今回のドバイ歯科ツアーでは
世界大会に参加するだけではなく、
主催者の計らいと努力によって
①ドバイで開業しているあの麻生先生のTCS(東京美容外科)が展開しているドバイ分院の見学や
②ドバイで歯科医として働くためにサポートしてくれる会社との顔つなぎや
(日本での経験3年以上(研修医時代含む)英語で試験を各ステージングの受けて合格すればドバイの各ステージングの資格が取れる。たぶん日本の歯科医師免許を海外で使う際に今ならば最も簡単なのでは?)
③SNSで有名な竹花さんのMDSでのセミナー
そして、そのセミナーに参加する若い起業家たちとの交流
➃DSDトレーニングセンターを併設する現地歯科医院の見学
などなど色々と日本から一人で行ったのではお会いすることも出来ない人達に歓待していただけたので
本当に得難い経験となりました。
そもそも育ってきたとはいえ未だ中規模のドバイの歯科大会に来たところで何があるの?って感じでしたが、
こういうサブ企画(もしかしたらこっちのほうがメイン??)が
たくさん組み込まれた歯科ツアーは滅多にないなと感じたので参加しました。
とはいえ、私はたいていの場合、個人で学会や歯科大会に参加してきたタイプなので
もしかしたら団体で動くと、最近はこういうものが増えてきているのかもしれません。
昨今の歯科のグループは経営重視というところが多数ありますから(腕より収益重視)
歯科医個人や医院全体の技術研鑽よりも歯科グループ全体の収益に直結する経営的なことを
主に学ぶという団体も複数あるようです。
歯科への逆境(保険診療費の割り当てが何年もずっとあげられていない)に負けない強い経済体制づくりが大切になっていたりするのでしょう。(収益がなければ設備投資,更新も出来ませんし、感染対策も疎かになりますし、材料の管理も不十分になり優秀なスタッフも雇えませんからね=古臭い設備でなんでも使いまわすしかなくなり技工所も安いところにごり押しして製作依頼するしかなく関わる人の人生が疲弊してしまいます。今どきごり押しできるのは家族単位。その程度の規模で歯科医院を運営するしかなくなり、体力の衰え視力の衰えとともに突然閉院。。。
もちろんそういう歯科医院を好んで来院される人も多数おられますから
それはそれで街の散髪屋さんや家族単位の飲食店がつぶれないのと同じように一定の人に支持され
やり方次第で十分やっていけます)
また自費診療(予防、矯正、審美、インプラント、ホワイトニング、ノンクラスプ義歯)や
往診などで収益が経営側に蓄積されたらされたで、
累進課税の日本の高い税金をどうかわすのか?(脱税ではなく合法内での節税)など
(法人は固定税率ですが自費治療には消費税がかかるのはどの業態も同じ)
金銭面でボンヤリとしていたのでは老後の医療スタッフへの貯蓄も相続も出来ません。
ブラック企業のまま突っ走り続けて社会で使い捨てにされる人生って皆嫌ですよね。
(医療分野では長年、有給休暇がなく自己研鑽の名目で残業もつけてもらえず、退職金制度がないのが当たり前でした。
昨今はモンスターペイシェントや業者ぐるみのSNS対策にも疲弊する事となり、
材料費人件費設備費諸々の価格高騰が保険医療費に反映されない異常事態が長年継続、
昔ながらのパワハラセクハラの温床になりがちな閉鎖空間の医療の現場で、
なかなかホワイト企業にはなれない古くからの体質は未だ多く残っています。
年功序列や女性軽視、女は酒注ぎが出来ないとダメなど
嫌な体質のままの男系社会が根強く残っていたり。
ま、そうはいっても少しずつ改善してきていますけどね)
他の日本人と同じように歯科に従事する人間も
税金対策や新しい経営や新しい法律、社会の変化について貪欲に学んで行かないとやっていられない
