歯チャンネルという歯に関する悩みのQ&Aサイトで

回答者をはじめてしてきたのでしばらくぶりのブログです。

http://www2.ha-channel-88.com/bbs/index.php

 

歯チャンネルというところは、かなりマニアックな方の集まりのようで、

患者さんもあなたは歯科医?というくらい勉強家の方が時におられるし、

回答者の先生方も回答に論文や文献の裏打ちがないと容赦なく一行一行に突っ込みを入れられてこられるし、

回答者だけが見ることが出来る場所で、名指しで攻撃(?)してくる先生もあり、結構疲れました。

 

でも、どの先生も歯科を科学的に解説しようと奮闘されているのでとても勉強になりますよ。

私もちょっとやみつきになりそうです。

 

歯チャンネルで悩みを打ち明けると回答が科学的?すぎて逆に余計悩んでしまったり、

諸説ふんプンの深みにはまって訳がわからなくなり迷子になってしまう。。。。。という方が結構多いという

印象を受けてしまいました。

更に日本中の保険医は低い保険点数の中、

かなり多方面で頑張って日本の歯科事情の底上げをし続けてきている凄い集団なのに、

主な回答者の地域性のためか?自費治療を選択しなければ治りませんよと

明らかに自費治療へ誘導している傾向が顕著過ぎて

同じ歯科医でも呆れてしまうような回答傾向が多々あります。トホホ。。



特に、顕微鏡歯科学会の面々が仲良く回答されている印象があり
ラバダム、マイクロが命という書き方にはちょっと辟易してしまうところがありますね。
裸眼でよく見えるか?見えないか?は個人個人違うでしょうし、

見えても見ようとしないと見えないものはたくさんありますけどね。。
もちろん、見えないよりは見たいものが見えたほうがよいのはわかりきっていますが、
見えちゃったために余命宣告を受けて臨床症状がさほど出ていないのに

どんどん不可逆的な治療へ進まれちゃうという場合もあるでしょうに。
顕微鏡で見えるのは見えて20倍程度。

そもそも見ている歯科医の目はどの程度?知識量はどの程度?臨床経験はどの程度?

その歯、救えるの?救えないの?っていう問題のほうが大事だったり。。。

ラバダムもあったほうがよいけど、なくても歯を長期にわたって救っている歯科医のほうが多いので

日本では加算さえなくなりました。(なぜなくなったのか?については諸説ありますが)

歯の治療の多くはそもそも膨大な細菌と死骸と汚れがウジャウジャ繁殖し

ドロドロの腐敗有機物で最大に汚染されている場ですから

そこでどんなに清潔なものを使っても元は超汚い場ですからね。

それをず~~とお口の中に置いていて長期間全然平気で過ごしてきた人の

その口の中での患部の除去作業ですから

ラバダムのタイミングはいつしますか?
露出範囲はすべて清潔に出来てるんですか?って感じですよね。

ラバダムはどのタイミングでつけるんですか?
そこってホントに清潔になってるんですか?

唾液が~湿気が~~~って何のために排唾管やバキュームがあるんですか?
逆に術中口の中がカピカピに乾燥するのを防ぐことはできますがね。

殺菌や除菌には様々な薬液を使う場合が多々ありますから

ラバダムしたほうが特に小児は安心ですが、

強い薬剤は使わない方向に歯科治療は進んでいますから
例えば、マイクロバブルが出来るErYAGレーザーをピーっと併用したりすればスッキリ綺麗に治ったりしますけど。

まあ、アメリカの歯内療法医(1根管10万円以上が平均って感じの専門医)で

治療を受ける際にラバダム無し、マイクロもなしだと患者が来ないでしょうがね。。

 

 

このような結構な偏りのあるサイトにはまってしまうと

保険診療で日々頑張って治療を提供しているかかりつけ歯科医の権威は地に堕ち、

さまよえる患者が作りだされるのだな~と、ネットの便利さと怖さを体感してまいりました。

よかったら、色々な歯科医の回答を見てみてくださいね。
自費専門医がたくさん回答している印象があり、

保険治療の世界にマイナスコメントたくさんという感じですね。。。叫び

 

 

