猫の消化管好酸球性硬化性繊維増殖症 ボビさん考察 | ふぁんふぁんのしっぽ ~猫の腎臓病・糖尿病 ブログ~

猫の消化管好酸球性硬化性繊維増殖症 ボビさん考察

おつかれちゃんですー


韓ドラ観てボビーのお世話で終わってしまったお盆休み。
1日だけ大阪に出掛けて食べた鰻が見た目ちょっとショボいけど国産で美味しかった。

ヒルトンの四代目菊川に行く予定でしたが、空いてたのでコチラの江戸川さんへ。
ひつまぶしと迷ったけど天ぷらも食べたくて“夏の旬菜セット”に。

鰻を食べると東京の祖母宅に帰った時に必ず食べてたJR大塚駅付近の鰻屋さんを思い出します。
香ばしい関西風も美味しいけど、蒸してふんわりしてる関東風が好きですねー



1週間ほど前、ボビさんの経過報告と今後の対処について相談に行ってきました。
ボビさんは行かず僕だけです。
 

まずは消化管に出来た腫瘤を手術で切除するかどうかなんですが、
結論から言うと手術はしません

手術しないのは18歳という“年齢”が理由ではなく、
切除しなくても大丈夫そうな可能性を見つけたからです。

まず、嘔吐して不調になってから1ヶ月半の経過を簡単に。

[7月4日]
何度もトイレに行きウンチが出ずに嘔吐を繰り返したので、便秘を疑い近所の病院で診察。
特に便秘などはなく、腸の動きが悪くなってるのかも?となり、プロナミドを処方され様子見。



[7月8日]
嘔吐は止まったけど体調が戻らず食欲も無いので主治医の病院で診察。
超音波検査の結果、回盲部という小腸と大腸が繋がる部分に1.5cm程度の腫瘤を発見。

腫瘤は内側(腸管内)ではなく、外側へ出来ていたので閉塞しておらず通過障害はナシ。
嘔吐や便が出ないのは腫瘤によって動きが悪くなっていた可能性が高いです。

腫瘤が何か分からないので治療計画が立てられず投薬も無し。
とりあえずプロナミドだけ飲ませ、CTの提案をされたので一旦帰宅してあれこれ悩む。



[7月22日]
CT検査を行い、転移らしき形跡はない代わりに腫瘤が2.0cm程度に肥大してるのを確認。
同時に針生検を実地し外注検査に出しました。

主治医が見る限り、細菌は確認されましたが悪性ではなさそうな感じとの事。
この時点でもまだ方針が分からないので抗生剤のみ処方。

食事量が激減して体重がみるみるうちに減ってきてる。
かなり弱ってるのでちょっと心配でしたが、まだまだ大丈夫な予感。



[7月28日]
外注検査の結果が出たので僕だけ病院へ。
結果は、『マクロファージと好中球を含む“炎症”と、細菌を確認』という嬉しい結果。

もちろん確定診断では無いですが、一旦は“炎症”もしくは“肉芽腫”を疑うという事で治療開始。
腫瘤が線維化されていなければ小さくなるのでステロイド(プレドニゾロン)を開始しました。

細菌感染もあるので抗生剤(フラジール)と、消化管の動きと嘔吐に対して胃腸薬(プリンペラン)。
お水を全く飲まなくなっっているので皮下輸液(200ml)は継続(毎日)。



[8月5日]
経過の診察としてボビさんと一緒に主治医の病院へ。
超音波の結果は・・・腫瘤の大きさ変わらずなうえ、貧血が進行。



いよいよ手術で切除という選択肢が現実味を帯びてきて、早急な決断が必要な状況に。
もう1つの選択肢として、悪性のものを疑って“分子標的薬”を試してみるか。

調べたい事や考えたい時間が必要なのでその場では決断せず。
もしも手術するなら、麻酔科医の来る8月20日に予約が必要で、貧血の対応として輸血も必要との事。

ただし、前日から食事量が増えてきて、気持ち元気も出てきたっぽい。
やっとステロイドが少し効いてきたかな?と思いたい。



[8月13日]
手術に対する解答と今後の治療方針の相談の為に僕だけ主治医の病院へ。
事前に電話で手術は一旦見送る考えを伝えていましたが、手術しない理由を説明。

年齢が理由では無く、『GESF(消化管好酸球性硬化性繊維増殖症)』の可能性を説明しました。
もちろん主治医もよく知る病気で、腫瘍の学会に参加した時にも話しに出ていたそうです。

ただ、あまり詳しい情報が無く、まとまった報告がされていなかった病気でしたが、
臨床的な症状や治療効果が書かれた論文が発表されていたのを見つけました。

 


5日以降から食欲が少しづつ回復している事や、『GESF』の症状と類似する点が多い事から、
主治医も期待値込みの『GESF』としての治療を開始することで了承してくれました。