歯科医として腕がよいだけでは老後食べていけない厳しい日本になってきていますから
今後は学会のような高尚な歯科の学術的な内容や技術研鑽だけではなく
もっと泥臭い方面の勉強をどんどんしていかないと生き残れないのでは?と皆に不安が広がっているのでしょう。
この辺りは多くの日本人が漠然と持っている日本の未来への閉塞感と不安感と同根でしょう。
社会保険料をこれ以上あげられては日本国民全体が疲弊するので
無駄だらけの医科や薬科割合が高どまりのまま(政治の大票田になっている)では
歯科の未来は暗いままと感じてしまうのは当然でしょう。
わが国では、昭和36年より国民皆保険が導入さ れており、すでに50年が経過した。
その間の国民医療費と歯科診療医療費の推移を図1(国民医療費より作成)に示した。
歯科診療医療費は、昭和53年から昭和63年ま では国民医療費とほぼ同じ増加率でその1割以上 をしめていたが、
平成4年以降増加率が小さくな り、平成8年以降は約2兆5千億円のまま横ばいで 推移している。
国民医療費は平成21年時点で、36 兆円を超えており、
歯科診療医療費は2兆5,587億 円であり、国民医療費の7.1%にまで減少している。(=保険診療ではやっていけないと同義)
https://www.fihs.org/volume12_1/articles6.pdf
さて、AEEDCでもDSDが関連したりiosという事で
様々なレクチャーがありましたが、
基本的には日本の歯科は全く遅れを取っていないことを確信しました。
もちろん、保険診療では先進医療からは何周回も遅れしてしまうのが常ですから
保険点数がつくまで保険診療主体で行う歯科医院は設備投資もせず様子をうかがうので
世界から取り残されてしまいがちですが、
岡山のような地方に居ながらも当院が行っていることはまさに最先端の歯科治療だし、
先進医療機器がすでに複数搭載され日々稼働していることを確認してきました。
これに関しては革新的評価をいただいた3度のものづくり補助金採択のお蔭です。
先進医療機器の数々を通常の半額程度の自己負担で導入させていただけたので
利益の蓄積があまりなくても最先端医療機器を次々と導入できたからです。
さらに、スーパーエナメルに至ってはすでにインビザライン&スーパーエナメルまでのシステムを構築し、
CT(3次元レントゲン画像)と口腔内STL情報をクラウド上でマッチングしながら
矯正の治療計画を安全に立案して
単純なマウスピース(アライナー)で歯根と歯ぐきの位置を通院回数少なく自宅にて最適な位置に移動させ
その後、歯の色や歯の形や歯の表面性状を真っ白で綺麗に歯質を失わせることなく
極薄のセラミックべニアを歯の表面に貼ってもらうという審美治療「スーパーエナメル」を
追加することで真っ白で艶が永遠に落ちないとても素敵なスマイルになることまで可能にしています。
多くの歯科医院は普通のべニア治療までは導入していますが、
(とはいえ、矯正歯科だけしている歯科医院ではベニア治療さえもできない)
DSDのべニア技工の進歩が停滞しているままなので
(何しろ世界中にフランチャイズ化している為
そんなに上手い技工士を大量に雇用出来ないから)
歯を削らないべニア治療と標榜していても
エモーショナルモックアップをした後に
ガイドグルーブをガツンと歯の表面に入れられて最終仕上げ形態から引き算して
マージンを作ったうえで0.3mmから0.5mm
上手い技工士と組んでやっと0.2mm削られちゃうのが、まだまだ一般的。
酷く削りに行くタイプの歯科医院では
もうね~歯の表面の一番接着に大切とされている
エナメル質をガツンと削り取って
さらにせっかく矯正治療で作った天然歯ガイドまで全部削り取ってしまって
逆にセラミックの接着強度を落としてトラブル生んでるのでは??
