インビザライン矯正って皆さんはすでによくご存知ですよね?

 

こんな透明な上下別のマウスピースを

1日24時間のうちの20時間以上1週間づつステップアップしながらはめ続けていたら
すっかり綺麗に歯が並びますよっていう超スマートな矯正治療法です。
 

基本、この装置を作るには

上下の歯型をスキャンしたり

精密印象(ピンクや黄色の保険治療で使用するようなアルジネート印象みたいなちゃっちい型どりではなく、
シリコンを用いた精密な型どりが必要)で

各歯の面に最低でもちゃんとフィットするような

まともな型を上手く採取して

(自宅に送られて来た型どりキッドで印象の内面の状態も読めない素人の患者さん本人が型を自採りして

郵送して作るなんて歯科をなめてんのか?って疑うような、な~んちゃってアライナー製作所行きという

インビザライン以下のバッタもんも中にはありますから

皆さん、誤って選択しないように十分ご注意してくださいね)

それを基に各ステージング毎の3Dプリント模型(プラスティックのモデル)を作って

そこに3層構造の弾性がありつつ持続的復元性を保証した

スマートトラックという特殊な矯正治療に特化して開発された

透明なプラスティックシートを加熱成型圧接加工して

作ったマウスピースを綺麗にトリミング加工して

(以上の工程は清潔な環境下で汚染物混入が防止されたシステム下で作製される必要がある=口の中に入れるのでね)
必要事項を印刷表記されたプラスティック製の袋に個別包装して完全シーリングされて

変形を防止するために

パッケージングされ、

段ボールに梱包されて

空輸されて

歯科医院に届くという国際基準にちゃんと適合していることが保障されている

アライナー装置による矯正治療というものがあり、

その信頼性は世界中の歯科医に支持されているので

世界100カ国以上の国々で提供され、

これまでに1200万人超患者様に

提供されて来た最高にクールな矯正システムに育ってきています。

 

 

空輸???国内で作ればいいじゃ?

って思う方がおられるかもしれませんが、
国内で同規模で同じグレードの仕組みを提供しようとすると

半端なく高くつき

インビザラインごときの治療費設定ではご提供不可能です。

世界広しと言えども

誰もそんな損なことで歯科医院側にもリスク大な矯正治療は成功しないです。

 

日本でインビザラインと同じグレードの医療サービスを構築しようとすると

無償奉仕どころか超赤字になりますね。

医療も赤字では持続的な事業は出来ません。

(国が補助金で全部カバーしてくれるなど何かあれば可能かもしれませんが、

歯並びを治すことには保険さえ使わせてもらえないのが現状ですね)

 

この前、運送会社のクロネコヤマトが、

アライナー矯正システムを開始したとニュースでやっていましたが、

あれをあえて選択する人がはたしているのでしょうか??

 

そもそもですが、技工士さんも

投資家の人も
歯を動かすってことを舐めてませんかね?
こういうのに参入してくる人を見ると、

責任の所在は歯科医にあるというのを悪用して儲けようとしている事業としか思えないですよ。


歯を動かすと歯根は吸収し
骨のリモデリングがちゃんと滞りなく行われないと

歯はグラグラになっちゃいます。
下手に動かせば歯茎が下がりますし(歯茎がついて来ない)

薄々の骨が更に薄くなり

下手すりゃ歯の神経も死にます。

下手な矯正治療を受けたばかりに

80歳で20本の歯を残し

不安なく食事出来歯磨きも楽という明るい将来を破壊する事につながる場合もありえます


歯並びを変えると必ず咬み合わせ不調はいったん生じます。

石と同レベルの歯どうしが最終ゴールに行く前にガツンガツン変な位置で咬む度に当たるのですから

矯正途中に歯が欠けたり歯が折れたり歯が割れたり

修復物が外れたり歯にヒビが入る可能性も

矯正治療したせいで治療中に一時的に高まります。

矯正治療で歯の位置を動かすときは

どの歯科医も非常に神経を使う必要があり
患者さんも歯科医のいう事をよく聞き、

歯科医の管理下で必ずトラブル少なくなるように

順序良く行われる必要があります。

 

ヤマトに就職した技工士さんが

歯科医院から受注を受けてマウスピースを作っては~い宅配便ですって

各家庭?各歯科医院?に送り届ければ歯列矯正がトラブルなく進行すると信じる人って

果たしてどれくらいいるのでしょう?

