https://www.amazon.co.jp/内科医から伝えたい歯科医院に知ってほしい糖尿病のこと-西田-亙/dp/4263422295/ref=cm_cr_arp_d_pdt_img_top?ie=UTF8
とてもよい本なのですが結構わかりにくい本です。
表題に書かれているように内科医から歯科医への本、
あるいは歯科衛生士さん(勉強が好きなタイプの)に向けての本ですから
まあ。しょうがないですが
内容はとてもいいので
小難しいことが好きな人は一度読んでみるといいかもしれません。
というか、小難しいというか、歯科医はすでに知っている内容がほとんどだから
できればお医者さんや医療関係者に読んでもらったほうがいいんじゃないかな?
という内容です。
表題のとおりに読者対象がそれなら
もっと専門的に書いてもらったほうがよかったのかもしれませんが
本といのは誰に読んでもらいたいのか?
という仮想読者に向けて書かれているでしょうが、
一体どのレベルに向けて書いてあるのか?
で受け手の評価が異なるので
書かれている内容からすれば
一般向けです。
ですからせっかくならばもっとわかりやすく砕けた書き方で
図をもっともっと盛り込んで(そうすると製作費が上がるのでそこが難しいんでしょうね)
一般向けにしてもらったほうがよかったんじゃない?という内容でしたので
この本をネタに今回はちょっと書いてみようと思います。
歯科界を中心に食後血糖値を測定するブームというのがちょっと前にありました。
基本は歯科医が自分の健康を評価したかったからのブームです。
ちょっと前にはケトン食がブームになったり炭水化物は要らないなど極端な健康食ブームというのがあったので
多くの歯科医が炭水化物を取らなくても身体に蓄えられている脂肪からジワジワ~~と
エネルギーも血糖も得られるので血糖値が乱高下しないから
そっちのほうがいいんじゃない?ということで
色々なサプリやオーソモレキュラー的なことをやりつつ
自分自身で血糖値測定器を購入して
食後血糖を計ってみたりしていたのですが
結局、今そのブームは去った感じがあります。
(歯科医はブームに乗りやすいので)
それはいくら頑張って食事内容を変えてみて偏った食事内容にしてみても
常に血糖値が安定していますという状態に自分自身がなれなかったからだと思います。
何しろ歯科医は業務上ストレスとは縁が切れないですからしょうがないですよね。。
この本にはそういう極端な制限食の話は一切出てきません。
まずそれが好感が持てますね。笑
しかし、糖尿病予備軍は日本に4000万人いるとわれていて
(約1.27億人)3人に一人は糖代謝異常に陥っているって言ってるのですから
内科をはじめ医科はウハウハで一生食うに困らないということになりますね。
(言い方が下世話ですいません)
しかも絶対数は年々増加していて高齢になるにしたがって合併症が生じるというのですから
高齢化社会日本の未来に光はないように思えてきますよね(医療関係者にとっては朗報でしょうか??)
予備軍を含めれば高齢者の半数が糖代謝異常に陥っているそうです。
怖いですよね~~~~~
精密糖負荷試験というのを用いないと糖尿病予備軍から漏れてしまうそうですから
血液検査や尿検査で引っかからないからというだけで安心することはできないようです。
特に歯科で困るのは、糖代謝異常があるのに自分は健康だと思い込んでいる人が多いことですね。
内科も内科でちゃんとあなたは糖尿病予備軍に入っていますよという印でも保険証につけてくれればいいのですが
そもそも健康だと思っている人はあるいは病気を自覚しない人は
内科にも行きませんから歯科ではまったくお手上げということになります。
そもそも歯科治療する時に血液検査を保険適用で受けられるのって重篤な口腔外科のオペ前くらいじゃないでしょうか?
自費の検査では血糖値を測ることもあるでしょうが
歯医者で血糖値測定?って普通しませんよね(そもそも内科の仕事だし)
https://dmclinic.jp/relation/160/
医科の図っていうのはとにかく堅物ですから
もうちょっと可愛い図を貼るとこんな感じですかね。
食事をとるとインシュリンがすい臓から分泌されます。
そのお蔭で血糖は(血液の中の糖分)安定しておくことができます。
血糖が足りなくなると人は昏睡状態に陥るので(その前に不機嫌になったり・・・)
血糖値をあげる(血液の中の足りなくなった糖分の補給)ためのホルモンはたくさんあります。
グルカゴン・アドレナリン・ステロイド・成長ホルモン等など・・・・
それに対して血糖値を下げるホルモンはインスリン。これしかありません。
更にインスリンを出せる細胞はすい臓のβー細胞だけです。
糖分過剰な甘い消化のよいものを好んで始終食べていると(あるいは飲んでいるとあるいは、なめていると)
すい臓は疲弊しインシュリンの分泌能力がおいつかなくなってしまいます。
これって【虫歯の発生図】に似ていますよね。
食事との関係がとても似ていますよね。
ですから口の中に虫歯がある人っていうのは
糖代謝異常に陥っていないか?