というような治療を進行されてしまうケースも多発しています。
スーパーエナメルはマージン(歯の形成限界。どこまで削ったかの境)を
ハッキリ作る必要は全くありません。
そもそも歯の大切なエナメル質を削り落とす必要がありません。
なぜか?と言えば
そこが技工士の腕と情熱、根性なのです!!
部分部分で全く異なるセラミックの厚みによる
下地の歯や口腔内の暗さの透過性の差を技工上で消す為に
ジルコニアを焼結する前に
プレシンタリングインフィルトレーションテクニックという素晴らしいテクニックを駆使して
極薄セラミックの局所的な厚みによる色調表現の差を個々に、部分部分で打ち消すことをしています。
このプレシンタリングインフィルトレーションテクニックというのは
極薄べニアの内面から色を浸透させて
独自の色を作り上げる技工上の最上級テクニックです。
またそのために模型は元の歯冠色を再現しておく必要がありますからダイコアに着色技法も追加しています。
そしてほとんどの技工をしたことがない歯科医がわかっていない事ですが、
ジルコニアは局面で焼結後の収縮率が僅かに異なります。
というか、局面があれば同じ収縮率でも彎曲が生じますから
模型に復位するために技工士が上手く微調整をくわえる必要があります。
模型はもちろんですが分割模型と非分割模型の2パターン、
必要であればガムアリとガム無しトリミング模型を作って
技工物を歯に完全にフィットさせにいく追求した技工が必要になります。
この辺がジルコニアべニアがプレスガラスセラミックの技工とは100歩異なる
超難易度が高く手間がかかるので多くの技工士が敬遠したがる主な理由です。
ジルコニアはコンピューターでデザインされますが、
その硬さゆえにミリング(削りだし加工)時には軟らかいチョーク状の硬さで一回り大きな形状で加工された後
焼結という工程を経て必要な光沢と透明性と結晶構造に変化させる工程が欠かせません。
焼結収縮するので彎曲するのです。
必ず意図しない部位で模型に当たってくるのです。
それでスペーサー設定をしたり模型を作っておいてフィッティング確認インクをつけて
細かく技工士が調整する必要があるのです。
オールデジタルでスーパーエナメルを作れるという技工士は詰めが甘い緩すぎる技工物しか
作れないやる気がない技工士という事なんですね。
そういう技工物では審美治療はダメなんですよね。
それがなかなか6前歯~10前歯連続ものの技工を自分はしないので歯科医自体がわからないのです。
そもそもデジタルもので鋳造モノのように超絶フィットを期待してはいけません。
素材が生体親和性が高くなっていますから
その特性に大いに助けられるという面があります。
スーパーエナメルは歯を削らない治療なので
エナメル質が超厚く温存されます。
そもそもきちんとした厚みのエナメル質が歯に残っていれば歯は強いのです。
その上に樹脂を一層接着材としてコーティングして
溶けない歯にしたうえで
さらに樹脂だと吸水性がありますからどうしても汚れてきますし
摩耗してきますし、艶が元の状態と違ってきますから
不変の極薄セラミックで覆ってあるまあ、いわば究極の予防的審美治療法です。
最強の極薄セラミックはジルコニアなので
化学的変化を全くしないジルコニア内面には
サンドブラスト処理だけではなく
ホットボンド処理を必要なスペーサー設計をしてマージンフィットは阻害しないで
設計し強固な接着を可能にしています。
こういう様々な技工技術を追加追加で入れ込んで作製する上に
さらに接着系セメントは特殊な日本未認可品を当院などでは使用して念入りな色だし色遮蔽をしています。
(各加盟歯科医院で使用される接着性セメントには推奨はあっても決まりはありません。
接着剤はその保管法や使用期限をきちんと守らないと接着力が急激に落ちるという化学的特性がありますから
滅多にスーパーエナメルのケースが出ない歯科医院では
推奨するセメントを良い状態で維持できないからです(何しろ一々材料が高いので))
とにかくこういう超絶技工物を誠実に作り続けられる技工士は稀です。
星の数ほどの技工士が売り込みに来ますが
お眼鏡にかなって今現在製作している技工士はどうしても限られてしまいます。
技工士も人間ですから皆、楽して稼ぎたいとついつい手を抜いてきますから
(それでもまだものづくりに携わって実際に手を動かして形あるものを作り出しているだけでも実は偉い尊敬に値する日本人です。日本からこのものづくりの気概を無くしたら何の魅力もないペライ国になってしまいますね)
とにかく技工物の出来の管理。これがとても大切です。
日本に現在40歯科医院加盟歯科医院があって
スーパーエナメルを多くの方にご提供し続けてきていますが、
このものの管理や品質の向上、情報の管理を行う会社は
歯科医院とは別業務ですから作ってやっています。
会社設立についても
過去ブログに書いていますから昔から読んでくれているファンの皆様はすでにご存知ですよね?!
