5月4日 日の出と共に目覚める。
朝食に新居さんを招待する。
新居さんは好き嫌いが激しく決まった食材しか食べない肉食系男子である。
トーストにハムエッグ、サラダはキュウリとキャベツの千切りにマヨネーズ。
手をかけて作っても食べないから馴れてしまえば簡単である。
美都子さんは朝食を食べないので3人で本日の航路を決定。
目指すは愛媛県の伯方島に決定
9:00 上蒲刈出航 本日も晴天也。
沖に出て島を振り返ると島と島を結ぶ白い橋桁の様なものが立っている。
2008年に完成予定の豊島大橋である。
この橋が完成すれば大崎上島迄の4島が結ばれる。
夫が「風もあるしセールを上げるから風向計の針が12時になるように舵を取って」
「アイアイサー!」バタバタと音を立ててセールが上がる。
「何をやってるのぉ!右でしょう!!」
セールが風をはらむまで船長に怒鳴らればなしだ。
しまなみ海道の橋を越えた辺りから+3ノットの連れ潮に乗る。。
13;30 予定通り伯方港に着岸。
小高い丘の上の城跡に郷土資料館が在り、そこに360度見渡せる展望台がある。
我々が停泊している場所を見下ろすとヨットが1艇シズシズと近づいていた。
ヨットは係留場所を求めてゆっくり奥へと進む。
島には不足している食材を調達できるスーパーも在る。
都合の良いことにスーパーの前に寿司屋があったので予約をする。
予約時間まで散策していると先ほど入港したヨットから二人の男性が降りてきた。
美都子さんが「何処からですか?」と声を掛けると
「神戸からですが、もう3ヶ月も航海しているのでそろそろ帰ろうかと思っています。
そうだ!サインをしてもらえますか」
「サイン?」美都子さんを芸能人と間違っているのかなと思っていたら
差し出されたサイン帳にはピッシリと航海中に出会った
全国各地の人々の名前が記されていた。
「50歳の時も早期退職をして日本一周をしたけど還暦過ぎたらもう駄目、体力が無いわぁ」
それを聞いて夫の年齢を頭の中で数え、
世界一周の夢がこれでまた遠のいた気がした。
5月5日
7;45 伯方港出航。
今朝も海面は、朝日に反射しキラキラ光っている。
私は、日焼け止めクリームをたっぷり顔と腕に塗ってゆったりとヨットに身を委ねていた。
夫は、何やら落ち着かない様子。
「どうしたの?」
「ウン、ずっとシャフトからの雑音が気になるんだよね」
速度を上げると小さな音が聞こえると言う。
だが私には何も聞こえない。
「速度を落とせばいいんじゃない」
「原因が判れば安心なんだけど」クルージングを堪能したい私は
「今度ドックに揚げてしっかり整備してから乗ろうよ」
ついイラついた言葉を口走ってしまった。
「光る海」は青春小説だがスペルバウンドと我々夫婦には
「老人と海」の方がぴったりかも。
16:30 廿日市帰港。
船田 和江

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