昨今の医療業界は

機械の進化が著しく

田舎の一歯医者がついていくのは

結構大変。

機器の設備投資や

導入機器を使いこなせるスタッフトレーニングが欠かせず

滅茶苦茶大変ですが

何とか頑張って様々な努力を怠らず行っています。

 

当歯科医院が特許を取得しているスーパーエナメルという

歯を削らない付け爪感覚の極薄べニア治療も

この度フルデジタル化を可能にしましたが、

昨今は歯科矯正治療もデジタル化が加速してきています。

 

当院を選択し来院される全国の歯や歯並びに問題を抱える歯がある成人患者さんの多くが

第一選択される矯正治療法が

インビザラインという

見えないアライナー矯正(マウスピース矯正)治療なのですが、

そのインビザラインでは

iTeroという光学スキャナーを用いて

お口の中の歯の(実際に見えている歯冠部と粘膜面の一部)情報を

デジタルデータ化して

その情報を基に

矯正治療計画を立案していくという事が

可能になっています。

 

すでに当院では数百名の患者さんにこのインビザライン治療を提供してきました。

ブラケット矯正は365日と大抵1年半以上ブラケットという装置を

歯面に接着剤で固定して

そこにワイヤーを通して結紮して

歯のコントロールをして歯を動かしますが、

インビザラインなどのアライナー装置は

歯面に複雑な装置をつけませんから

見た目がよく、取り外し可能なので飲食内容の制限がなく、

痛みが少なく、口内炎が出来ず、歯磨きも普段通りに近く楽に行え、

転んだり当たっても危なくないし、逆に歯を守ってくれる為

アメリカのハーバード大学で学んだ際も

これからはブラケット矯正ではなく

インビザライン矯正へどんどんシフトしていきますよという

講義内容でした。

日本も遅ればせながらそういう風潮にどんどんなって来たのは

十分予測されていた事だと思っています。

 

ただ、この装置もどんな装置も万能ではありません。

装置使用状況をしっかり管理できないタイプの方は

アンフィットが生じてきていても

全く気にされずどんどんステージングを進めてしまいますから
歯科医院へ来院予約時に来られた際は

とんでもなくアンフィットを生じてしまっていて

予定通りには矯正治療が進まないという事が起きてしまいがちです。

また、アンフィットが生じているのか?どうか?を

ご自身で確認しやすい部位は前歯部位なのですが、

ほとんどの歯並びが悪い人に共通するのですが、ここの前歯を圧下をかける必要があり、

前歯の圧下は奥歯の圧下よりも痛みを伴うために
加速装置の使用が大いに望まれるのですが
この加速装置がまた一々高いので

(15万円でっせ!!)

加速装置をどうしても使わない(買わない)という方も多々おられ

結局、何回も追加アライナーを作って

妥協的な終わり方になってしまうというケースも割と多く経験しました。

妥協的な終わりで終わるという事は、

実際にインビザラインだけでなく

ブラケット矯正の場合でも

臨床現場では割と生じてしまう事で

矯正専門医でも妥協的終わりにしてしまうケースが多々あります。
 

そういう終わり方になってしまうのは、歯科医だけを責められませんし、

患者さんの一方的な責任というわけでもありません。

ただ、ブラケット矯正の場合は、

患者さんの責任割合は多少軽減されます。

最初の治療計画とズレて上手く進んでいなければ
ブラケット矯正の場合は生体の反応性を見極めつつ

歯科医(そのため認定医制度がある)が技術を駆使して

都度都度必要な調整を行う事で

妥協点を見出して

矯正治療を終わりへと導いています。

インビザラインの場合は大半が患者さんの使用状況に左右されてしまうので
(固定式装置ではない宿命)

最初に設計したクリンチェックからどんどんズレてしまって

装置がうまく適合していないという事がどうしても生じます。

そのリカバリーがいかにうまいか?というのが

歯科医の技術力になります。

が、どうしてもアンフィットが修正不能な場合は

再度口腔内をスキャンして新たな治療計画を立て直し

現状から再スタートする追加アライナー作製に移行したほうが手っ取り早い場合もしばしばあります。

インビザラインが日本で浸透したのは、

そうした事前に想定される作り直しリスクを

インビザライン社が全額負担した販売戦略に負うところもあったように思います。

インビザライン社は、

今では日本の歯科界の一大成長企業になりました。

もちろん、世界中でもこの企業の成長は目を見張るものがあるでしょう。

気になった方は株価の推移を確認してみてはいかがでしょうか?

