受け口(下顎前突)


Dr.ふなちゃんのブログ

女性では、セクシー。

男性では、野性的。男らしい。たくましい。

などという賛辞も聞こえてきますが、

当の本人の悩みは深いでしょう。

 

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まず、見た目が性格に与える影響について。

 

闘争心丸出しのように見られるため、

何気ない顔をしていても、相手に不満があるように見られたり、

喧嘩を売っているように見られる。

何かと不便ですね。

可愛がられたいと思っても相手に警戒感を与えてしまうため、

小さい頃、無条件に可愛がってもらう機会が少なくなってしまいます。

依存心が強い幼少時には、違和感が強く、居心地悪く感じることが多いでしょう。

大変損をしてしまいますね。

しかし、自己の確立に成功すると、

知らず知らずのうちに自立心が高くなり、親分肌といわれるように振る舞うことが出来るようになるかもしれません。

まさに、周りの反応が性格を作りだす典型でしょう。

歯並びを改善すれば、機能障害も少なくなるため、

社会で社交的に活躍する人も多いでしょう。

 

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受け口の困ったところは、

その機能異常によるでしょう。

機能障害の典型は、

嚥下障害

前歯が反対になっているため、前歯でものを咬みきることができない。

つまり、食べ物を丸飲みすることにつながります。

奥歯でものをよく咬むことも難しく、

上顎と舌で食べ物をつぶすという異常な癖がつきやすいようです。

どちらかといえばすりつぶす穀物系より、ワニのように食べやすい肉類が好きになる。

もう一つは、発音障害

サ行タ行などが難しい人が多い。

咬み合っているのは奥歯だけ。

しかも、咬んでいる奥歯の咬み合わせ自体、正常からかけ離れるため、

歳をとるに従って、顎関節がゴキゴキ悲鳴を上げ始める

奥歯がすり減るに従い(歯は使えば使うほど生理的にすり減る)、

上の前歯がゴンゴン当たり始めるので、上の前歯は早くからダメージを受け、

神経処置の後、さし歯(土台+冠)になる確率が高い。

それも、外れたり、削れたりするので、歯医者泣かせ(笑顔?)の咬み合わせに分類されます。

最終的に入れ歯やインプラントになる確率が高くなりますが、

顎の対向関係が正常と真逆なため、咬み合わせを新たに作るのも難しいです。

一般に歯医者は、正常な咬み合わせをメカニカルに作りだそうとするので、

異常嚥下癖が抜けない患者さんには、何をやっても咬めない。という不満が残りやすくなります。

総入れ歯になると義歯の安定が困難になりやすいです。

 

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それでは、なぜこんな受け口になったのでしょうか?

それは、

ほとんどの場合、幼少時に上顎が十分発育できていないことが原因でしょう。

あるいは、成長ホルモン分泌が晩期まで盛んで、

上顎を飛び越えて下顎が成長してしまったことが原因でしょう。

つまり、遺伝的要素は強いとわれています。

親や祖父母が受け口だと遺伝しやすいと言われます。

 

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もともと、顎の発育には時間差があります。

まず、上顎は小学校の間に成長を終えます。

というのは上顎は鼻の一部。鼻の上は目。目の上は脳です。

これらは骨縫合を介して一体構造なので、

出生時には6割完成しており、残り4割を小学生時代までにさっさと成長を終えてしまいます。

帽子のサイズが、中学高校ではほとんどフリーサイズになってきますよね?

頭=上顎は成長が早いのです。

 

ところが、下顎は、フリーですから。

顎関節で上顎にぶら下がっているだけの構造体。

出生時にも2割の完成度しかない。はっきり言って超未熟ものなのですね。

下顎は、歯の生え替わりとともに残り8割の成長を続けるとされ、

身長と共にどんどん、どんどん大きくなります。

変な癖や変な食べ方、変な使い方をすれば影響が大ですね。

もちろん、変な歯の生え方を放置するのもいけませんね。

下顎は第2次成長期まで、上顎を追いかけて成長します。

下顎は身長が伸びている間は、ぐんぐん成長します。

前歯の重なりを追い越してしまえば、完全にしゃくれた受け口ですね。

まだ身長が伸びている最中で前歯の重なりが全くなくなってしまった段階でしゃくれ口に一直線になってしまいます。

 

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早めの相談が鍵

 

早目に専門医に相談すると、しないとでは、その後の悩みが雲泥の差になります。

乳歯のときからコントロールを開始するとよいでしょう。

歯の生え替わり時期ならさほど苦労することなく完全に治るケースが増えます。

 

乳歯期や混合歯列期を、放っておくと問題が深刻化してしまいます。

永久歯に生え替わってから矯正で歯並びだけをなおすことは可能ですが、

肝心な横顔の見た目や、顎のしゃくれ感は矯正だけでは治せないケースが多くなります。

顎の成長が終わった後見た目を治すためには、外科矯正が必要になってきます。

外科矯正の場合、保険が適用されることが多く、
施設基準の整った矯正認定医のいる歯科医院では、

保険適用で矯正と手術が受けられますからトータル40万円~60万円程度といわれることが多いですが、

外科前に術前矯正を数年行ったり(その際はいったん受け口が酷くなる方向に並べることが多くあります)

外科のために大学病院のオペ室と病棟の予約を抑える等

かなり敷居の高い治療になります。

またその後の術後矯正と保定も必要です。

保定の期間中も後戻りを少なくするためには、相当な筋肉の訓練と覚悟が必要となります。

もっとも、手術まで選択される方は、やり抜こうという御気持ちが強い方が多く

どんなに辛くても後戻りが生じないようにとトレーニングをしっかり頑張ってくれるものと

想像して口腔外科医も矯正専門医も治療を担当しているでしょう。

親知らずを抜くくらいの感覚で顎切り手術まで受ける人などはおられません。

 

しっかり覚悟をして

治療の望んでいただくことが必要になると言われています。

http://blog.goo.ne.jp/nue26562/e/a306d958f06bfddc05f77e0144d57daa

 

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次回は簡単にできる。受け口の予防法。

 

受け口の方の御意見をぐるっぽでも お待ちしています。