映画『ミッドウェイ』での気づきと『失敗の本質』と『アメリカの歴史教科書』による考察 | アラフォーSEの働き方改革:ビジネス書の知恵を実践

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映画ミッドウエイを見てきました!

本日は、映画の所感を失敗の本質とアメリカの歴史教科書を

参考に分析してみたいと思います!

 

映画『ミッドウエイ』予告

ご存じのとおり、太平洋戦争(大東亜戦争)の流れを変えた

日本海軍が大敗北した戦いです。

 

感想

映画パールハーバーでは

ABCD包囲網による原油輸入停止など、

日本側の事情に関する描写がほとんどなく、

いきなりハワイを襲った「単純な悪役」で

描かれていたのと違い、

映画ミッドウエイは、日本側の事情も

多少は述べられており、

米国の映画としては好感が持てました。

 

大迫力の戦闘シーン

期待の戦闘シーンは、

さすが『インデペンデンスデイ』の監督だけあって

空中戦が主ですが、大迫力!

スクリーンで見る価値ありです!

 

映画を見て思った

映画を見て素朴に疑問に思ったことが

大きく2つあります。これをちょっと調べてみます。

 

①圧倒的有利に描かれている日本!本当?

米国軍人が以下のようなことを言うシーンがあります。

 

 日本の方が戦闘機は新しく、

 空母の数も多く、

 世界最大の戦艦(大和)を有している。

 日本は無敵だ。

 

映画的に奇跡の逆転勝利を強調するための

セリフだと思いましたが、当時の米国軍人は

本当にそのように考えていたのでしょうか。

 

 

②圧倒的不利なアメリカが勇猛果敢な米軍パイロットの

おかげで奇跡的な勝利を収めた

 

 パイロットの練度、戦闘機の性能、数、

 空母の数、戦艦の数など、

 質・量ともに圧倒的に日本が有利な状況での

 戦いだったが、勇敢な米国パイロットの活躍のおかげで

 奇跡の勝利をおさめた、というストーリーは本当なのか。

 

『失敗の本質』におけるミッドウエイ海戦

前述の疑問を解消すべく、

『失敗の本質 ~日本軍の組織論的研究~』の

ミッドウエイ海戦の章をあらためて読んでみました。

 

 


ミッドウエイ攻略作戦には連合艦隊の決戦兵力のほとんどが動員されていたので、以下の陣容でした。

 

        日本海軍 vs 米国海軍

 航空母艦    4   vs   3

 戦艦       2   vs   0

 重巡洋艦    2   vs   5

 軽巡洋艦    1   vs   3

 駆逐艦     12   vs   17

 

<日本が有利な点>

 ・戦闘機の性能

 ・兵力絶対量

 ・練度

 

<米国が有利な点>

 ・不沈空母ミッドウエイ航空基地

 ・レーダー装備、無線通信能力

 ・暗号解読能力

 

暗号解読は敗因の一つに過ぎない

日本の暗号は、すでに米国海軍によって

解読されており、ミニッツ司令長官は、

日本側の艦長、部隊長と同程度の知識を得ていた

そうです。それじゃあ、米国があまりにも有利では、

と思っていましたが、暗号解読だけでは

そこまで有利にならないみたいです。

暗号解読により、

いつ、どこに日本海軍が現れるかが

分かることにより、様々な作戦を立てやすく

なるのは間違いないですが、

『ニミッツの太平洋海戦史』によると

「日本と比べて余りにも劣勢な米兵力の点から見れば、

米国の指揮官にとって、それは不可避な惨事を

事前に知ったようなものであった。」とあり、

それだけでは質・量共に劣る側が勝てる訳ではなく、

暗号解読が決定打ではないことが分かりました。

 

不沈空母ミッドウエイ航空基地

 vs 日本海軍

ミッドウエイ航空基地から日本海軍に

約90分に渡って断続的な攻撃が行われたが、

来襲機の大半は上空警戒機(ゼロ戦)により、

撃墜され、米運側の損害は

極めて大きく第二次攻撃を断念せざるを得ない

ほどだったそうです。

ミッドウエイ航空基地が米軍の勝因でもありませんでした。

 

米国爆撃機隊の戦果は偶然の産物?

エンタープライズ爆撃機隊は進撃方向が

南にずれてしまい、燃料の余裕もなくなり

索敵をあきらめて帰投しようとしたが、

念のため北へ進路を向けたところ、

偶然にも日本海軍の第一機動部隊を発見

し、さらに引き続いて、

ヨークタウン爆撃機隊がこの攻撃に合流する

ことになり、「加賀」「赤城」「蒼竜」の三空母は、

相次いで急降下爆撃による奇襲を受けるに至った。

「加賀」が9機の攻撃を受け4弾命中、

「赤城」が3機の攻撃を受け2弾命中、

「蒼竜」は12機の攻撃を受け3弾命中し、

いずれも大火災となった。

これでミッドウエイ海戦の勝敗は決まったのでした。

 

しかしながら、米空母攻撃隊の

めざましい成果は、当初に予定された

シナリオ通りとはいえません。

そこには様々な錯誤、偶然が重なっていました。

米軍の3つの空母から発進バラバラに

各機は出発し、偶然が重なって集中的な爆撃機隊の急降下爆撃が同時になされた。これは偶然だったとはいえ、

指揮下の全機全力攻撃を果断に決定した

米軍司令官の意思決定のたまものでした。

 

日本側の意思決定の遅れとは際だった対照をなしていたと

書かれています。

 

まとめ

さて、冒頭の疑問に対する答えです。

 

①圧倒的有利に描かれている日本!本当?