田舎の歯医者さんのここのブログの読者の方はもうお分かりのように、

私の診療のコンセプトは、「見えないものも診ようとする」というものです。

現代の医科や歯科は「見えないものを見える化」することを目標に技術開発をし発展してきています。

不確かなことは排除し、証拠に基づかない診療をできるだけ排除する傾向にあります。

昔の名医は、聴診器や触診、視診、問診だけで患者を診て多くの病気を治していました。

しかし、現代では、色々な技術開発が進み、ある種の顕微鏡下で細菌や免疫細胞なども見ることが可能になったため、

医者はすべてが見えるものだと勘違いしやすくなっています。
歯科治療で使っている顕微鏡(マイクロ)なんぞで、細菌や細胞など見えませんってw

見えてるのはその程度のレベル、人が出来るのはその程度です。

 

ただ、患者さんは昨今、見える化して診断診療してもらうことを望みますから

見せる化には役立ちます。

患者さんって自分の歯をじっくり見たことさえないので

歯をディスプレイで見ただけで見た~って気になってくれますものね。
マイクロは画像や動画を記録共有するにはとても便利です。

 

でも、私達医療者は実はまだまだ多くの物が見えていないのです。

色んな文献や研究で見える化されたようになると人は一瞬でそれを信じてしまいますが、

患者の状態は一人一人違うので、普遍性から漏れる場合が多々あり、

可能な研究法もどんどん進化していきますから
どんどんどんどん医療は進化し続けていき
また研究も日々揺れ動く世界です。

論文はあなたの今を切り取った物ではありません。

細胞一つ、反応性一つとっても、個人個人、ケースケースで違う場合があるということは当たり前です。

 

そこで、私はオーラルフィジオセラピー的なアプローチも意識することにしています。

http://www.asahi-net.or.jp/~pi5a-kns/phyoron023.htm

 

できるだけホリスティックに患者さんを診るように心がけています。



歯チャンネルで問題が解決する人は本当に幸運です。

もしも、問題がより複雑化したり、迷路に陥った人は、

上のサイトを思いだして下さい。

歯科でもいろいろなアプローチの仕方があるのです。

(多くの歯科医にとっては当たり前のことですが、

歯チャンネルの先生方の一部には納得し難い、あるいは認めたくないことがあるようです。

または、新参者が通過すべき関門?かも?)

 

歯ちゃんねる。歯科の相談をするときは文献マニアの先生には気をつけて!

 

それよりも、あなたの悩みにちゃんと寄り添ってくれる

親切で熱心なかかりつけ医を早く探し出した方が絶対に幸せです。

追記:
歯科も医科も専門性をどんどん深めてきていましたが、

弊害が生じて問題になり、

昨今はかかりつけ医制度にシフトしてきています。
歯科の場合は、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所です。

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/000124074.pdf


認定要件を結構たくさんクリアしていかないといけない為

歯科医1名で自費治療主体で行っているような専門性や特殊性を前面に出している歯科医院は基本申請不能です。

 

もしも、あなたが困っている事について

本当に専門性が非常に高くなければ解決できないならば

かかりつけ歯科医から紹介状が出されて

かなり割高な自費診療になるかもしれませんが

それ相応の専門医(名前だけじゃなく本当に実績があるので歯科医が紹介する事を期待できる)を

紹介してくれるのではないでしょうか?

もちろん、費用を出す余裕がないとか

今以上の費用負担をしたくないとか

時間的余裕がないため自分の都合を聞いてくれという場合は紹介は難しいかもしれません。
そういう場合は、

すでに自分の手に負えなくなっているので、おかかりの歯科医も大変でしょうが、

嫌でも目の前の患者さんの苦痛を出来る範囲で取り除こうと試みてくれることになるでしょう。

あなた自身が、

本気でその歯やお口の治療に時間とお金をかける意義を理解出来て、

多少であれば治療に要する我慢を厭いませんというのが前提になるかもしれませんが、

より専門性の高い治療を必要とお感じであれば

まずは、おかかりの歯科医とよくご相談してみてください。

 

ネット相談では、

診断に必要な各種資料が揃わない為

ザックリとした一般論程度になるでしょう。

回答が役に立つケースに当てはまるのか?