通常80万円~120万円の矯正治療に革命をもたらし
(海外では60万円が標準)

20万円台、30万円台で可能にするなんてのは

もはや医療ではない??

ちょっとかなりやばい??と

普通の歯科医ならば疑ってしまいます。

矯正治療の勉強をきちんと積んできた高給の歯科医が

ほぼ関わらない(注文を取って型を取って送るだけ?)

秀逸な歯科衛生士もほとんど関わらない、
安価な時給の技工士主体の矯正、

人件費ケチってるからそんなに安いんじゃないのかな?

安すぎる矯正??怖いな~って思うのほうが

普通のように思います。

 

まあ、そういうバッタもん商法は

どの業界にもありますし、

バッタもん好きという人は一定数いますから

そういう事業もちゃんと成り立つのかもしれません。

廃業せず訴訟も少なく何年くらいヤマトが関わるのか?

今後も注目してしきたいと思います。



もちろん、

インビザラインは有名で秀逸な世界的な企業のシステムですが、

インビザラインを選択したらどのケースも上手くいくと気楽に考えてる人もいるかもしれませんし、

日本だけでなく海外にも

多数のバッタもんな~んちゃってマウスピース矯正を提供する技工所や業者は多数あり

みんな辟易しているし、

矯正歯科学会や歯科の学会では素通りされてる技工所ブースが多数あるのは

ちゃんと矯正を勉強している歯科医ほどよく知っていますから

ま~、そういうのをあえて選ぶ人も中にはいるんだな・・・

程度の受け止め方しか矯正歯科ではされていません。
ワイヤー矯正でも治療のグレード、仕上がり度には

かなりのバリエーションが存在していますから
アライナー矯正もそういうバリエーションが許容範囲内であれば問題にならないかもしれません。

(実際には訴訟に至るケースは増えているそうです)



そもそも、

アライナー矯正(マウスピース矯正)というものは、

日本の歯科では、誰もちゃんと習ったことがない治療法なのです。

歯科医も歯科衛生士も歯科技工士も歯科の業者さんも

だ~れも歯がどうやって動いて、

どういう動きが再現性が高く

どういう動きが再現し難く

同一素材の変形の繰り返しで

どうやれば意図した歯の動きが出来、

意図した動きにならなかった時に

どのタイミングでどうやって歯科医が別の手法を追加して

ホローアップして修正かけて

ちゃんとトラブルにならないように終わらせていくのか?

について正確な情報を得る術も少なく

未だほとんど公的に披露されたり教育されずに

流行っちゃっている治療法ですから

今後、

どの業者やシステムが残っていくのか?は

(歯を動かしたならその後後戻り少なく10年くらい安定して経過しないとね)

まだ誰もわからずに走り続けている新しい矯正歯科治療分野です。

 

さあ、本題。

インビザラインを早く終わらせる究極の技とは?

