刊行誌は、

一番上に記載があるように

「アライナー矯正治療のセオリー・エビデンス・メソッドを伝える国際誌」

 

 

英語版編集委員長は

あのWerner Schupp先生

尾島先生が師匠と仰いでおられたドイツの非常に著名な矯正歯科医です。

 

 

また英語版公認学術団体はそうそうたる団体で

EAS SAOA ̈OGAO SFOPA DGAO JAAO PAA SSAO TAAO

という事です。

 

そして、今回、そのJAOに

かねてより当院がずっと提唱し提供し続けて来た

「インビザライン&スーパーエナメル」

つまり

「アライナー型矯正装置とノンプレップべニアを併用した歯列の審美性改善法」

がなんと!

18ページの大ボリュームで掲載されたのです!!!

素晴らしい!!

ヒュ~!ヒュ~!!

飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート

 

シュープ先生のインビザライン矯正治療の教科書を

読んだら誰でもわかる事なのですが、

歯を移動して新しい咬み合わせや歯並びを作り出す矯正歯科治療というのは、

総義歯(歯をすべて失った人の全部床義歯=入れ歯)や

オールオンX(歯を全部抜いて歯槽相当部位から全部作り出すフルマウスインプラント治療)と

同じようにほぼすべての歯を歯槽部ごと移動させることが出来る

非常に大掛かりな治療法になります。

歯科矯正治療の中には外科矯正という場合もある為

本当に大掛かりな治療で劇的にお顔全体の印象や形を大きく変える治療も出来ます。

それから、一部の歯は全く移動させずにそこを固定源や基準位置として

部分的に移動させる治療から、

歯1本だけごくわずかに傾斜させたり挺出させたり(引張りだす)

圧下する(押し込む)ものまで

非常に幅広い治療が出来るのが矯正歯科治療です。

その中でインビザライン治療ではどこまでをカバーできるのか?

あの単純なアライナー矯正装置(マウスピース)で、

どこまでのケースを対象にできるのか???

この見極めは非常に重要です。

特に歯周病などのすでに骨の支えを半分程度失ってしまった後のような患者さんの場合、

あるいは歯並びだけではなく他にも多数の歯科疾患を抱え込んでしまっている中高年以降の患者さんには

どのようにアプローチして行ったらよい治療だったよと評価されるような結果に持っていけるのか???

という勘所というか、治療のコツというか、

診断法、治療ステージの立て方、治療法の選択というのが必須で、

今回は、そういう中高年の複雑な問題を抱え込んでいるケースに対して、

結構、実際の臨床に非常に役立つケースレポートとして

掲載していただいております。

 

是非、ご興味をお持ちの歯科医の先生方には一読をお願いしたいと思います。

 

また、インビザライン治療を受ける患者さんは、

先生にこのJAOという学術誌を先生は読んだことがあるか?

契約前までに尋ねてみるとよいと思います。

昨今は、卒後すぐにこのマウスピース矯正を手掛ける歯科医が増えてきているそうです。

歯科医側から言って労働のコスパが高い治療だからでしょうね。

昨今、医師でも「直美」問題が話題になっていますが、

他の大変な治療に携わることを嫌がって、美容系に卒後すぐに就職してしまう安直な医師というのが問題視されてきています。

それと同じようにインビザライン等のアライナー矯正に卒後すぐに就職してしまい

一般歯科治療の事を何もわかっていない(習得していない)のに

コスパがよい職場としてアライナー矯正だけしている職場に直に就職してしまう若い歯科医が出現しているようです。

とある歯科医が「直ピ」と命名していました(´;ω;`)

 

日本中の歯科医院の一般臨床の日々には、

様々な状態の患者さんが来院されて来られます。

とても軽症でこれ楽勝というケースの方も多数来院されるでしょうし、

どこも悪いところがないのになぜ来た?という心配性の患者さんも来られます。

逆に、

これは自分の歯科医院では絶対に手をつけちゃいけないという複雑な問題を

多数重ねてお持ちの患者さんも来院されますよね?

どういった患者さんまで手を出していいか?(治療に着手してよいのか?)

自分の治療スキルの範疇外の患者さんに手を出していいのか?

