海外や日本でも東京や大阪のように経済が潤っている地域では
早くから光学スキャナーによるお口の型採りを導入している歯科医院は多かったのですが、
岡山のような地方都市では、歯の治療といえば
こういう風にグニョグニョしたアルジネート(昆布の仲間から作られる安価なアルギン酸が主体の型どり剤)や
もっとトロトロベタベタしたちょっと高価なシリコン印象材を使用して
型どりを行うのが一般的でした。
歯科治療では、それぞれの型どりの目的と期待する精度に応じて
型どりに使用する材料を変えて型どりを行うことになっています。
保険治療の場合は
たいていの場合、前者のアルジネート印象材をベースに一部寒天を用いる連合印象というものが
よく行われています。
(保険の単純印象は寒天を用いないものでアルジネートだけでの印象で細かい部分は採れませんから概形印象時に単独使用されます)
この型どりがオエ~~~っとなって気持ち悪いという方はいらっしゃるかもしれませんね。
小児などは型どりを行う際はたいてい一度はオエオエ言って
ゲロしてしまって型どりに失敗しますが、
これも慣れていただくとうまくできるようになりますから
失敗作の型でも目をつむって次回は頑張ろうね!と終っておくことがあったりします。
型が取れないから次は食事しないで来てねと言われたり・・・
皆さんはそういう失敗経験ってないでしょうか?
(昨今はこの型どり時の小児の嘔吐に対して
型どりを強要して小児虐待ではないか?など
いう親御さんが出現していたりしますから
全く困ったものなのですよ・・・・
嘔吐物の処分をしなければいけない医療スタッフの身になるってことは
全くしないわけですよね。そういう親は。
お子さんの型採取時の失敗はず~~っと昔から
歯科では皆が経験してきたことなのですが、
虐待といわれる世になるとはね・・・
親が始末してくれなんて医療スタッフだって言わないんですから
すいませんの一言だけでもあればいいんですけど。
逆なんですよね・・
問題があって歯科に連れてきて
なんとか専門家に直してもらおうって思っての受診なんでしょうが、
いちゃもんつけてくるなんて親、
昔はいなかったんですけどね。。
変な世の中になりましたよね)
従来の矯正治療の場合は、ちゃんと顎態模型を作ろうと思えば
この型どりをかなりオエオエする位置まで採取しなければいけませんから
資料採取時にいきなりめちゃくちゃしんどい思いをしていただく必要がありました。
こういう型どりは鼻が詰まっていると完全にできませんね。
矯正専門医にかかるとこういう資料採取は超厳しく行われますから
(専門医制度を維持するために資料採取と保管はちゃんと行われなければいけないという決まりになっていますからね)
真面目な矯正専門医(認定医や指導医を維持する先生)ほど患者はかなりしんどい思いをしなければいけません。
ところが、
幸いなことに
最近は、矯正治療を光学スキャナーの型どりで行うことが
可能になってきました。
(ただし、日本の専門医制度の維持のための資料作成には役立ちませんから
専門医の治療を求めて厳格な歯科医院に行くほど
オエオエ~という型どりとの縁が切れません)
光学スキャナーでは、
オエオエなる型どりで深い位置まで印象を採取しなくても
光を当てて上下の歯列をスキャン(撮影)するだけで
きちんと歯の位置情報を画像に反映して
従来の矯正治療よりも精度の高い治療計画を立てることが可能になってきています。
日本の場合、iTeroという光学スキャナーだけが
インビザラインという精密なマススピース矯正に対応していますから
インビザライン治療をある程度の症例数提供してきた歯科医院ならば
iTeroを1台は必ず持っているという状態にまでなってきています。
(現在、インビザラインでの矯正治療も
他のマウスピース型矯正治療の
矯正専門医では学会禁止事項になっています。
古臭い学会ですから進化に追いつかないんですね)
この機械は超高級車1台分くらいの導入維持コストがかかります。
ですからこういう最先端の医療機器はとてもいいよ!と知られるようになっても
収入がない歯科医院はとてもじゃないけど導入できません。
ある程度流行っている歯科医院かまたは余裕がある歯科医院にのみ導入可能な装置です。
最近の歯科はデジタルデータによる歯冠修復物の作成へシフトしつつありますが、
色々な企業から光学スキャナーは販売され始めており
しかもたいてい矯正治療システムとセットで販売されるようになってきています。
時代の流れは止められません。
通常、矯正治療といえば自費治療ですよね。
保険治療に限定した治療を受けていると
矯正治療とは一生ご縁がないかもしれませんが、
矯正治療は自費治療を行う上でまず最初に提案される治療になってきています。
さらに自費治療を行う歯科医院には光学スキャナーがなにがしかあるという時代になってきていると思います。