それは、

矯正歯科医にすべてを任せるのではなく

 

大いに他科連携を利用するです。

 

 

 

矯正だけでうまく進まないところは、

レジン修復やCAD/CAM修復、

アンカースクリュー使ったりインプラント使ったり

歯冠修復やり替えたり、

べニアを貼ったり(これを選択する際はできれば歯を削らないスーパーエナメルが好感度高いでしょう)

何なら口腔外科で外科とセットでとか

美容整形外科とセットで顎骨自体切って動かしたり

皮膚科のフォトフェイシャル治療やボトックスやヒアルロン酸注射治療にまで広げて

あるいは歯周外科治療も含めて

行ってくれるような

一般歯科や

各科連携可能な歯科医院での

治療も受け入れることが

早く良い結果に繋がっていくはずです。

 

30過ぎて歯を顎骨内で動かしていこうとすると

既に歯槽骨や歯周組織の構成要素である

コラーゲン繊維の伸びが悪くなっていますし、

再生能力も徐々に低くなってますから

外力に負けることが多くなります。

この場合の外力はもちろん矯正力です。
そもそも、ワイヤー矯正の時代から

矯正治療だけで凄く綺麗な仕上がりになっていくのは

30代前半くらいまででしょう。

いや、もっと言えば

10代20代では一度くらいは

よい位置目指して歯の位置を移動させておきたいものですから、

それを過ぎての

歯冠修復物もすでに入っているわ、

咬耗も生じてるわ、

虫歯の治療痕も多数あるわ、

歯周病もあるわ、

インプラントもすでに入っているわ

欠損もあるわというような人が

矯正治療を思い立ってしようと考えるならば

絶対に一般歯科の総合的な治療計画のほうに

軍配が上がります!

 

海外でもインビザラインは一般歯科医が多くやっています。

矯正専門医でしなくちゃ成功しませんというのは

完全にミスリードになっていると思うんですよね。

 

例えば、矯正歯科が歯の移動スペースを得るためには

小臼歯を非常によく抜歯する提案をするのですが、

一般歯科ならばIPRを多用してくれて

抜歯の提案が少なくなったりします。

結果ブラックトライアングルが生じない仕上がりに繋がったりします。

ブラックトライアングルがもしも生じたら

(コラーゲン繊維の伸びが足りず歯茎が歯の回転や傾斜の動きについて来れずに生じます)

歯冠修復を追加したり、

歯冠形態修正のダイレクトボンド法等

いくらでもカモフラージュ法を一般歯科は持ち合わせています。

矯正治療だけで綺麗になれるのは、

20代まででしょうね。(まあ、若めだと30代までいけるかな)

 

そういう意味でも

海外のようにインビザラインなどの

アライナー矯正は60万円代までが妥当だと

思っています。

うちの歯科医院では

フルでも65万円!!(調整料、観察料なし)

 

インビザライン単体、矯正治療単体で綺麗になれる人が

どんどん減ってくるお年頃に

一念発起して矯正治療を受けることを考え始めたのんびり屋さんは、

矯正専門医で歯の移動スペース不足のために小臼歯抜きましょうと言われるよりも

一般開業医で小臼歯の抜髄して歯冠修復してもらってでもその小臼歯の歯根を残した方が

長い人生にとってよいという事もたくさんありそうです。

そこまでいかなくても、たいていのケースでIPRを多用すれば

非抜歯ケースで綺麗に歯を並べかえることが出来るでしょう。

抜かない矯正ができれば

骨の変な凹みを生じません。

 

アライナー矯正では

アタッチメントをつけることが歯のコントロールを補強するのですが、

そのアタッチメントをまずつけるためには、

メタル冠修復やMB修復、

セラミック冠にはつきません。

それをまずCAD/CAM冠(セラミックの細粒を練りこんである樹脂の冠)に

置き換えたり虫歯を治したり、

変な形になっている修復物を仮歯にやり替える必要が生じます。

また臼歯の遠心移動量が不足していれば

先に親知らずを抜歯する必要があったりします。
そういう一般治療は一般歯科が行うのが得意なのです。

またインビザラインは1歯づつ動かすことで歯の移動の再現性を高めるというクリンチェックを立てることがあるのですが、

そんな時は隣接面虫歯を歯の削る量を極力少なく虫歯治療する最大のチャンスだったりするのです。

歯並びが悪い人はそもそも歯への価値観が低いご家庭育ちという事が多いので

隣接面にフロスをしたことがない人や

滅多にしない人がほとんどです。

そういう人の歯を動かしていると(インビザラインで)

