こんにちは!
前回は、令和6年6月から保険診療の大改訂がされ、
その一例として
3例
①CAD/CAM冠、インレーの適用範囲が増えた
②光学スキャンがインレーで保険適用に入った
③PMTCに保険点数が配分された
をご紹介いたしました。
今回はその続きとして
●矯正相談が保険適用に入りました。
学校歯科検診で歯並びに問題があるに☑が入ったお子さんは
公費で歯科矯正相談を受けられる仕組みが出来ました。
こちらについてご紹介しておきます。
毎年、たいてい決まった時期にお子さんは学校で歯科検診を受けて
その結果のお知らせを保護者の方に見せてくれていると思います。
昔は、歯科検診と言えば虫歯と歯ぐきの状態、歯磨きができていそうかどうか?程度のチェック内容でしたが、
昨今の集団歯科検診は、生え変わっているはずの乳歯がまだ残っていたり、歯並びやかみ合わせや顎関節に問題があると
チェックするようにその検診内容も大きく変化してきました。
それで、虫歯や歯茎の状態に☑が入っていると
親御さんはお子さんを近隣の歯医者さんに連れて行って
歯科医院できちんとした検査を受けなおして
治療や指導をしてもらう事が当たり前になっています。
それは、虫歯や歯磨きの状態や歯茎の状態が悪いとCやG等の保険病名をつけて
どこの歯科医院でもきちんとした検査と指導と治療を行ってもらえる保険医療の仕組みが
ちゃんと出来上がっていたからです。
ところが、
最近のお子さんで虫歯があるのは
ネグレクトを受けているか困窮家庭を疑うような
歯や子どもに全く関心を持てないとんでもない親の元に育っているお子さんぐらいと言われるようになっており、
ほとんどのお子さんは虫歯はなく歯磨きもある程度する習慣がついていて
(前回書いたように歯垢染色液で染め出して確認してみると2割程度は磨き残しがあるのが普通なので
染め出しをしない状態で集団歯科検診を行っても細かい部分の問題は見逃されるのが普通)
歯ぐきもそんなに腫れていない(ぱっと目視でわかる程度の酷い歯周炎にはなっていない)のが
一般的なお子さんの像になってきています。
それは長年歯科がとても頑張って啓蒙活動や歯磨き指導を行ってきたり
民間の企業や歯科関連品を取り扱う各事業体が製品開発を進めて来た長年の素晴らしい成果の賜物なのでしょう。
特にフッ化物入り歯磨き粉の流通が当たり前になり
お子さん用歯ブラシも各種販売されていますから
歯磨きの習慣があればまあほとんどのお子さんに虫歯や酷い歯肉炎は見られなくなってきています。
またかかりつけ歯科制度が浸透し、
地域にたくさん喜んで子どもを診てくれる歯科医院が増え、
さらに
小児・学童期は医療費自己負担ゼロという地域がほとんどになってきていますから
虫歯になりやすそうな部位にはさっさとシーラント処置をしてもらうお子さんだらけになっていますから
子どもの歯の健康に関心を割ける親御さんの元に育っていれば
日本人の平均像として
子どもには虫歯も歯肉炎もほとんどないというよい時代になってきているのです。
ところが、
日本国民には健康的な生活を送る権利があるはずなのに
ずっと手を付けられずに無視され続けて来ていたのが
歯並びやかみ合わせだったのです。
こういう歯並びやかみ合わせに問題を抱えている人って、
いつから問題を抱えていたのですか?
と考えるとわかりますよね。
それは子どもの頃からですからね。
歯並びも咬み合わせも一朝一夕に生じる健康問題ではなく
ずーーと子供の頃からの悪い芽がどんどん問題を抱え続け
その結果、
歯を失ったり、歯周病を誘発したり、歯の破折リスクが爆上がったり、
磨き残し部位が増えどうやっても磨けない部位が生じたりして虫歯に繋がっていったり、
歯並びが悪いがために虫歯になって神経の処置が必要になって抜髄になって無髄歯になっったために歯が黒ずんで見た目に大きな問題を抱えたり、
歯並びが悪かったり顔の形が歯並びに起因して特徴的だったりするから
クラスメートに馬鹿にされたり気持ち悪がられたり、コンプレックスを抱えて思いっきり笑うのが憚られる暗い学校生活を強いられたり、どの世界の人が見ても日本人の悪い歯並びが放置されているのは何故???ですか???