→日本が有利だったのは間違いありません。

 ただし、暗号解読、レーダーなどの通信性能では

 米国海軍に利がありましたが、決定的な差ではなく、

 日本海軍有利には違いありませんでした。

 映画では描かれていませんが、

 米国雷撃隊はゼロ戦の前にほぼ全滅しており、

 米軍航空機も甚大な被害を受けています。

 

②圧倒的不利なアメリカが勇猛果敢な米軍パイロットの

おかげで奇跡的な勝利を収めた

→偶然が重なったとはいえ、少ない戦力を

 惜しみなく出動させた米軍司令官の判断が

 最大の勝因です。

 映画のとおり、そして勇気ある米軍パイロットの

 果敢な突撃が直接の勝因だと思います。

 

最後の分析の節では以下の敗因も述べられています。

 

・戦闘は錯誤の連続。より少なく誤りを犯した方に良い結果が訪れる。

・暗号解読は当時の日本海軍が警戒を怠らず、奇襲にきちんと備えていれば、米国空母をおびき出して殲滅するという山本長官の目的からすると、むしろ望ましい結果をもたらす可能性も十分あった。

それは当時の日本の第一機動部隊が練度、モラル、航空機性能において米国を遼河していたからです。

・ダメージコントロールの不備。空母が被弾した後の火災対応など、

攻撃を受けた後の訓練や対策が日本は不十分だった。

・戦略目標の浸透がイマイチ。山本連合艦隊司令長官と他の司令官との戦略目的の統一がイマイチだったとも。山本司令長官の最重要戦略目的は、米国空母の殲滅でしたが、ミッドウエイ航空基地の制圧が優先すると考えていた将校もいたようです。

 

ミッドウエイ海戦はアメリカの歴史上、

重要な出来事の一つのようで、しっかり

小学生の教科書にも書かれているようです。

『アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書』によると

以下のとおりです。

 

 

「世界で最も大きな海、太平洋は日本とアメリカの間に

位置しています。太平洋には何千もの小さな島が点在

していますが、第一次世界大戦後はその多くが日本に

占領されていました。アメリカが戦争に参加したとき、

日本は太平洋の西半分を支配していました。

それから、日本はもっとアメリカに近づこうとしました。

アメリカが占領していたミッドウエイ群島を攻撃したのです。

1942年6月、日本とアメリカの海軍はミッドウエイ沖で

衝突しました。新しい種類の海戦で、船舶よりも

飛行機による戦闘となりました。航空母艦と呼ばれる

大きな船のデッキから飛行機が飛び立ち、的の船舶を

攻撃するのです。この戦いで日本は最良の空母4隻を失い、

撤退を余儀なくされました。ミッドウエイ海戦は日本の

太平洋での進軍を止めたのです。」

 

余談:宣戦布告が遅れなければ

映画でも書かれているとおり、

米兵パイロットの突撃を可能にした

モチベーションの源は、真珠湾攻撃に対する

日本への怒りです。

真珠湾攻撃は宣戦布告を伴う

正当な日本の軍事行動だったのですが、

宣戦布告が伝わるのが遅れたため、

奇襲扱いになってしまっています。

日本の教科書にも「奇襲」と書かれている

有様です。。。

 

米国国民は反戦派が主流でしたが、

真珠湾攻撃が「奇襲扱い」になってしまったおかげで、

「リメンバー・パールハーバー」を合い言葉に

アメリカ人の愛国心を振るい立たせてしまったのが

悔やまれます。

 

『アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書』にも

以下のような記載があります。

 

「日本の攻撃以降、アメリカ人は大統領のもとに

 結束を固めました。孤立主義的な感情は

 ほぼ一夜にして消え失せてしまいました。

 何百万人もの若者がいっせいに入隊しました。

 「真珠湾を忘れるな」がスローガンとなったのです。」

 

映画の中でも真珠湾攻撃で亡くなった米軍将校の同僚が

復讐を誓うシーンがありました。

 

攻撃前に宣戦布告がきちんとホワイトハウスに

届いていれば、日本も卑怯者のレッテルを貼られることもなかったでしょう。

 

日本の宣戦布告が遅れて伝えられた経緯は

この本にあります。

 

ワシントンの日本大使館の大使館員たちが

同僚の送別会に行って留守だったため、

真珠湾攻撃前に宣戦布告が届かなかったとあります。

飲み会が原因ってマジだと悲しすぎる。。。

 

戦争論 小林よしのり