2017年秋も歯科関係のセミナーは目白押しでしたが、
絞り込んで今話題のカリエールディスタライザーのアジアシンポジウムに参加してきました。
日本でカリエールセミナーをおこなっている先生はまだ数名で、たいていいつも同じ先生に出会うことになります。
今回も日本スピーカーは賀来先生と螺良先生でした。
どちらの先生の講演もすでに受講していますので今回はリアルDr.カリエールにお会いしたくての参加でした。
何しろ、今年のIDS国際デンタルショーのプレゼンをみればお会いせずにはおけないようなとても魅力的な先生。
まずは、出っ歯(CLASSⅡ)についてのプレゼンを貼っておきます。
まったく凄い装置が出てきたものです。
多くの一般の方の悩みは前歯の見た目が悪いのでそれをなんとか歯医者で直して欲しいということが歯科受診の特に審美歯科や矯正歯科の受診動機になっていると思うのですが、
ほとんどの人は前歯に問題があるんだから部分矯正でいいんじゃないの?と考えますよね?
ところが実際それは誤りなんです。
前歯にガタガタがあったり出っ歯の原因というのは
奥歯に原因があったり顎の位置に問題があるのです。
これを前歯だけの問題としてもしも部分矯正治療でなんちゃってお手軽矯正を受けると前歯がかみ合わなくなったり出っ歯が余計酷くなったり永久に固定されなければすぐに(数年単位で)後戻りが生じてガタガタを生じるということにつながったりするのです。
また審美歯科で前歯を大きく削ってもらって歯冠部だけセラミック、またはお金がなければ樹脂のハイブリッドで作ってもらうと歯の神経近くまで削られちゃって痛みが生じて抜髄=歯が死ぬんだから数年後には根の問題を生じたり根自体が褐色に変色して死んだ歯~~という印象を与えることにつながる可能性があります。歯根と軸が違う冠であれば歯茎にとってもよくないしと様々な問題を抱え込むことになります。
ですから矯正治療は基本、全顎で様々な問題を解決しておきたいというのが基本治療になるでしょう。
さて、一番簡単なかみ合わせの問題の見方は数個の基準があります。まず、乳歯列を獲得して上顎左右A~E、下顎左右A~Eが生えてそこに向けて顎が発育していった後、最初に生えてくる永久歯。つまり第一大臼歯(6番)の咬合関係。ここが矯正治療のキーになるのです。
第一大臼歯(6歳臼歯)の上下の対向関係がⅠ級であるかどうかが矯正治療や顎顔面を考える上で非常に重要なポイントになります。
その次が犬歯です。犬歯はちょうど歯列のアーチが曲がってくるところにある歯で歯根が超長い。またかなり頑丈な歯ですから左右側への顎運動の要になっています。この上下の犬歯の対向関係がⅠ級であることが必要です。
後は、山と谷がちょうど合致していたほうが望ましいし、(側方運動した時に磨耗するかまたは磨耗できなければ歯にヒビが入りますからね。過剰に山と山が当たっていないことが必要です)辺縁隆線に連続性があることが必要だし溝にも連続性があることが必要だし、アーチフォームがU字で安定感があることが必要だし(U字の橋の強度でよく説明されていますよね)・・・・などの細かい決まりがあるのです。
詳しいことは省略しますが、大臼歯Ⅰ級関係。犬歯Ⅰ級関係。上下の正中が合致・・・が最も簡単な矯正治療の難易度の見分け方ということになります。
それで、上の動画はⅡ級のカリエールモーションを利用した治しかたです。
非抜歯でOKなんです。6番に接着した構造体のボールジョイントが決めてなんです。そして顎外固定装置に使用するくらいの協力なゴムと対合の一体化した歯列による強力なアンカー。これらが上顎犬歯以降を後方に一塊で移動させます。更に顎関節の適応です(位置を正常化させる)これらで出っ歯や上前歯のガタガタの人に起きていやすい上顎第一大臼歯の近心回転の修正(ボールジョイントのお蔭だよ~~)と前歯の矯正スペースの確保が非常に簡単に可能になるのです。
これらはグリーンフィールド先生やその他の多数の先生が開発してきた装置と同じように働くけれど従来の装置と比較してとてもシンプルで患者さんに苦痛を強いない、また装置自体が壊れにくい(シンプルだから)という特性があり矯正患者さんと歯科医側双方にとってとても幸運な装置で画期的ということになっています。
ブラケット矯正やインビザライン矯正の最初の数ヶ月をこのカリエールディスタライザーに置き換えてゴム掛けを約束を守っておこなってもらうだけで矯正治療自体が非常に単純でシンプルで難易度の低い治療に変化するのです。本当にありがたいですよね~~~
Ⅱ級これにはカリエールマスト。カリエールファーストという選択肢が用意された価値は非常に高いと思います。
さ~て。次に最悪なⅢ級(受け口)についてはどうでしょう?
