今日は、タバコについて考えてみましょう。
歯医者に来られた患者さんに、
お口を開けてもらうと、
その人が、喫煙者か、非喫煙者か
たいていわかります。
プルプルの唇にグロスをのせた、
アヒル唇のかわいい高校生でも、
ただ今子育て中の新米はりきりママでも、
清楚な服装のセレブママでも、
もちろん、仕事バリバリのイケメン商社マンでも、
品のよい紳士淑女でも、
口の中には、必ず喫煙の証拠が残っています。
服装や、髪型に幾らお金をおかけても、
消臭剤や香水でごまかしても、
お口の中の喫煙の証拠まで
消し去ることは決してできません。
歯の裏についたタバコのヤニと、変色した歯茎、血色の良くない繊維質の歯茎。。。。
証拠はたくさんありすぎます。
お口の中は、粘膜です。
消化管、呼吸器の内側へとつながります。
視診時には内臓を診させてもらっているようなものです。
この血行不良な粘膜、いかに生命体としてダメージを受けていることか。。。。。
やんわりと、タバコの害を説明して、ヤニを落とし、歯茎をマッサージして、歯周治療をおこないます。
残念ですが、歯医者ができるのはその程度までです。
もちろん、喫煙が悪と周知され始めたのは、ここ最近のことですし、
他人に迷惑をかけない範囲で喫煙するなら目くじら立てることではない?
喫煙する人にも選択権の保障は残されておく必要はあろう。
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思い出してください。
あなたがタバコを最初に吸った理由は何だったでしょうか?
その時感じた気持ちは?味は?
おいしかった?まずかった?煙たかった?
それでは、そのタバコが習慣になった経緯は?
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ふつう、人生で最初に吸ったタバコがおいしくてたまらなかったという人は、まずいないでしょう。
理由もたいてい、人生を悩んでいたか、早く大人になりたかったか、周りにすすめられたか、
手持無沙汰だったか、ただなんとなくあったから。。。。などといったところでしょうか。
以前、タバコは国の重要な税収だったため、害は全く語られることなく、
イメージ広告が頻繁に派手に行われ、売れや売れやの扱いでした。
俳優や、外国の広大な風景など、
タバコは、夢とロマンをセットにしてカッコよく広く宣伝されていましたね。
専売性という免許で儲け、販売で儲け、税収で儲け、国の宝として農家の転作にも奨励されていました。
ですから、大衆は、誰もがタバコを手にし、場所を構わずどこでも吸うのが当たり前でしたよね。
世の中に矛盾はつきもので一番害を被るもものは純真でカッコよさにとびつく若者達。
何も知らない。知らされない。イメージに弱く、流されやすい。
そういう時に覚えて、身体の変化があり、習慣化されてしまったのですから
致し方ありません。
タバコの一番困ったところは、その習慣性でしょう。
身体に与える影響は、全くの薬物です。
ニコチン依存症に陥れば、離脱するのは甚だ困難。
苦痛やイライラを伴うので、たいていの人は、離脱を途中で放棄しちゃいますね。
蟻地獄に落ちたアリだとわかったところで、離脱は非常に難しい。
タバコが目の前にあり、いつでも手軽に手に入り、手が届く値段である限り、
一時の禁煙はできても永久的な禁煙は甚だ難しいでしょう。
最初はいい顔をして登場し、依存症になった後で、
悪魔の正体を知らされた現代人はおおいなる被害者ですね。
作って販売宣伝するならば、もれなく害も教えておいてほしかったでしょう。
そうすれば、最初から手にはとらなかったのに。。。。。
後から科学的に証明されたんだと言われても、薬害エイズや原発か?
当たり前のように社会にはいろいろな罠が潜んでいます。
一方で害を告知されていてもすすんで渦中に飛び込む若者がいるのは、
いつの時代も変わらないでしょうか。
同じようなものに、お菓子、アルコール、炭酸飲料・・・・・
色いろありそうです。
楽しみは捨て難い。
わかります。