 

昨今は、非常に多くの歯科医院が

このインビザライン治療を取り扱うようになっています。

 

 

ただ、こういうアライナー矯正(マウスピース矯正)の治療計画は

口腔内スキャン情報だけで立案されてしまう

患者さんを実際に診察していないインビザライン社のテクニシャン任せに

してしまうか?

実際に様々な情報を持っていて(レントゲンの情報やCTの情報や歯周組織の情報や

口腔習癖の情報や顎関節の状態の情報やお顔の情報等々)貴方としっかり話し合った歯科医が治療計画に関わったものか?

その歯科医がインビザライン治療にどれくらい精通しているのか?

矯正治療にどれだけ精通しているのか?

等々患者さんがわからない部分で

かなりのバリエーションがあるのが実態です。

矯正治療の治療ゴールや治療ステージの進め方、アタッチメントの設置の仕方、IPRの仕方入れ方などで

かなりのバリエーションが存在します。

これに追加して患者さんの使用状況のコントロールがどの程度できているのか?

でも結果が大いに変わってしまいます。

歯の治療は

どれでも術者と患者さんの理解度協力度で結果が変わってしまうのは致し方ない事なのです。

まあ、いかなる病気でも同じなのですけどね。。

 

現時点では、

インビザラインなどのアライナー矯正(マウスピース矯正、デジタル矯正)は、

まだ旧式のブラケット矯正をずっと以前に学んで構築してきた大学の教育システムにはほとんど導入されていません。

日本の矯正歯科学会の旧来の偉い先生方も

医療の急激な進化についてきていませんから

学会でさえもインビザライン矯正について全くド素人並みの立ち位置に留まっています。

 

私が数年前に勉強に行ったTORINO大学(イタリア)はすでに

インビザラインの勉強が大学でされていましたし、

アメリカでも矯正歯科の先生は大学でインビザラインの講義を受けて歯科医になります。

日本はまだまだ教育システムが全く追いついていません。

 

そういう中で、

私がずっと以前から追っかけて勉強させていただいている本郷の尾島先生が

昨今、盛んにyoutubeでインビザラインについて

素人の方にもわかるように様々な情報をほぼ毎日発信してくれています。

その先生が、数年前には言っていなかった内容で今一押しなのが

インビザラインのクリンチェックを口腔内スキャナー情報だけで独立して考えるのではなく

顔の情報、顎関節の情報、骨の情報とリンクして

実際にインテグレートさせて治療計画を立てることで

歯根吸収のリスクをほぼゼロにし、(元々インビザライン治療は歯根吸収が生じにくいので更にという事になりますが)

追加アライナーの発注がほぼ不要になるような一発仕上がりに近づけるような予測実現性の高い治療計画を目指して

口腔内スキャナー情報と骨情報(CT3次元情報)と

連携をとった治療計画の立て方を世界に向けて大いに発信されるようになっておられます。

そこで、

かなり重度で外科適用が妥当とも思われるような難ケースがありましたから

当院もスキャナー情報とCT情報をインテグレートしてクリンチェックを立てる分析法を

利用してみました。

とっても高い分析ソフトを使っての分析が必要になります。

 

 

一般に方はCTの見方も見慣れていないでしょうし、

この技術がどんなに画期的なのか?を想像することなど困難でしょうが、

こんなことができるって

現段階では結構進んでいて超凄い事なんですよ!!