光学スキャナーがある歯科医院にしかできない治療というのも多くなってきています。
あるか?ないか?でできることが限られる機器というものが増えてきています。
治療単価が安価な保険治療主体で運営している歯科医院ではこういう医療機器の導入はとてもじゃないけど無理です。
特に患者数が限定されがちな地方都市では自費治療を希望される方の数が非常に限られますから
こういう高額な医療機器の導入は後回しになります。
通常、こういう光学スキャナーを導入するのは
都会の自費治療がどんどん行われている歯科医院からというのが一般的です。
もちろん、都会にも小規模で老朽化しても設備投資には手が出ませんという歯科医院も多数あるので
都会の歯科医院ならば必ずあるというわけでは決してありません。
都会で自費治療を行おうと思えば治療単価は平気で10倍くらいしちゃう治療になりますから
たこ焼き診療のように歯科医がクルクルとあちらの診療台にヒラリ、
こちらの診療台にヒラリと蝶々のように行ったり来たりしているような歯科医院では
いつまでも導入が無理かもしれません。
ある程度しっかり患者さんに説明を行ってくれる歯科医院で
一人あたりの診療時間を1時間くらいは確保してくれるような歯科医院でなければ
いくら高額医療機器を導入されてもどうして自費治療が必要なのか?の丁寧な説明が無理になりますから
そういう保険治療主体どまりの歯科医院では導入は難しいだろうなと思います。
当院でもこういう高額な医療機器の導入は10年前にはとても手が届かない状態でした。
しかし、医院にはかなり遠方からよい治療を期待して来院してくださる方が多くおられましたし、
地域での当院のポジション的な問題もあって
この手の光学スキャナーの早期導入が必要になってきていました。
スーパーエナメルという歯を削らない審美歯科治療が大人気になって
世界中、日本中から患者さんが医院に押しかけてこられるようになり、
更にT4Kなどのトレーナーによる小児矯正治療の黎明期に
各地にセミナーに行くようになって
当院の知名度がぐんぐん上がって来ていた頃です。
ちょうどものづくり助成金という国の助成金制度を利用させていただき
革新的な先進医療を行える歯科医院ということで補助金利用させていただくことができるようになり
まずCERECという光学スキャナーを導入に成功しました。
この補助金の採択倍率はとても高いので
当院の特許取得済みのスーパーエナメルという歯を削らない審美歯科治療の効率化のために
採択していただきました。
特許を取得している治療法があり実績を積んでいると
公的な機関から補助金利用させていただけるチャンスが回ってきます。
一事業所が国民の税金の一部を事業用に利用させていただくわけですから審査はとても慎重に行われています。
確か、同時期に補助金が採択されたのは岡山の企業でも知名度の高い事業所が多かったように思います。
本当にありがたかったです。
このCERECという光学スキャナーは主に修復物の即日作成時に使用します。
この機械の導入によって大きな虫歯でも即日修復が可能になりました。
即日修復ができると何がよいか?って
歯科治療では虫歯になっていたり修復を行う際は汚染された部位を完全に取り除いておくことが必要になるのですが、
取り除いた新鮮で清潔な歯面を再汚染させないことがとても大切なんですね。
通常、大きな虫歯になるとレジン充填などの即日修復が困難になりますから
型どりして仮封して仮封の状態で数週間患者さんに日常生活を過ごしていただく必要が生じます。
ところがこの仮封が大問題で
仮封というわけですから次の治療時に簡単に除去できる材料で穴を埋めておいたり
仮歯を仮止めしておく訳なのですが、辺縁漏洩という状態で
たいてい次回治療時に新鮮面はすでに汚染されているんですよね。
歯科医はできるだけ精密な型を採るためにあれこれ費用をかけたり
手間暇をかけるし、歯科技工士も歯科医が丁寧に採取した型にできるだけピッタリ適合する修復物を丁寧に作ることを目指す治療が
良い治療になるのですが、その丁寧によい型にピッタリフィットする修復物を作れば作るほど仮止め剤はツルリと次回セット時に除去できるものである必要があるのでそこに矛盾が生じてしまい
結局、汚染が生じているので脱離や2次虫歯に繋がるということが生じていて問題になっているんですよね。
虫歯などを削り取って新鮮で綺麗な象牙質やエナメル質を露出させてすぐに接着修復ができると
仮封時の汚染から逃れられますから
このCERECという光学スキャナーとミリングマシーンのセットを
歯科医院が導入していることは
歯髄温存や歯にとって大きなメリットになります。
保険治療で適当な歯科治療を行っているか?いないのか?を見極める際は、
この切削面の汚染を防止するために
例え保険治療であってもちゃんと緊密なシーリングや(仮封)や仮歯をいれてくれるのか?
