2011年に当院がアメリカのラスベガス研修を終えて

ルミネアーズ認定歯科医院に登録されてすでに7年が経過しようとしています。

修復物は普通10年以上経過すると一定の評価がされるので
あと3年経てば当院でのルミネアーズの評価が出来るようになるという感じです。
人工物というのはそういうもので、保険治療の金銀パラジウム合金の治療(いわゆる銀歯)でも
CR(コンポジットレジン)の治療でも

もつものは20年でもそれ以上でももちますが、何かと不具合を発見しやすくなる目安が10年といわれています。

これを曲解して10年経ったらまた治しましょうと事前に言う先生も中にはおられますが、

不具合を生じていなくて人体の一部として機能しているならばそのまま使用して構わないことのほうが多いでしょう。

私が受けた保険治療の金パラ治療でももう30年くらい経過して不具合ないものもあります。
学生実習の時に信頼できる友人に治療してもらった2級インレー(金銀パラジウム合金でセメント合着タイプ)は

さすがに20年経過した頃不具合を生じて今はゴールドのインレーになっています。
母校広島大学の学生実習で受けた保険治療です。

まあ、そんなものですが、

ただ、ひとつの目安として修復物は10年持つことを一応目標にされていると思います。

ルミネアーズの治療を受けた方の多くにまだ問題を生じていないケースが多くあるのでもうちょっとで一安心できると思っています。

ただ、問題を生じたケースというのも複数あります

多くの原因が素材強度の不足からです。

審美治療といえばノンメタルセラミック治療という流れが主流になってきていると思いますが、

最も古くからあるのがフェルドスパ、つまり長石系のセラミックによる審美治療でしょう。

つまりは石系のものということになります。

VITAという会社のセラミック素材を製作する動画が貼れればよかったのですが、

元は石ですからね。こういう素材は。
石ですから薄いと強度が不足して割れますよね。

またガツンとした衝撃で割れますよね。

ですから長石系素材のセラミック治療は割れやすいということになります。

そこで第2世代として登場したのが少し割れにくいセラミック素材での審美治療ということになります。

陶器でも割れにくい陶器というのがありますよね。

割れにくい一定の強度が保証されているもののほうが扱いやすいわけです。
それでルミネアーズという技工物が一時人気が高かったのです


長石系の従来のベニアでは強度が100Mpaと日常使いには不足していたので
厚みがかなり必要でしたが、

ニューセリネートという素材は261Mpaの強度が保証されていましたから

割れにくいので薄くても可能になったので

non-prep(歯を削られなくても審美治療)が可能だよということで人気が高かったのです。


ところが、多くの歯科医院が失望したのは

実際に納品されてくるものはこの薄さではないという点です。

まあ、強度的に薄ければ割れるので当たり前なのですが。

また、海外の複数のラボで作られて納品されるために

製品にバラつきが多かったというのも問題でした。

通常、納品物の出来が悪ければクレームをあげて

技工物の再製を依頼しますが、

日本に技工所がなく輸入代行業者でしかも技工士さんがいない代行業者が真ん中に入っているために

再製依頼しても指示が通りにくくやり取りに時間が掛かる割りに

希望が叶えられないという問題がありストレスがありました。

ただ、治療のコンセプトとしてはよい点がたくさんあったと思います。

通常はベニアの治療といえば歯の表側がスッテンスッテンになるくらい削られてしまうのに

ルミネアーズであれば削らなくてよいわけです

 

 

1本の形成に早くて3分(これはありえないでしょうが)遅くて25分以上掛かるわけです。

 

普通の歯を削るタイプのベニアの形成うえうえうえうえ

VS たてやじるしたてやじるしたてやじるしたてやじるし歯を削らないタイプのベニアを貼る前の歯

形成なしです。

麻酔なし、形成なし、仮歯なし、

本歯が入るまでのトラブルなし、型取りしたらそのまま帰れ

普段どおりの生活です。

これはその後の歯の寿命にとってかなり意味が違ってきます

 

また昔から歯の模型の表面に箔を置いて長石系セラミックを極薄に盛り上げて作る

コンタクトレンズベニアというのがありましたが

それよりはよっぽど強度が高いのですから

技工後の取り扱いが楽で普及しやすかったというのもルミネアーズが一時期大ブレークした理由に挙げられるでしょう。

 

ところが時代はすでに進化して

ニューセリネートの時代は終焉し

e.maxを経て

ジルコニアthin ベニア(極薄のジルコニアベニア)の時代に変遷してきています。

 

歯科の材料や機械、技術の発展というのは目まぐるしいですからね。

 

当院が行っているのがつまり第3世代以降のe.maxなどの二ケイ酸リチウム系のセラミックや

ジルコニアを使った審美治療ということになります。

つまり、それが今主流になりつつあるスーパーエナメルということになります。
スーパーエナメルは特許取得済みですから

当院のセミナーを受講されていて加盟もされている歯科医院であれば

ある程度の安心があると思っていただくことが出来ると思います。

スーパーエナメルでの治療を希望されて加盟歯科医院を受診されるかぎりにおいては、

いきなり歯を削りにいかない審美治療を受けることが期待できるでしょう。

 

皆さんもご存知のように歯は一旦削られると弱くなります

特にマージン部分は歯の鎧とも言われるエナメル質が非常に薄くなっていたり細かいヒビが入って元々弱っています。

この薄いマージン部分のエナメル質を削ってエナメル小柱の走行を無視したステップを作り上げて(そのように形成して)

人間が認知できない範囲でステップレスに仕上げることに労力と価値を見出すのか?