を疑うことになります。
つまり上手く自分の細胞が処理仕切れないほどの
甘いものを好んで食べたり飲んだりなめ続けていませんか?という感じですね。
甘いものじゃなくてもダラダラ食べてると駄目ってことになります(特に炭水化物ですが
炭水化物のない食物って探しにくいですよね)
https://www.weider-jp.com/protein/columns/detail/?id=114&category=muscle
アミノ酸スコア100の食物でも炭水化物ありますからね。
プロテイン?あれは食物ですか?あんなもの食べたくないんじゃないですか・普通は・・・
https://search-protein.com/type3/
それでも一応食べ物だったみたいで炭水化物もちゃんと入っていますね。。
普通、人が食べる食べ物には炭水化物入っていますから
結局は分解されて糖分になりますからね。
(脂肪だって糖分になるんだし、たんぱく質だっていざって時はしょうがなく糖になるんだし)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/47984
酷く偏った内容の食事制限をしていなければ
常に血糖を維持するためにインシュリンは必要です。
インシュリン分泌細胞を疲弊させない食事を取ることは大切みたいですね。
糖尿病になると辛い食事制限がついてきます。
今はインシュリンを注射して入れ込んだり
糖分を吸収しないように薬を飲んだりしてコントロールもできますが
食事制限になれば(それでどうにかしたいと思えば)
エネルギー制限食になって1,200~1,400Kcalの食事内容の指導になります。
これって2歳~3歳児が食べる量に相当するそうです。
いきなり人生つまらなくなりそうですよね。
ですから一生制限食が不要な健康体であるために
健康な時の暴飲暴食不良な食事内容は改めておいたほうがよいでしょう。
特に悪といわれているのがペットボトル飲料などの飲料です。
炭酸飲料、缶コーヒー(砂糖入り)、ミルクティー、スポーツ飲料、フルーツジュース、乳酸菌飲料、野菜ジュースは悪の権化です。
すべて大量の単純糖質(ブドウ糖、果糖)を含んでいてしかも、
液体として消化管に一直線です。
体内への吸収が早いのですい臓をはじめとして内臓に大きな負担をかけてしまいます。
口当たりがよいものは要注意です。
(低血糖昏睡には効果的ですが)
http://plaza.jinai.jp/technology/img/nomimono_08.pdf
身体全身に回っている血液中の糖分は全部合わせても角砂糖1個だそうです。
52Kgの人の血液量は2Lペットボトル2本分で4Lとすると
血糖は角砂糖1個分だけ。
この状態を常にキープしておこうと各臓器が頑張ってコントロールしておかないと
血管や組織にダメージを与えてしまうのですって。
食事内容やついつい口にするものには気をつけておくに越したことはなさそうですね。
そして、驚くことに(本当か??)この本には、
真の健常者は血糖一直線ということが書かれています。
そんな人いるんでしょうかね?
ストレスとはまったく無縁の人なんでしょうかね~~~~
頑張らない人とか?達観して仏門に入った人で高位修行僧で生き仏になれるような人?か?