と馬鹿にされたり蔑まれたり気味悪がられたり笑われたり・・・・・
これって、
憲法の基本的な人権が蔑ろにされているのではないですか??
日本国憲法第二十五条は、(1)「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」
憲法は、すべて国民は個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とし(十三条)、全て国民は法の下に平等であって、人権、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されず(十四条)、すべての国民に対し健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障し、国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない(二十五条)旨を規定している。これらの条項は、生存権の重要な部分をしめる医療と人権に関する憲法の基本的な考え方を明らかにするものである。
って、色々なところから指摘を受けるようになるにしたがって、
国がやっとその重い腰を上げ
学校歯科検診で歯科医によって歯並びやかみ合わせや要注意状態で乳歯が晩期残存していたりしている項目に☑がはいったらその相談までは健康保険を使って歯科医院に行ってもらってよいですよ
(さらに公費負担制度があるのでお子さんが保険診療を受ける場合は、
実質自己負担無料や数百円程度でOK)とやっとなったのが
今回の保険の大改訂の目玉なのです!!素晴らしい!!!!
第212回国会に衆議院厚生労働委員会から提出され、
1 請願審査に関する件 ・本委員会に付託された請願(18 種 146 件)について審査を行いました。
・以下の請願について、採決の結果、全会一致をもって採択の上、内閣に送付すべきものと決しました。 (賛成-自民、立憲、維新、公明、国民、共産、有志)
① 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(1件)
② 全ての世代が安心して暮らせる持続可能な社会保障制度の確立に関する請願(12 件)
③ 子供の歯科矯正治療における保険適用範囲の拡充に関する請願(1件)
引用:
学校の健康診断で要治療となった子どもの歯の矯正は、保険適用にしてほしいー。山梨県北杜市の小尾直子さんの訴えから始まった署名が、8万1000人にまで広がっています。小尾さんは1月15日、橋本岳厚生労働副大臣に直談判。橋本副大臣は「保険適用されないのはスジが通らない」と改善を約束しました。
小尾さんの長男(高3)は中学2年のときの歯科健康診断で、「歯列・咬合」が「要受診」という結果の「お知らせ」を学校からもらいました。「お知らせ」には歯科を受診し、結果を学校に提出するよう書いてありました。
虫歯の治療の折に歯科医師に矯正の費用を相談することもありました。矯正は保険適用とならず自己負担です。精密検査だけで5万5千円。矯正費用は30万~70万円。毎回の診察も5000円から1万円で、総額65万~95万円かかることがわかりました(相談に行った歯科医院での治療費です。うちの歯科医院ではそこまでかかりませんが・・・)。
小尾さんは母子家庭。本業だけでは生活費が足らず、アルバイトをする生活です。学校に出す受診結果には、「経過観察中」と書いてもらいました。
小尾さんの長男は以前、「もしおれが宇宙飛行士になりたくても、歯が悪いから、なれないな」と話したことがあります。「歯並びが悪いことで子どもの夢が壊され、将来の職業選択に影響が出ることもある。息子が笑ったときの歯並びを見るたびに苦しい思いになります」
共感広がり署名8万人
保険適用を求めて1人で自治体に請願を出すなかで共感が広がり、2017年1月、「保険適用拡大を願う会」が発足。昨年1月からとりくんだ「子どもの歯科矯正に保険適用の拡充を求める」国会請願署名は8万1000人にのぼりました。地元自治体や国会議員、日本学校歯科医会などの関係団体に要請を続けています。
検診項目作成に関わる日本学校歯科医会に「保険が適用されないのになぜ『歯列・咬合』の項目があるのか」と聞くと「歯並びが悪いと全身に影響を及ぼすため、項目から抜くことはできない」と言われました。
日本共産党の宮本徹衆院議員も同席した、橋本副大臣との面談で小尾さんは訴えました。「費用の負担が高額で治療に踏み切れない親子は周りにも多くいます。2人の子どものうちの1人しか治せない、という声も聞きました。学校検診で要治療と通知されれば、治療に該当します。治療が必要な場合は保険適用にしてほしい」
検診項目は厚労省とも協議して決めています。
学校検診で要治療となる項目では、
「歯列・咬合」以外に保険が適用されない項目は「ない」と橋本副大臣。
橋本副大臣は「学校から要治療と指摘され、
受診結果を出せというものに保険が適用されないことはスジが通らない」とのべ、
「関係団体と調整したい」と応じました。
(注:私的に得た情報を基にネット検索をしたらこのページが上がったので貼ってあります)
https://readyfor.jp/projects/shikakyousei/announcements
同じ歯科治療のなのに、歯科矯正については「相談料」から保険が適用されず、
3,000円~という料金が発生します。
これでは相談することすら考えてしまいますし、本来の医者の仕事に疑問を持ってしまいます。
相談することすら躊躇させてしまう今の医療制度では、頼るべき場所(病院)に足を運ぶことすらできません。
その点も十分考えたうえで、一刻も早い医療制度の見直しを行ってもらいたいと思います。
こういう国民一人一人の問題意識が
国にきちんと伝わっていくことは
本当に大切なことなのだな~~~~!!!