まずその見極めは、一般歯科治療でもそうですが、

矯正治療を行う上でもとても大切になってきますが、

その見極めが出来ますか?案外見極めるのは大変です。

 

また、インビザライン等のアライナー矯正(マウスピース矯正)の場合では、

患者さん側のコンプラアイアンスの高さ(約束を守る力や誠実さ、努力できるかどうか?)の見極めも

非常に重要になりますよね。

 

昨今、

 

こんな記事が巷に出回っています。
マウスピース矯正について多くの専門家が警鐘を鳴らしているという内容です。

 

契約だけ大量に取って計画倒産をおこなうような(?)

(計画倒産を最初から企てていたわけではないかもしれませんが、

こういうやり方はいずれ経営が破綻してしまう事は想像できるため

それがわかっていて、あるいは分かったのに契約をし続け結果

破綻させて多数の患者さんに大迷惑をかけたり)歯科医院は論外ですが、

そうではなくても広告宣伝費で潰れそうになっている歯科医院が増えてしまったのは

このインビザラインやマウスピース矯正の出現が契機の一つという現状があるようですし、

治療が全くうまく進まずにセカンドオピニオンを転々と繰り返す患者さんが

多く出現してしまっている現実が実際にあります。

 

成人後の歯列矯正治療には様々なリスクがつきものですが、その一例が

矯正治療の伴う歯根の吸収というもので歯根が矯正治療によりどんどん短くなってしまうものです。
これは小児矯正時にも起こり得ますが、

成人後の矯正治療で生じてしまうと

歯槽骨や歯茎がついて来難くなってからの矯正という時期的な問題もあって

患者さんが生涯不自由なくご自身の歯で何不自由なく何でも噛める幸せというのを

短く奪ってしまう場合もありえますから

非常に重要な問題です。

矯正治療で歯を動かすと大なり小なり必ずと言ってよいほど歯根の吸収が生じるのですから

中高年以降の患者さんの歯と骨、歯茎の状態によっては

動かしてはいけない歯(動かさないほうがよい歯)というのがしばしばあるわけです。

そういうのを治療前の診断時や、治療中の反応を見ながら

細かくコントロールしながら矯正治療はそれが必要な部分のみに行い

他は咬合調整や形態修正、保存的修復治療、補綴的修復治療など

様々な治療法を駆使して問題なく上手に仕上げるというスキルが必要になる場合があります。

実際にはどういう手技を歯科医自身が身につけておく必要があるか?

今回はそういう事を包み隠さず網羅して書いたのが掲載内容になっています。

 

普通の教科書ではここまで詳しく書かないんじゃないでしょうか????

(クインテッセンス出版の編集者さんに依頼されて結構細かく記載した内容になっています)

(最初はそこまで細かく記載するつもりはなかったのですが、

編集者さんがどんどん細かく記載を要求して来られましたから抗し難かった結果ですが)

 

若い方で歯周組織や骨の反応性がまだまだ高く組織のリモデリングがどんどんすすむというケースでは

さほど問題にならないケースでも

中高年以降の方が矯正治療のみで噛み合わせや歯並びを治して綺麗になりたい、

しっかり全ての歯でバランスよく噛めるようになりたいとご希望されても

それって矯正治療だけでよいのですか?????

可能なんですか?????って事になっちゃいますよね。

 

インビザライン&スーパーエナメル

場合によってはインビザライン&テールトップべニア、クラウン、ベニア治療というように

様々な保存的補綴的治療法を組み合わせて治療を進めなければいけないケースというのがありますから

そういうことを一般の方もちょっと知っておくことが必要でしょうね。

本来ならば歯列矯正は若い時に一度はきちんと行っておくのが大原則でしょう。

 

もちろん、歯科医はそういう患者さんのケースの治療時に何を選択できるか?

自分がマスターしている治療法の中で一体何を駆使すれば

綺麗な終わりに導けるか?!

色々と複合的な治療法をマスターしておくことが大切になりますね。

 

そういうケースレポートとして

今回はEASのベストポスターアワーを受賞した記念掲載という事で

掲載依頼がありお受けしました。

 

実際の治療って

ヒュ~!ヒュ~!ヒュ~!というほどチャラいものではないのです。

 

今回のケースでは非常に優秀で理解力の高い患者さんとの出会いがあって

非常によい結果を導き出すことが可能になったのです。

 

インビザラインで綺麗になりたいのですと言う人すべてが

この患者さんのように優秀な方とは限りません。

24時間のうち最低20時間はきちんとはめてくださいねと約束しても

はめない患者さんに遭遇する不幸なケースもあります。

また、ゴム掛けが必須ですから必ずここにこのゴムを掛けてくださいねと約束して渡しても

次の来院時にゴムが掛かってない、つまりはほとんど約束を守ってもらえていないケースも多々ありますよね。

そんなお互いが不幸になるような患者さんのコンプライアンスの低さに遭遇した際

貴方の歯科医院では、どう手を打ちますか????