最新の加盟歯科医院情報はスーパーエナメルHPで!)
そして、さらに最新医療として
ライトタッチレーザーで
まるでジェルネイルのような手軽な感覚で
セラミックを削らなくても
Er-YAGレーザーを当てれば
簡単にスーパーエナメルを除去できバージョンアップしたり
着せ替えしたりできる
そういうシステムまで導入しています。
このEr-YAGレーザーの効果は
ベニア除去だけではなく
根管治療時の殺菌やスメア層の除去、
虫歯治療時の殺菌や保護膜形成、
歯周病の殺菌や根面のデプラーキングやルートプレーニング、
黒ずんだ歯茎を綺麗にしたり
小帯を痛みなく切除したり
一瞬で大きな口内炎を無痛で治したり
インプラント周囲炎を治したり
セラミック冠を除去したり・・・・・・
と様々な診療の質をこの機械がなければ絶対に無理なことを一気に可能にしてくれる超絶優れもの。
これに関しても今回のドバイ研修の目玉で、
レーザー歯学会の重鎮の永井先生による
(日本レーザー歯学会 常務理事・認定医、ALD(米国レーザー歯学会)認定医・指導医、WFLD(国際レーザー歯学会)日本国代表・アジア環太平洋支部理事、日本レーザー医学会 評議員、東京医科歯科大学 歯周病学分野 歯周光線治療学 非常勤講師)
参加歯科医へのスペシャルレクチャーで再確認させていただくことが出来ました。
さらに、今の時代すでにこのシステムを使いこなすのは多くの歯科医院で当たり前になっていますが、
インビザラインのレクチャー
(AEEDCにはまだ日本発売に至ったiTEROの最新バージョンさえ
展示されていなかったので
流石のドバイとはいえ中東諸国の歯科の遅れ度合がなんとなくわかりましたが)
(インビザラインのレクチャー内容も基礎の基、
最初の一歩のような内容で・・・全く何の足しにもならなかったです)
小児の育成矯正や気道へのアプローチ、
DSD以上に繊細な技工技術者とタッグを組む事までできていますから
岡山のような地方の歯科医院でも全然負けてないなあ~というのが正直な感想でした。
昨今、どこのデンタルショーに行っても
デジタル化の波でワイワイと
歯科全体が浮かれていますが、
実際にデジタルにするとできる事と
まったくまだまだ駄目なことがあります。
熟練の技工士の技にはとうてい安易なデジタルは及ばない。
ですから、今回のAEEDCの表看板を買っていた
中国の一企業(今後伸びて来ることを予想はしています)
が出しているものは
まだうちのスーパーエナメルを越えられないw
日本の技工士の匠の技は
デジタルに圧倒的な差をつけて勝っている!!
ま、そのうち資本力で負けちゃうかもしれないが・・・・・
日本ってそういう運命なのかな??
もうちょっと頑張れるだけは頑張るか!
と思って帰ってきたのでした。
さあて。
もうちょっと頑張るか!
そう思って
日常の診療に戻ったのでした。