とか思っちゃいますけど、
たぶんですが歯科医には無理でしょうから(もちろん医局に勤務する若い研修医は食後血糖値がかなり上昇するってこの本にも書いてあります。小さな血糖値スパイクは並みの人間ならばあるように思いますがそれは正常者じゃないって言うことですから厳しいですよね~~)
それで、血糖値が高いとなぜいけないか?なのですが、
それは血管が老いるからですね。
糖尿病合併症とは血管病なのです。
血糖が高い状態は血管内皮細胞にとって非常にストレスフルな状態です。
血糖が高い状態がどのように組織破壊につながっているのか?についての説明が
この本ではごっそり抜け落ちています。
が、本当はここがとても大切なのだと思いますが
案外この基礎分野がまだわからないことが多いのかもしれません。
色々な説があるのでね。。
まあ、ここで覚えておかなければいけないことは、糖尿病には6大合併症があるってことでしょうね。
境界領域とか予備軍の方も含めて血糖が高い状態が長い人は危ないと思っておけばよいでしょう。
日本人の3人に一人、高齢者の2人に一人が危ないって事ですね。
①神経障害
②網膜症
③腎症
④抹消動脈疾患(足壊疽とかですね)
⑤脳心血管障害(脳血管障害・虚血性心疾患)
そして⑥歯周病です。
歯茎の健康は身体の健康のバロメーターです。
歯茎の健康は細胞代謝が盛んで身体の柔軟性が高いうちはさほど酷く悪化しませんから
たいてい40歳超えた頃から徐々に悪化してきます。
早い人は10代でも。。。
厚生省の発表でも
日本人の歯周病の有病率は、
20歳代で約7割、
30~50歳代は約8割、
60歳代は約9割に上っています。
つまり40歳に達する頃には8割の人が歯周病にかかっているわけです。
これは長年の汚れの蓄積によって歯の周囲が小汚くなっているのを上手く綺麗にできなくなっていることと
その汚れの蓄積のために住み着く細菌叢が悪化して空気がなくても勢力を広げる嫌気性菌が増えてくることと
歯周組織が弱ってきていることとか
力のコントロールが上手くいっておらず骨や歯周組織や歯そのものへのダメージを蓄積してきている証拠という感じでしょうか。
お口から色々なものが毎日毎日入ってくるのですが
その入り口を綺麗にお掃除できていないと
血管障害を引き起こしたり高脂血症を引き起こしたり血糖コントロール不良に陥らせたり
免疫系に障害を与えたりま~~~色々な問題に関連してくるのです。
粘膜症状ですからここに炎症があると怖いんです。
検査は簡単にできます。日本では保険適用の歯周組織検査です。
これ、受けたほうが絶対いいですよ!!
というか、普通保険治療希望で歯科受診された10代以上の方には
どこの歯科医院でも必ず歯周組織検査をしてくれると思います。
これを受けなきゃ身体の入り口に起こっている病態を見逃してしまうわけですから
一体何のための歯科医受診?ということになるのですが、
時々お馬鹿な方がおられまして、問診表に虫歯治療だけを希望とか
主訴の改善だけを希望というのをお書きになったりします。
小銭を惜しんで大銭をする。
まさにそういう人は何のために保険治療を希望して歯科を受診したんかいな?
ということになりますね。
せっかくの世界で稀にみる格安自己負担額の日本の保険制度を使っての歯科受診なのですから
歯科を受診したら必ず自分のお口のチェックを特に
虫歯だけのチェックじゃなくて
歯周組織(大切な身体の内部)検査を受けるのを
無知な頭で断らないということが重要です。
単なる歯式検査(これは視診触診までは初診料に含まれているので必ずします)で
わかる虫歯は歯周病とも大いに関係します。
本来はまったく別の疾患ですが虫歯になりやすい人は
ミネラルが不足して唾液も悪い状態でしょうしまたストレス状態にも陥っているでしょうし
象牙質の虫歯がどんどん進行しやすい人というのはたいてい甘いものの食べすぎです。
あるいは糖代謝異常に陥っていることが想像されます。
例えば2次虫歯といわれる歯科治療をいったん受けたにも関わらず詰め物の下の虫歯がどんどん進行しちゃう人。
こういう人も食事内容がヤバイという場合がほとんどでしょう。
悪いですが健全な食生活している人はミネラル豊富な状態で免疫もよい状態なのですから多少の細菌には負けません。
歯科治療って保険治療でも割ときちんと日本の歯医者さんは治療を行ってくれていると思いますよ。
自分の食生活を変えることなく虫歯治療を受けるならば
虫歯の部分だけでもミネラルをチャージしておきましょうというとても優しい治療法のための歯科材料というのも
日本が得意とするところですね。。。。
例としてはMTAセメントやGIセメント、ドックスベストセメント、MIペースト、ナノハイドロキシアパタイト製品、
他バイオアクティブ修復材料等等
色々なよい素材は開発されていて臨床でも使用されていますが
食事内容を変えてくれなきゃ
救えるものも救えないですよ~~~
というのは歯科医はみんな思っているんじゃないかな?
医者だってみんな思いつつ患者の生活習慣を変えさす努力は報われない割りに保険点数もほとんどないので
一言
「甘いものが好きでしょう~~甘いものやめられたらいいんだけどね~~~」で食生活指導終わり!