実際は、非常に不確実ですね。

追加:

このブログ後、10年以上回答を続けて来て
マイクロ命、ラバダム命と言い続けていた自費診療主体の歯科医達の多くが回答者からいなくなったように感じています。
もっと構成力の高い利益を相互に産むQ&Aサイトが複数できたのかもしれません。
検索上位に上がらなくなってきて歯チャンネルのアクセス数自体が減ったというのが理由にあるのかもしれませんし、

自費診療主体の歯科医が時間をかけて回答するほどの広告宣伝効果が見込めなくなったためという理由があるのかもしれません。

何らかの利がないまならば偉い先生方は回答しなくなりますからね。
回答する事が逆に悪い書き込みに繋がって嫌気がさしてボランティア回答なんてやってられるか~となったのかもしれません。

歯チャンネルの相談者には結構面倒な質問者が居ますから回答する事を危険に感じたり、

他の多くの人へ意図せずマイナスの印象を与える事になり

それを解消する努力に忙殺されることとなり

ボランティア回答したために厄介に巻き込まれて嫌気がさして回答されなくなったのかもしれません。
あまりに酷い質問者は出禁処置になりましたね。
 

 

追記:
 

個人的には、

回答者をもっと若手歯科医や歯科衛生士にしてもらい

つたないながら1000本ノックのように

患者さんの疑問や不安に対してどんどん回答してもらい

それを裏からベテラン歯科医が指導するという

大学病院のミッド制のような場になっていくのがよいのでは?と思っています。

私も日々、質問の千本ノックだと思って回答を10年以上続けることで

かなり鍛えていただいたと思っています。

表でも裏でも2ちゃんでもですね。
そうやっていても、実際の臨床では時に凄い威圧感と攻撃性をもってグイグイ押してくる

無法者というか、何をどう説明しても通じない理解し合えない患者さんに遭遇する事もあります。

それは、裏返せば患者さんの方も同じように感じるでしょう。

つまり永遠に相性が合わない遭遇パターン、そういう場合も絶対になくなりません。

先日も往診で活躍されて周囲の信頼が厚かった立派な医師が刺されてお亡くなりになっていましたよね。
様々な患者さんがおられ、事情も社会的背景も違い理解力も期待値も違うのですから、

Q&Aサイトの

千本ノックも役立たないしんどいケースはなくなりませんが、

それこそが臨床の現場です。
大学病院や病院歯科では毎年、新たに歯科医師免許を取った新米歯科医がたくさん研修を開始し

まず初診患者さんの問診を取って問診票を作製するお仕事から開始します。

それに慣れたら治療計画立案を行って

臨床経験が豊富になってきている数年経った歯科医にチェックしてもらう

ケースカンファレンスを繰り返して医学的な知見を深めていきます。

まず、

どういう病気もパターンはあるが多様な病態がある事、多様な治療法がある事、多様な要望がある事を

実際のケースから学んでいきます。

その後実際に治療行為が解禁になり

自分の実力を高めていく研鑽の日々が生涯をかけて始まっていきます。

歯科医個々人によって器用さ不器用さ

理解度、実現性は大きく異なりますから
それぞれの歯科医や歯科医療人が日々患者さんのお役に立つようにと

個人個人の歩みで研鑽し続けていくことが義務付けられます。

更に歯科医療の進化も保険医療の改正も著しい為

時代遅れにならないように

様々な情報網を張り巡らせて

日々勉強し臨床に応用していくことが必要となり

何歳になっても地位や資格が何になっても永遠に努力がいります。

 

あなたが選んだ歯科医院がどのレベルの治療を提供してくれているのか?

どの程度の医療サービスを提供しているのか?は

運次第という面があるかもしれませんが、

お互いよくコミュニケーションをとっていただき

今ある歯を末永く維持し人生の最期まで機能的にお困りにならないように

サポートし続けてもらえる人であっていただきたいと思います。

半分寝たきりになっても現在は往診を受けることが出来ます。

衛生士によるメンテナンスも受けることが出来ます。

でも、どれも人が行う事です。

人とコミュニケーションがうまく取れて

自分がしてもらいたいことをきちんと伝えることが出来て

必要な我慢が出来、ある程度の理解力がなければ

歯を失ったり健康を害することに繋がっていきます。

身近な人ときちんとコミュニケ―ションを取れる能力はとても大切です。

加齢や病気で障害をお持ちになるようになって全く歯科の往診も受けられず大変お困りになっている方の多くが

家族とのコミュニケーションすらうまく出来ていない方になっています。

人に愛される能力、技術、表現力って

どんなときにも力になるのだな~と思います。

 

歯が残っていたために大変お困りになるという時代ではなくなっていくように

医科も含めて制度を充実させてくれていますから

今ある歯を大切にするために

まず、お近くの歯科医院(多くの場合保険医でよい)を上手くご活用ください。

最期に頼れるのは、お近くの通う事が可能な、

あるいは往診を頼める歯科医院です。

それが、かかりつけ歯科医院です。