それともそのエナメル質を温存してカバーリングして補強してあげる方向で

審美修復を仕上げるのか?に関しては

意見が分かれるところですし歯科医の治療目的やコンセプトが分かれるところではあるでしょう。

ただ、もしもエナメル小柱の走行を無視して形成で人為的ステップを作り上げるのであれば

歯科医は責任を持ってそのステップを修復物で完全に閉鎖しておくべきですから

その場合はマイクロスコープを使った形成が必要ということになるでしょう。

自分が形成したステップマージンの閉鎖は出来るだけ厳密におこなっておく必要がありますからね。

つまりは、形成される場合はきちんとマイクロスコープで形成面を確認してもらって技工物の出来不出来もマイクロスコープで(技工用拡大鏡)で確認してもらって接着操作もマイクロスコープで確認してもらえる超高額で丁寧な治療が望める治療時間が超長い歯科医院での治療を受けておくべきでしょう。

裸眼や拡大鏡程度でされる治療で大切な薄い薄いデリケートな部分のエナメル質を削り取られる治療は受けないほうがよいように思います。

隣接面には十分な厚みのエナメル質がありますからまあこの部分はまだよいでしょうが。。。

こういう削り取りタイプの治療を受けられる場合はスーパーエナメルやルミネアーズのお気軽さとは異なり

非常に厳密な治療をしてもらうとよいでしょう。

つけ爪の感覚で不具合が生じたら気楽に貼りかえるという治療ではなくなります。

それでもエナメル質が極薄でも残っていればまだよいほうです。

セラミック冠の治療、いわゆるセラミック矯正の場合は、

このエナメル質を全部削り落として象牙質も侵襲してしまいますからね。

とても厳密な治療でなければ受けないほうがまだマシといわれるのは

そのせいです。

粗い治療は即、歯を失うことにつながってしまうでしょう。

 

当院では岡山という立地上、このような高額なマイクロ形成の治療(1本の形成に10万円以上必要な治療)の需要は期待できません。

また、そんな価値や違いを一々患者さんに説明する気力も時間もありません。

ですから通常の価格競争に巻き込まれて安い粗い治療を患者さんは選択されがちですから

とてもとても世界の片山技工士や大河先生の治療費を支払える患者さん層というのはいませんから(数名程度ならばおられるかもしれませんが)、はじめから歯を削らない治療というのを選択しました。

この場合は、まったく治療コンセプトが違います。

歯は削られないで逆に補強されるのですから気楽です。

マージンを作りにいきませんから気にいらなければ何度でもやり直しが可能なのです。

ここで、マージンのステップということが常に問題になってくるでしょう。



実際のセラミック治療の場合はエナメル質とセラミックの間には必ずある一定の厚みの樹脂が介入しています。

上の図はエナメル質に「u」というボンディング剤の層があってセラミックの細粒を含んだコンポジットレジンがくっついている図です。

セラミックの治療の場合は「E」エナメル質の次が「u」ボンディング層、その次がレジン系セメントの層、その次がボンディング層でその上がセラミックの層になります。

エナメル質とセラミックはどうやっても科学的にくっつきませんから

樹脂を必ず介在させてくっつけることになります。

 

まあ、強拡大すればこんな感じでしょうか。

表面処理したエナメル質に樹脂を浸透させてエナメルタグで強固に結合させているという感じ。

これが単純に樹脂とエナメル質の関係。

この樹脂に強化剤や色粉などの必要成分が入ったのものがレジン系セメントです。

反対のセラミックの受け手側は技工所で丁寧にフッ酸処理してスリガラス状にした表面の凸凹面に樹脂のタグが入って固まっているという感じです。

強固な接着は細菌が入り込む隙間がないように仕上げることが出来ます。

こういう接着に関してご興味がある奇特な方は是非英文で検索勉強してみてください。

ネット上に多くの文献があります。

極薄の部位のエナメル質に人為的なステップを作っていくのか?いかないのか?
物理学的な強度も組成も異なるもの同士の結合時にステップを作り機能圧をかけ続けるとどうなることを予測するのか?

などなどこれはコンセプトの明確な違いによって治療法の選択が大きく分かれるので

選択は患者さんご自身が選択されることが必要になるでしょう。

 

 

今回はちょっとちょっと専門的な内容が混ざってわかりにくくなっていますが、
まあ、スーパーエナメルという治療法は素材強度が向上したより最新のものを使用しているので

ニューセリネート素材のルミネアーズの治療よりも優れているということをお伝えしたのと、

prepベニアならばマイクロで上手い治療を受けたほうがよいということと、

その治療を受けられる人はとても高額な治療すぎて気楽な治療とはかけ離れてしまうということと、

まったく違うコンセプトのつけ爪感覚でのnon-prepベニア治療ならばお気軽で費用もお手頃で可能だし

何よりも何度でもやりかえることが出来てその都度歯が弱くなるという心配がないので歯を削ってのベニア治療より数段身近で普及しやすいということがなんとなくわかってもらえればよいかな~~と思います。

コンセプトが違いますからね~~~~~~~~

 

マイクロいらない気軽で手軽な治療。

それがスーパーエナメルです。

まさにつけ爪感覚。

歯のお洒落。楽しんでね~~~~~~~

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