になってしまっているんじゃないのかな?
甘いもの好きな人は絶対やめないですからね・・・・
タバコ吸ってる人にタバコやめた方がいいですよって言うの以上に
食生活を変えるのって病気になってもやめない人多いですからね・・・・
この本の中ではさすがに内科医!
最も怖いのは神経障害といっていますね。
そりゃそうだ。即命に関わりますからね。
知覚神経障害は怪我や火傷になっていても本人に知覚がないので気づくことなく放置され
潰瘍や壊疽、いきなり心停止という酷い状態になって初めて他の人が発見してくれた時にはどうしようもないという事態に陥っていることはよくあります。また、自律神経に障害が起きていると起立性低血圧でぶっ倒れて頭を打ったり意識を失っていたり
突然死を引き起こすということもあるので怖いのです。
痛みがない病気って怖いのです。
結構、歯周病そのものの症状に似ていますよね。。。。
歯周病との関連については歯科ではもう当たり前に認識されています。
色々なところでそういう話が盛んにされています。
http://www.club-dm.jp/novocare_circle/academy/academy7.html
ですから内科医に言われてもな~~という気がしましたが
逆に医者も歯科の大切さをわかり始めてくれたんだな~~というのがわかって嬉しかったという感じですね。
相思相愛が一番いいですからね。
いくら歯科のほうが糖尿病と歯周病は関係が深いんだよ~~といっても
医科が見向きもしてくれなければ何も始まりませんからね。
医科のほうが歯科より立場が常に強いので
医科がこういう話をしてくれると歯科は大いに盛り上がるのです。
糖尿病により易感染性になるので
細菌は身体の中に入っていきやすくなりますし
細菌が炎症を引き起こしやすくなりますから
歯科は糖尿病やその他の医科の治療時に本当はもっと活躍しなくちゃいけないのですけどね。。
保険点数の問題なのか?医科の障壁通常高いです。
歯周病と全身については海外動画をサンスターが日本語訳してくれています。
これは何度も何度もみてくださいね。
インスリン出てきていますからね。
血糖コントロール食事のとり方、嗜好品の取り方が人生を左右します。
口の中はみればわかります。
この人何を食べてその後どうやって過ごしているのかな?ということが垣間見えます。
糖化がどれくらい進んでいるのかな?とかもわかります。
ですから歯科から医科へというのはよい窓口だと思います。
歯科でも簡易血糖値測定を保険適用してくれればよいのにね・・・・・
医科の先生が書いてくれる本ってたいてい、ケースプレゼンテーションが秀逸です。
ケース1:放置されたウ蝕(虫歯)・歯周病から重症肺化膿症を併発した1型糖尿病患者の例
こん睡状態になっているところを家族に発見されて救急搬送。
入院後の検査で多発性肺化膿症と診断され敗血症も併発。
奇跡的に一命を取り留めた29歳日本人女性のケース。
歯科治療をせず放置していた(まったくもう~自己管理ゼロですな)ウ蝕や歯周病菌が血行性に両肺に播種したようです。
命取りになるような重症感染症がお口に住んでいる細菌によって引き起こされるのです。
ケース2:インプラント周囲炎から術後に化膿性骨髄炎を併発した2型糖尿病患者の例
インプラント周囲炎があったけど特に全身的に問題になっていなかったが整形外科手術によって
免疫バランスが悪化して外科部位の化膿性骨髄炎を発症したというケース
が載っていました。
口腔子宮感染症というものについても説明してありました。
母親の免疫が届かない子宮内にて母親のお口の嫌気性菌が繁殖してしまって
早産や死産を引き起こしているということ。
マイナス2歳からの口腔ケアがとても大切なことがよくわかります。
怖いですね~~~~~
口の中には多数でとても多い種類の細菌や微生物が共生しています。
日本では薬効の高い歯磨き剤もリンス剤も流通できませんから
歯科を受診して細菌叢が悪くならない前に綺麗に口腔内をリセットしてもらうことを継続されておくとよいでしょう。
歯科を友達にしておくとよいですよ~~~
治療だけじゃない!それが歯科です。
気になった人はこの本買って読んでみてはいかがでしょう?
こういう臨床経験豊富な色々な分野のことをわかっておられる医科の先生が
歯科の大切さについて本をどんどん書いてくれて
それがどんどん売れればよい日本の医療になってくるように思います。
このブログに書いたくだけた内容と他所から貼らせてもらったカラー画像も
一緒にみて理解を深めてくれるといいな~~