象牙細管中に侵入した細菌の写真です。
虫歯やエナメル質が欠損して、
象牙質がお口の中に露出してしまったら、
象牙質は管腔構造なので、
細菌に汚染(感染)されてしまうので、
怖ろしいのです!
通常、健康な時は、
この象牙細管内にある象牙細管内液は、
神経方向から(内から)お口の中へ(外へ)と流れているため、
細菌が細管内に侵入する危険はほとんどありません。
しかし、
生体に(人間に)強いストレスがかかったり、栄養状態が悪くなったり、
甘いものばかり食べているなど、マイナスな要因があると、
象牙細管内液は逆方向に向かうため、
(つまり、お口の中(外)から、歯髄方向(内)へ)
細菌が細管内深くへと侵入してしまうのです。
そういうことを実験をして書かれた本がこれです。
アメリカの偉~い先生が書いた有名な本ですが、
英語版なので、日本では無名です。
では、
この象牙細管内に入り込んだ細菌を
どうやって取り除くか・・・・
日本の多くの歯科医は、
齲蝕検知液というのを使ってこれを取り除こうと試みます。
齲蝕検知液には2種類あって、
余計なところまで、つまり細菌がいそうにないところまで染め出し過ぎてしまう製品と、
細菌がいそうにないところは染めない製品があります。
前者は、赤く、後者は青です。
どちらも基材に色素(食紅や食用青)を入れて浸透性を調整した製品で、
コラーゲン繊維などの有機物に色素が絡みつきます。
浸透度が調整されている・・・
つまり、どれくらいルーズなところに入り込めるか。。
http://www.j-tokkyo.com/2005/A61K/JP2005-263667.shtml
でも、
決して
細菌自体を選択して
染め出しているのではありません。
元々、細菌はふつう人間の目には見えません。(歯科用マイクロを使っても無理です。)
ていうか、細菌が見えたとしてもそれを選別して外科的に取り除く能力は
残念ながら
人間にはありません。
そこで、持続的な殺菌や消毒を行って
化学的に細菌を無害にすることが
必ず必要になります。
しかし、細菌を殺そうとすると、歯髄も刺激してしまうのです。
また、浸透力の話になりますが、
象牙細管の中には細管内液があるので、
そんじょそこらのものは、入っていかないことが知られています。
逆に圧を加えて入れちゃうと歯髄症状が出ますしね…
そこで、ドックベストセメントの銅イオンに活躍してもらおうっていうのが、
この治療法のコンセプトです。
昔から銅イオンの象牙質の殺菌作用はよく知られていましたから(カッパ‐セメントっていうのがある)
その濃度をうまい具合に調整して
歯髄近くに塗布しても大丈夫な濃度で徐放されるように
また、ミネラルをチャージしてルーズになっちゃった象牙細管の構造体を歯髄側側からの防御反応により閉鎖させることで
細菌が歯髄側で歯髄側に向かって繁殖を進めないように
第2象牙質も作り
第3象牙質の弱いけど無いよりましな鎧で歯髄を守ろうという方法がこの方法なのです。
たぶんColgateのイメージ図とSEM画みたいな状態になってるんじゃないでしょうか?
これは、シミ止ですから、外側の細管をミネラルをチャージして封鎖しましたってことですが、
第2象牙質が作られて象牙質自身がカチンカチンになるって、
こういうイメージではないかと想像します。
(実際の図や画像が欲しいですね。
日本の大学や研究施設が研究してくれればいいのですが
日本では持続的な殺菌力があると使用できませんから
海外の研究に期待するんでしょうかね)
臨床では、数か月ドックベストセメントを塗布しておくと、
軟化していた象牙質がカチンカチンな状態
になってます。
一瞬エナメル質か??って思っちゃうくらいガチにカチンカチンになってます。
で、こうなれば、もうひとまず安心ってわけで最終充填を行って終了です。
全ての処置で麻酔なし、痛みなし、機械でのガリガリゴリゴリなしも可能です。
とはいえ、機械でのゴリゴリをしておくと綺麗な仕上がりに繋がります。
歯の歯髄が生きているってことは、歯が生きているってことですから、
虫歯を一気に取り除いて抜髄するのとは
歯自体のもちがまるっきり違ってきます。
あなたは虫歯治療、どの方法でしてもらいたいですか?
過去のブログも参考にして考えてみてください。
他の歯科医師の評価は、
http://www2.ha-channel-88.com/bbs/kiji.php?no=199009
日本未認可製品ですから自費治療になります。
なお、ドックスベストセメントと言っていましたが、名称をドックベストセメントに統一しましょうというお話がありましたので、訂正しています。
英語ではDoc's Best Cementですから、ドクターが選ぶベストなセメントの意味が込められていということです。(英語の発音は、日本語表記しにくいですからね)