わっかるかな?わからないだろうな~~~

まあ、こういう分析を可能にするには、1ケース約10万円の費用が(原価)でかかりますから

誰でもが気軽にどの歯科医院でも行ってもらえるってものではないでしょう。

各種検査費+ソフト利用の分析費+インビザライン社のクリンチェック費です。

人件費や施設利用費は含まれません。それで10万円!!

しかも、分析まででは何も治療は始まらないですからね。

今回は患者さんからは費用はいただくことなく

当院が必要に感じる分析でしたから発注してみたのですが、

通常はここまで必要か?っていえば、

まだ費用対効果の関係から

超々超々高額な矯正治療費をお支払いされたならばしてもらうに越したことはないでしょうが、

まさか65万円とか80万円とかでは絶対に無理ですよ。

矯正治療費がピンからキリまであるのは

こうしたどこまで分析を行うのか?

管理をどこまで行うのか?などなど

様々な要因があるためでしょう。

私もいろいろと勉強しないといけないことがまだまだいっぱいあります。

時代はどんどん前に進み、

機器がどんどん進化しますが、

一般化するには現時点ではコストがかかりすぎ

インビザライン治療のコンセプトに逆行してしまうかもしれません。

ただ、こういう事がその歯科医でも簡単にできてしまうように

時代が進んでいくにはもう少し時間がかかりそうです。。。。。

それにしてもソフト代、高すぎます。

出来れば日本製を期待したいですが、その実力が全くない壊滅的な日本の国情があります・・・・

教育の遅れと共にそちらの開発力の無さも とても心配です。
デジタル関係が全く遅れてしまった日本・・・・・

色々な意味で無策すぎたのでしょう・・・・

 

今回の新型コロナ対策が人間の善意と道徳観に頼るしかなく大変混迷してしまった事や

オリンピックの海外からの入国者管理でも使い物にならないアプリが大不評なのも

日本のデジタル化対応が遅れてしまっているからでしょう。

 

教育の現場が追いついていない。

学会も全然機能していない。

医療の現場はまだまだ混迷が続きそうです。

 

とはいえ、インビザライン治療というのは

誰でも非常に簡単に使える超便利な矯正治療システムで

デジタルに強いアメリカの集団が作って来た(もちろん中に日本人技術者もいるのですが・・)

現時点で最強のデジタル矯正システムです。

アメリカではこういうインビザライン矯正(ちゃんと歯を動かせるしっかりしたアライナー矯正、マウスピース矯正)が

主流になってブラケット矯正がサポートに回る時代に入ってきているそうです。

装置の特性で歯根吸収が起きにくいですから

初回のクリンチェックで製作したもので上手くコントロールできなくても

何回でも追加アライナーで微調整していけば

治療ゴールを見出すことが可能です。

しかも、無理せずゆっくり時間をかけて歯を移動させれば骨もついてくる場合もありますから

焦らず嫌にならず5年間の保証期間(コンプリヘンシブは初回承認より5年間は追加アライナーの発注が可能)を

有効に使って目的に近い治療ゴールを微修正しつつ目指すことはCTを利用しなくても

十分可能でしょう。

確かにCTとの連動があったほうが安心できますが、

必要に応じてブラケット矯正の良いところを使えば

大きな問題を起こすことなく

治療を成功に導くことは可能ですから

矯正治療を必要とされる際は

契約前にしっかり歯科医院にそれぞれの特徴を説明を受けておくことが大切ですね。

 

今回使ったCTのダイコムデータと口腔内スキャナーのSTLデータと写真のjpegデータの連動システムは

超超高額なのですが、それだけではクリンチェック立案の補助にしかなりませんからね。

結局は歯科医が責任をもってクリンチェックを立てて

個々の歯の動きに応じてしっかり噛ませてアンカーを失わせないという事まで

修正していかないとほぼ使い物にならない程度の内容でしたから

まだまだだな~~~というのを実感しました。

やっぱり本家本元のインビザライン社の開発部門(膨大な資金力が集積しているはず)に

もっと頑張ってもらいたいなと思いました。

 

それではね!
バイバ~~イ!!