と
活動には歯科医師側として頭が下がります。
確かに!!
学校歯科検診で外せない集団検診項目に
☑が入った後の受け皿が公的に用意されていなければ
片手落ちです。
ということで、
この度の保険の大改訂から
国が学校歯科検診で☑が入っているならば
その受け皿として令和6年6月から
地域の歯科医院できちんと歯並びに関して保険診療で相談できるように
大改善がなされました。(新設)
保険医が頼りにしている赤本によれば(この本、保険改定の度に歯科医院は買う必要があり1万円もするので高いんですよ)
学校歯科検診で不正咬合の疑いがあると判断された患者に対して、
歯科矯正治療の保険適用の可否を判断するために必要な検査・診断等を行った場合、
歯科矯正相談料を算定する事。
歯科矯正相談料2は、歯科矯正診断料/顎口腔機能診断料の施設基準届出をしていない一般歯科医院で算定する。
つまり、親御さんが好きな歯科医院を選んで
学校歯科検診結果の紙(歯並びに問題があるとか、要注意歯があるとかに☑が入っていると行きますよね)をもって
歯科医院で「診てもらいたいんですけど~~~」と予約して行けば、
学校歯科検診で不正咬合の疑いを指摘されて来院という事から
保険適用で(小児、学童、学生の時代の医療費は地域行政から助成があって実質無料)
岡山市の場合はこちら(他所のエリアよりショボい)
レントゲン(パノラマ)、型どり、口腔内写真、顔面写真などの検査を小学生なら無料(岡山市)で、
中高生なら1割(岡山市)で受けられて
きちんと診断と説明を受けられることとなりました!!!
さらに、
万が一保家診療で矯正治療を受けられるケースに該当すると診断される場合も
「外科矯正が必要になるほどの骨格的な問題を抱えているケースの他、
以下のケース(歯科だけではなく医師の診断書が必要になる場合もあります)
- 唇顎口蓋裂
- ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
- 鎖骨頭蓋骨異形成
- トリーチャ・コリンズ症候群
- ピエール・ロバン症候群
- ダウン症候群
- ラッセル・シルバー症候群
- ターナー症候群
- ベックウィズ・ウイーデマン症候群
- 顔面半側萎縮症
- 先天性ミオパチー
- 筋ジストロフィー
- 脊髄性筋委縮症
- 顔面半側肥大症
- エリス・ヴァンクレベルド症候群
- 軟骨形成不全症
- 外胚葉異形成症
- 神経線維腫症
- 基底細胞母斑症候群
- ヌーナン症候群
- マルファン症候群
- プラダー・ウィリー症候群
- 顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。)
- 大理石骨病
- 色素失調症
- 口腔・顔面・指趾症候群
- メビウス症候群
- 歌舞伎症候群
- クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
- ウイリアムズ症候群
- ビンダー症候群
- スティックラー症候群
- 小舌症
- 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)
- 骨形成不全症
- フリーマン・シェルドン症候群
- ルビンスタイン・ティビ症候群
- 染色体欠失症候群
- ラーセン症候群
- 濃化異骨症
- 6歯以上の先天性部分無歯症
- CHARGE症候群
- マーシャル症候群
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。)
- リング18症候群
- リンパ管腫
- 全前脳胞症
- クラインフェルター症候群
- 偽性低アルドステロン症
- ソトス症候群
- グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
- 線維性骨異形成症
- スタージ・ウェーバ症候群