っていうのはちゃんと注意されておくと
これだけでも予後はかなり変わってくるんじゃないかな?と思いますよ。
荒い歯科医院の場合は、保険治療では仮蓋や仮止めの保険点数がありませんから
削ったら削ったまま放置しておき
仮のものを入れてくれないという歯科医院もありますからね。
歯面の汚染防止のためには最低でも仮蓋や仮止めをしっかり行ってくれる歯科医院であることが必要ですし、
患者さんも仮のものが取れたらちゃんと通院してしっかり止めてもらうという必要性を知っておくべきですし、
そもそもこの仮蓋や仮止めが必要ないCERECシステムを導入してある歯科医院を選択できることが一番望ましいでしょう。
仮のものの時に問題を生じることはしばしばありますから
問題を生じる期間を与えないで即日で修復まで終了してもらえる歯科医院が
お近くにあることがとても大切だと思いますね。
(この手の治療は保険治療が適用されませんからどうしても自費治療をお勧めすることに繋がりますから
こういう事情を理解できない患者さんにとっては
豚に真珠どころか、
この歯科医院は儲け主義なんじゃないの?と嫌われちゃうことに繋がってしまいます。
歯科のことを理解してもらうのは骨が折れますよ・・・・・)
(しっかり説明したいですけど歯科医院の場合、
診療時間中は手を動かして治療を一刻も早く仕上げて感染の機会を減らしたいわけですから
歯科医は超忙しいのです。
しっかり事前にブログなど読み込んでいただいて
歯科医院を選択してきていただくのがありがたいのです)
特に虫歯が深いとか。象牙質が露出してしまっていると
エッチングなどの薬液処理をしても不安が残ることになりますから
エナメル質をいかに温存できるか?ってことが治療の長期的な成否を分けます。
エナメル質を温存してもらえるうちに受診をしていただければよいのですが
なかなかそれは難しいですよね。
今回新たに当院が導入したのは、
NIRIというエナメル質の初期虫歯を早期発見してくれる機能が付いた
最新のiTero element5Dです。
この機器は咬合面から光学スキャン(光で撮影)するのですが、
この時、画像撮影と同時に近赤外線を出してその反射光の減弱度を測定することで
硬組織であるエナメル質の脱灰具合を読み取ってくれる機能がついています。
咬合面(噛む面)から光を当てることで隣接面の虫歯を早期発見してくれるんです。
レントゲン撮影は歯の唇側面と舌側面にX線を当てて虫歯の状態を見ていますが、
NIRIの場合は噛む面から見ていますから
レントゲン写真とNIRIをセットで見ると漏れがないということになります。
レントゲン撮影は角度によって隣の歯と重なりますから
歯に平行にX線が入るように平行法や咬翼法という方法を駆使して
2次元画像を得ようとするのですが、隣接面虫歯の広がりを視認するのにはあまり向かないんですよ。
それで隣接面虫歯というのは
どうしても見逃しが多くなってしまい
発見即抜髄という治療で歯質を大きく失う治療に繋がっていくことになっていたのですが、
このNIRIを用いればエナメル質に円錐形で進行している虫歯の状態を読むことが可能になるんです。
素晴らしいですよね!!
当院は目指しているのができるだけ歯質を温存する治療、できるだけ不要に歯を削らない治療ですから
この光学スキャナーが発表され販売されて以来ぜひ導入したいからと
アライン社の営業の担当者にずっと言ってきていたのです。
そうしたら幸いにも絶対に2度とない導入チャンスですよ!という機会を
たまたま担当営業者が教えてくれたので
早速導入しましたよ!!
こういうのは運ですね!
本来ならば超高級外車1台分の設備投資が必要なのですが、
またまた幸いにも納得できる導入費用で皆さまに利用していただけるようになっています。
当歯科医院にお越しの際はしっかり事前勉強をしていただいて
ぜひ、このNIRIで検診を受けたいですと
お申し出ください。
光学スキャン画像と、咬合状態、NIRIによる近赤外線透視画像、口腔内撮影画像などが
一度のスキャンで採取できますから
色々不具合をお感じになられているならば
きっとその問題点がはっきりするでしょう。
当院には各種レントゲン機器もマイクロスコープもありますので
スキャンだけではなく骨内のことであればレントゲン撮影やCT撮影を駆使して
丁寧な診断を行っています。
こういうのも、先進機器がなければ無理なのですが、
先進医療機器は超高額ですから
保険治療だけでの医院運営でははっきりとした診断さえできず
よくわからない状態で治療されちゃうということに繋がります。
よい機器も保険治療では、
なかなかすべての歯科医院で導入するというのは無理なんですよね・・・・・
保険治療の限界というのは常にありますから
自費治療もある程度行っている歯科医院を選択されたほうがよい治療を受ける機会が増えるのではないかと思います。
時代に応じた
設備投資が出来ない歯科医院は
色々な意味でもリスクを回避できないですから
軽症で若い時はよいけど
ある程度の御年齢になられて
歯に色々問題を抱えるようになられていれば
歯科医院選択をちょっと考えなおしたほうがよいのではないかと
医療機器の発達とともに思ったりしています。
当医院には
CERECというスキャナーと
iTero 5Dというスキャナーが2台あります。
毎日大活躍してくれている優秀な機器です。
これも当院にわざわざ来院してくださった多くの患者さんと歯科医院さんのお蔭なんですよね。
皆さんにも幸をお分けしています(*^^*)