片栗(かたくり)
Katakuri(Dog tooth violet)《ユリ科カタクリ属:Erythronium japonicum》
早春に10 cm程の花茎を伸ばし、薄紫から桃色の花を先端に一つ
下向きに咲かせます。
蕾をもった個体は芽が地上に出てから10日程で開花します。
花茎の下部に通常2枚の葉があり、幅2.5-6.5 cm程の長楕円形の葉には
暗紫色の模様があります。
日中に花に日が当たると、花被片が開き反り返ります。
日差しがない日は、終日花が閉じたままです。
開花後は3室からなる果実ができ、各室には数個-20程の胚珠ができます。
平均で60%程の胚珠が種子になります
早春に地上部に展開し、その後葉や茎は枯れてしまいます。
地上に姿を現す期間は4-5週間程度で、群落での開花期間は
2週間程と短いです。
このため、ニリンソウなど同様の植物とともに
「スプリング・エフェメラル」(春の妖精)と呼ばれています。
種子にはアリが好む薄黄色のエライオソームという物質が
付いており、アリに拾われることによって生育地を広げています。
かつてはこの鱗茎から抽出したデンプンを片栗粉として調理に
用いていたが、精製量がごくわずかであるため、近年は片栗粉には
ジャガイモやサツマイモから抽出したデンプン粉が用いられています。
若葉を茹でて、山菜として食されることがあったようです。
【二十四節気:春分】
【七十二節気:櫻始開】