- ケルビズム
- 偽性副甲状腺機能低下症
- Ekman-Westborg-Julin症候群
- 常染色体重複症候群
- 巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変)
- 毛 ・鼻・指節症候群(Tricho Rhino Phalangeal症候群)
- その他顎・口腔の先天異常」
保険医を取っている矯正治療を保険適用で提供するための施設登録をしているような
保険医でありさらに矯正専門医で外科矯正などの高度な矯正治療まで提供している一体それどこ???と
一般のかたにはどこがどうなのか???よくわからないでしょうからお勧めの施設へ
おかかりになった一般の歯科医院からちゃんと紹介をしてもらえるものと想像できます。
紹介された先では、
その歯科医院の専門的な規格に基づいて再度必要な資料が採取され保存され
さらにセファロ撮影によるセファロ分析まで保険診療で受けることが出来るようになりました。
つまりは、
学校歯科検診で早めに成長発育の問題を集団検診下で発見してもらい
早めに相談を受けられる環境がこれで整ったことになります。
一般歯科では上記に上げたような非常にシビアなケースではない軽度の成長発育に問題を抱えているケースを担当する事となり、
予防矯正や小児矯正を受けることが出来ないお子さんであったとしても
口腔機能発達不全症の病名があるので
その病名の元、お顔つきの異常や歯並びの異常、飲み込みや食事の食べ方、発語発音、姿勢、舌の筋力、ポジションなどについて
17歳まで継続管理下にいることが可能となり、
その他の歯科疾患の継続管理とともに口腔機能についても保険診療で指導管理を受けることが可能になったのは
本当に素晴らしい事ですね!!
歯並びが悪くなったり、歯が欠けたり、歯の一部が弱くなったり色がついたり、
歯ぐきの腫れがいつまでも治らなくて口が超臭かったり・・・・・・
色々な疾患の芽は子どもの頃からちゃんとあるので、
それをきちんとよい方向へと修正していくことを歯科医院で行ってもらったり
教えてもらっておいたり、
後に必要となるだろう本格矯正の費用や期間などの概算を聞いておき生活費から仕分けしてレジャーや役に立つのか絶たないのか?わからないような習い事に使い果たすのではなく計画的にお金を貯めておけるという事は
お子さんのその後にとって
本当に役立つことですよね!!
という事で、
今回、
実に素晴らしい保険の改定がありましたので
お子さんをお持ちの親御さんは
しっかりとその恩恵を甘受してください!
当院では、
保険適用に入る前から
しっかりと小児期の口腔機能の発達と向き合って
すでにベテランの域に入った歯科衛生士達が
しっかりとお子さんの成長発育の問題を指摘し
指導管理してくれます。
しかも、
従来型の小臼歯抜歯による歯の移動スペースを確保するタイプの矯正歯科医院ではない為
お子さまの成長発育に応じて様々な効果的な既製品のトレーナー装置を駆使して非常に安価で
歯並びまでも綺麗に治してきた実績の数々がすでにあります。
実際に成長発育期に歯並びよくお顔よく育てていくことは自費治療になりますが、
学校歯科検診で☑が入っている紙をお持ちいただければ相談は公費で(自己負担金無料)で行えます。
とうとう、日本もここまで来たのか~~~~!
と、感慨深く思っております。
学校に行っている間は、せっかくの権利ですから
毎年歯科検診の紙をもって相談に行ってください!!
大人になったらもう美容のためにという事に分類されちゃうことが多くなるし、
歯ぐきが歯の移動に対してついてきてくれなくて歯が長~くなったり
ブラックトライアングルが出来て悩みが深くなったり、
そもそも、小さな頃に歯医者に行かなかったツケが溜まりにたまって
歯並びだけの問題で終わらない…という事によくなりますから
子どもの頃は公費をしっかり使ってきちんと歯科医院に行きましょう!!