下記治療内容です。

・ステロイド(プレドニゾロン5mg)を1日1回、1錠。


・胃腸薬(プリンペラン5mg)を1日2回、1/4~1/2錠。


・抗生剤(フラジール250mg)を1日2回、1/2錠。


・鉄サプリ(プロラクト鉄タブ)を1日1回、1錠。


・菌サプリ(マイトマックススーパー)を1日1回、1カプセル。

・皮下輸液を1日1回、200ml。


本来は内視鏡や開腹での病理組織検査を行って確定診断が必要ですが、
ボビさんは消化管の外側なので内視鏡での検査が出来なかったので確定診断なしの治療計画です。

血液検査で腎臓パネルがやや高めだったので、以前、腎臓病初期と言われていましたが、
貧血も含めてなんとなく原因が別にあると思えたので腎臓系の対処はとくにナシ。

主治医いわく、貧血は“炎症が”原因で骨髄に抑制がかかり造血機能が低下してると思うとのこと。
一般的に炎症が起こると白血球が上昇しますが、骨髄に影響した場合は少し違ってきます。

炎症により骨髄にある造血細胞が破壊されると造血出来なくなります。
その際、赤血球・白血球・血小板のいずれかもしくは2つ以上の値が低下します。

で、現在。

13日に相談した日から5日経過していますが、食事量は理想量の75%程度まで復活。
お水もほんの少しですけど自分から飲んでくれるようになってます。

もうちょっと1回あたりの食事量が増えて回数が減ってほしいですけど、今はこれで良しです。
投薬も最低限にしたいのでこれ以上は増やさないようにしたいですねー



あと、ちょっと予想外だったのが血糖値。
ステロイド飲んでるのに血糖値が全く乱れないので助かってます。

なので今では朝晩の血糖値を測らずにインスリン打ってます。
たまーに測りますけど、だいたい150前後なので優秀です。

呼べばウニャウニャと返事をしますし、夜中は御飯コールまでします。
しかも7月3日夜の連続嘔吐した日から初めて自分でテーブルに登ってリラックスするようになりました。

体重は激減して5kg台まで落ちてしまいましたが、減るのはストップしました。
このまま調子を維持して7kg前後まで増やしたいですねー



ここで『GESF(消化管好酸球性硬化性繊維増殖症)』を簡単に説明します。

①消化管に腫瘤ができる炎症性消化器疾患


②白血球の一種である好酸球が主体になる腫瘤が形成される事が多い。


③腫瘤は小腸や胃、回盲部の内側に形成されて狭窄し、通過障害を起こす症例が多い。


④血液検査で好酸球増加が確認されるのは52%程度なので、約半数は増加が確認されない。


⑤針生検では約37%しか好酸球が確認できず、マクロファージなどの混合炎症が確認されることが多い。


⑥ステロイドによる治療で腫瘤が小さくなるまでやや時間が必要になる。


⑦食欲減少、嘔吐、痩せる、という症状が多く、通過障害による便秘のような症状も。

ボビさんの場合、消化管の外側なので狭窄していないのが不幸中の幸いでした。
通過障害が起こらなかったことが考える時間に繋がりました。

もしも閉塞していれば開腹して切除手術が必須になっていましたからね。
とは言え、『GESF』と確定診断された訳ではないので油断は禁物ですー

今回『GESF』を疑った理由は・・・

①CTで転移らしきものが無かった。

②腫瘤の出来た場所が消化管の回盲部だったこと。

③ステロイド(プレドニゾロン)の反応が鈍かったこと。

④針生検の結果がマクロファージを多く含む“混合炎症”だったこと。

⑤炎症による骨髄の抑制が貧血の原因かもしれないこと。

⑥わずか2週間で1.5cmから2.0cmに肥大した腫瘤がステロイド服用から大きさが変わらなくなった。

(反応は鈍く劇的な変化はないですが、現状維持できているというのは効いてるということ?)

以前にも何度か嘔吐や不調がありましたので、もしかしたらジワジワと進行していたのかも?
そうすると、もしも悪性の腫瘍などなら今まで無治療で普通に生活するのは難しくない?と。

本当に『GESF』かどうかも怪しく、ただの肉芽腫かもしれないですが、
正直、回復してきているので治るならどっちでもいい感じです。

どっちでもいいんですが、要所要所の選択や決断は間違わないよう気を付けてます。
どんな病気でも完璧な対処は無理ですが、間違ったらダメなポイントがあると思います。

重要な分かれ道が合って、的確な診断や推測と適切な処置や決断が必要で、
そこを間違わなければやり直しが出来るっていうポイントです。

そういう大切なポイントで間違ったり見逃したりすると後でいくら正しい対処をしても間に合わず、
逆に正しいハズの対処が間違った事のように思えてしまいます。

8月5日の時点では手術か分子標的薬という2択で、その選択肢は獣医師としては最善で王道の提案でしたが、
あれこれウジウジ考えて3つ目の選択肢を提案して選びました。

今回の判断が正しかったと思えるように、ボビさん頑張ってやぁ~
今月末か来月上旬、腫瘤の経過を超音波で診てきます。

でわでわ。