最悪なⅢ級。これは人間の正常な成長と逆行していますから最初の出だしから非常に難易度高めというケースになることが多いです。
普通、人間は上顎が先に前に前に成長して正常な顎顔面形態を作り上げていくのを成長というのですが、反対咬合はまったく逆。最初の最初から大問題を抱えておいてそれを放置されてきたために非常にやっかいな歯並びや顎関節、顔顔面形態になっていますよというケースですね。
そういう厄介な難ケースもカリエールを応用することが可能になっています。
こんな風に。
これは本当に大変そうですね。
非常にシンプルな装置で単純なのですが、やはり受け口の治療はドキドキしそうですね。
でも、このFaceのチェンジ。
これを望むならばそして外科のリスクを負いたくないというならば
カリエールディスタライザーとローフリクションのブラケット出来ればセットで規格されているこの金属色しかないSLXブラケットという選択を矯正専門医でおこなってもらうのはよいかもしれません。
犬歯をここまで動かすし(しかもレバーのようにググググ~~っと)更に下顎前歯をグイグイ動かすのは普通の矯正歯科医でもかなり怖いと感じるかもしれませんから骨が脆弱で粘膜も薄い栄養障害がいかにもありそうな日本人ケースレポートがもう少し出揃うのを待ちたいと考える専門医は多いのではないかとも思いますが、人生が劇的に変わるようですよ。
まあ、私としてはこんなに苦労して矯正治療を受けなければいけなくなるまで放置しておくな!と全国の親に言いたいですがね。
よい歯並びは生まれた時からの成長で獲得していくものです。
本格的な矯正治療で大事な治療が必要ではないように育てることが大切です。
今は矯正治療も非常にシステマチックになって改善改善され装置もより苦痛のない非常に単純なものが出来てきています。ですが、やっぱりそういう装置が必要でない子どもに育て上げておきたいですよね。
T4KでもEFラインでもマルチファミリーでも何でもいいんです。簡単なケースならばムーシールドだっていいんです。もっとお手軽なパナシールドだってチューイングブラシだっていいんです。よい歯科医、よい歯科スタッフに出会って
どういう装置でもその状態に合致した選択によって成長を正常に導いてもらいつつ筋肉のトレーニングや悪習癖の除去、睡眠障害の改善、鼻疾患の改善、過剰になっている免疫応答への正しい修正をおこなうように効果的な指導を受けることが出来ることが、それがすべての子どもが受けることが可能になることのほうが重要なことなのです。成長期に正常に成長ホルモンが出て背が適切に伸びて歯並びもスマイルも綺麗に!
そういう成長に寄り添う治療は半分以上が教育です。
すべての子どもに!チャンスを!
すべての子どもに平等にチャンスを与えるためには、安い治療費でなければ無理でしょう。
悪くなって成長が終わって難ケース化したものをもちろん治すことも可能です。進化とともにこういう単純で効果的なカリエールのような装置や様々な機能を組み込んだ各種ブラケット、特徴のあるワイヤーを各種用いたり場合によってはインビザラインでも治療が可能になってきています。
だけど、やっぱり一番は成長期。
実際これがベストです。
成長の方向性に失敗していて形態も機能も上手く獲得できていないのを長期間の成長期を通して見逃しておく必要性はないでしょう。
高度な技術力が必要な成人矯正治療で大掛かりな全顎矯正治療に至らずにすむように、歯並びも機能も早めに成長期を利用して治しておきたいのですが、もしもこういうことを今になって知ってしまった遅すぎた成人の方にもチャンスが広がってきているということを今回はお伝えしています。
カリエールディスタライザーは今後、最も有効な治療装置になるんじゃないでしょうか。
当院でもあなたの素晴らしい笑顔のためにカリエールディスタライザーを用いた時間短縮の治療法を導入しています。カリエールだけではなくローフリクションブラケットによる歯槽間靭帯に優しい矯正治療法もあります(つまりはブラックトライアングルが生じにくい治療法)インビザラインとの組み合わせによって見えない矯正治療という選択もあります。
今回のシンポジウムに参加されたアメリカの矯正専門医の先生方は皆矯正治療は1年以内に治さなければ患者に支持されない時代になっているといっていました。カリエールなどの複数の特徴ある治療装置を適正に利用すればそういうことも夢ではなくなってきているようです。
当医院では、もちろん、スマイルに自信がもてない方には歯を削らない審美治療法スーパーエナメルもご用意しています。
様々な治療法の中からあなたに選択してもらうために説明時間を十分とっています。
さあ、悩んでいないで素敵なスマイルで前向きな人生を送りましょう!