相対的な動かし方ではなく絶対的な動かし方をしますから

そういう時が隣接面の初期虫歯や進行虫歯が明示できる唯一のチャンスだったりするのです。
そのチャンスを逃すことなく隙間が出来た隣接面から

虫歯治療をしてもらえれば

大切な咬合面の辺縁隆線を削り落とされずに

歯の将来的な強度を保ちながら隣接面虫歯治療が可能になります。

インビザライン治療を

一般開業医で受けておくとよい事が非常にたくさんあるのです。


 

 

私が追っかけしていたインビザラインの
TOPアスリートドクターの昔のケースは
IPRの平均量が半端なく多くて

非抜歯ケースがほとんどだったんですけど、

今は抜歯ケースもどんどん増やしておられますから

IPRの量もすっかり減ったのではないか?と思っています。

(その分、ブラックトライアングルが生じているのではないか?とも思います)

 

インビザラインなどのアライナー矯正の場合、

単一の素材で歯冠形態も歯根面積も歯根形態も骨量も

歯周組織も全く違う歯を包み込んで

矯正していくので

予測実現性が高い歯の動きと予測実現性が低い歯の動きが混在しつつ

歯の移動をかけています。

そしてインビザラインの特長として

治療目標を立てたらそれの微修正は途中ではインビザライン単体では効かず
(だから途中でゴム掛けを追加したり

セクショナルワイヤー使ったりして補正していく必要が生じる)

最後の治療ゴールまで寸分違わず歯を移動させていかないと

アンフィットが生じてよりコントロールを失うというシステム上の特長があります。

昔は何枚でも技工物にチェージゼロで契約の年間は作り変え何度もフリーで可能という

システムでしたが

今は課金があります(とはいえインビザラインでしか不可能な破格値ですが)

どうやってそのアンフィット(予測実現性の低い動きの混在)をリカバーするのか?

歯科医の技術力と患者さんの理解度と協力度がとても大切になります。

それを理解しコントロールするためにも、

歯科医は自らが自分自身でクリンチェックを立案し

アライナーのステージングに応じた歯の反応を見極め助け舟を出して

あってはいけないタイプのアンフィットなのか?

予測範囲内で修正可能な範囲内のアンフィットなのか?

を見極め適切に治療ゴールへ導く能力がなければいけないとされています。

それこそ私が学んだトリノで強調されていた事なんですよね。

predictableな動きか?そうでないか?

 

これを歯科医が常に考えながら治療計画を立てないといけないし、

監視しないといけないし、

リカバーして予測実現可能内に歯の動きをチェンジさせないとダメなんですよね。

 

そういうのを無視して

技工物だけ作ってお渡ししておけばよいのじゃ?

なんて思っている人がいないことを祈ります。

 

ちゃんと学ぼうアライナー矯正!!

 

●30代以上の人が思い立ったら

一般歯科でインビザラインでいいんじゃない?
●その際、100万とか120万とか矯正治療だけで払っておいたら

その後困るんじゃないのかな?
だから一般開業医のインビザライン治療は60万円代のところで受けておけばよいのじゃない?

 

 

以上、本日はこの2件でした。

 

あ!

当たり前の事ですが、10代20代では

歯の動きが全く異なり

骨の改造もよいし、歯周組織の伸びもよいです。

歯冠形態もさほど悪くないし
治療跡も咬耗も許容範囲でしょう。

歯も骨もぐんぐん思ったようによく動きます。

そういう場合は、抜歯矯正してもらってもよいし、
インビザラインでもどこででもやってもらえばよいと思います。

歳取るほど歯も骨も動かなくなりますから

矯正治療単科では

トラブルケースになりやすいと

いう事はよく知っておいてくださいね。