様々な治療法を歯科医院がもっていなければ

その患者さんはインビザラインで治ると説明を受けたのに

期間内に治らないからこの歯科医院はヤブじゃないか??と

勝手にクレームをたくさんもって大学病院や他の歯科医院にセカンドオピニオンと称して

相談に行きまくって不信感が溜まったから契約を反故にして金額を返してもらって

転院したいと言って来るかもしれませんよね。

 

アライナー矯正は夢がある治療法で

患者さんがはめることも出来れば勝手に外して置けることも出来る装置ですから

患者さんのコンプライアンスが低ければいつまでたっても終われませんし、

途中止めではしなけりゃよかったのに・・・・という終わり方にしかならない場合も多々あり得ますよね。

 

結局はどうやって満足できる結果を出すか?!

そこが一番大切になります。

 

インビザライン&スーパーエナメルは

必ず結果が出せる治療法なんですよね!

患者さん任せのアライナー矯正治療であなたの患者さんはきちんとよい結果で終われますか?

すべての患者さんによい治療の終わりを作る為には、

ワイヤー矯正の腕も必要ですし、

必要ならば保存的補綴的手法も必要になりますよね。

 

今回はそういうちょっと複雑なケースについてしっかり掲載されています。

 

 

他にも

〇矯正歯科治療はなぜ重要なのか、そしてそれは本当に必要か

〇アライナー矯正治療後の歯根吸収(学術論文)

〇舌側矯正治療後にトルクが喪失した切歯をアライナーで改善した症例(症例報告)

〇アライナーおよび固定式装置を用いた治療における患者の満足度、不快感、疼痛の感じ方、社会経済的地位の影響に関する6か月間の評価(学術論文)

〇世界のアライナー論文概説

〇インハウスアライナー矯正治療の現在地とその未来(後編)

〇アライナー型矯正治療とノンプレップべニアを併用した歯列の審美性改善法(EASポスター発表最優秀賞受賞記念 症例報告)

〇矯正分析に強くなる ベーシックを学び、診断力をつける・のばす

〇Force driven aligner orthodontics 適切なアライナー矯正のノウハウを身につける  

第6回 過蓋咬合に対するアライナー矯正治療

〇知っておきたい歯科矯正学の基本の「き」19 モーションアプライアンス

〇論文・症例を読み解くためのアライナー・キーワード(2024年6号)

VAS(視覚的アナログスケール) Pearsonの相関係数 アライナーのトリミングデザイン

〇NEWS:国内外の矯正歯科学術大会より

●アライナー矯正治療の新たな潮流、内製化がもたらす変化を語る(第1回日本インハウスアライナー矯正歯科研究会)

●最新のデジタル機器に触れ、国際的な視点で議論を交わしデジタル矯正の未来を探る(第3回日本デジタル矯正歯科学会学術大会・総会)

●これからのMFTのありかたとオーストリア咬合学について語る(IOS・包括的矯正歯科研究会 2024年第3回例会)

●三者三様の治療コンセプトと治療計画をディスカッション(Degital ortho lounge #Aligner DAY)

●アライナー矯正治療の過去・現在・未来、現実の問題や臨床上の留意点と対処法を知る(第83回日本矯正歯科学会学術大会)

 

盛りだくさんの内容が掲載されています。

こういう学術誌を全く読まずにインビザライン治療やっていま~す!と集患してしまう歯科医が居れば

それは問題が深刻だなと思いますね。

 

という事で、

まだJAOを手に取って読みこんだことがないそこの貴方!

インビザラインしているけど学術誌?何?それ?
アタッチメントつけてIPRできて

インビザライン社に丸投げしておけばいいんじゃないの?なんて

思っているそこの歯医者さん。

 

まあ、そんな歯科医はいないと思いますけど、

今回のJAO是非、読んでみてください!

お勧めします!