猫のFIPと貧血の謎 | ふぁんふぁんのしっぽ ~猫の腎臓病・糖尿病 ブログ~

猫のFIPと貧血の謎

おつかれちゃんです。

この記事はボビさん存命中の2024年8月に書きかけで放置していた記事の続きです。

せっかく書いていたので、少し加筆して続きをアップします。

 

生前の頑張ったボビさんが残した資料として残しておこうと。

なので、あれこれブツブツ考えているだけの内容なので、参考にはならないかもしれません。

 

~~ココから~~


前回の記事(2024/8/4)で書いたボビさんの診察結果ですけど、どーも貧血がモヤモヤします。
腎機能系の数値がややオーバーしてますが、貧血になるほどは進行してないんですよねー

なので、とりあえず腎性貧血を否定したところから考えてみます。
腎臓病→貧血=腎性貧血という先入観は捨てんとダメですし、なんでも腎臓のせいにするのもちょっとね。

7月22日に無事CT検査が終了し、針生検でも悪性ではない炎症との報告があり一安心ですが、
個人的に貧血の原因は腎臓ではなく腫瘤に関係してると思ってます。

まず、ボビさんの基礎疾患。

・糖尿病
・脾腫
・吸収病巣

・消化管腫瘤

上記の“吸収病巣”とは口腔内疾患の1つで、自分の細胞で自分の歯を溶かす疾患です。
歯の溶けたところはアゴの骨に吸収されて一体化してしまいます。

先日抜歯したオロゴンにもこの“吸収病巣”が見られたので治療しました。
ボビさんは10年以上前にすでに罹患しており、抜歯済みです。

ちょっと食べにくそうな仕草はありますけど口の中は問題なさそう。
完治はしない病気ですが、今のところ他の歯は大丈夫ですし、現状には関係ないと思います。

なので、関連付けて考えるのは『糖尿病』『脾腫』『消化管腫瘤』について。

その前に、まずは今回の貧血を考えるの上で必要なキーワードです。


《 ヘモグロビン(Hb) 》
赤血球に含まれるタンパク質で、全身の細胞に酸素を送る働きをします。
脱水状態や多血症になるとこの値が上昇し、貧血になると下降します。
(ヘム)とタンパク質(グロビン)が結びついたもので、赤血球の主成分です。

《 葉酸・ビタミンB12 》

どちらも赤血球の生産に必要なビタミンで、相互作用している。

特に葉酸はビタミンB12により利用されるので、バランスが大切。

なのでビタミンB12の低値が継続亢進する場合、個人的には軽く見ない方が良いと思う。
 


似合わねぇーw

【糖尿病と貧血】

糖尿病になると血液中の糖(血糖)の量が増えてしまい、血糖値が上昇します。
実はこの血糖は、ヘモグロビンと結合する性質があります。

猫の赤血球の寿命が大体80日前後なので、その間身体を循環しています。
循環している最中に血糖とHbが結合して糖化ヘモグロビンとなります。


ちなみに、一般的には短期間の平均血糖値を示すフルクトサミンや糖化アルブミンを調べますが、
赤血球の寿命に合わせた長期血糖コントロールマーカーの糖化ヘモグロビン(HbA1c)を併用することも。

高血糖が続くと血糖とHbがより多く結合しますが、それが原因で貧血になるのではない。

なので、やはり赤血球そのものの生産低下や破壊が起こる原因を考えてみます。


糖尿病からの低カリウム・低リン血症やケトアシドーシスにより溶血性貧血が引き起こされたりしますが、

葉酸やビタミンB12の不足から貧血になる事もあり、その場合はMCHも高値になる。

赤血球の生成に欠かせない栄養素がビタミンB12なんですが、ではなぜ不足するのか?

ビタミンB12は外部から取り入れる栄養分なので、摂取量が極端に減ったか吸収が出来ていないかのどちらか?

なぜ葉酸やビタミンB12が不足(低値)するか?を、もう少し真剣に考えた方が良いような気がします。

そこを考えれば根本原因に結び付くんじゃないかなぁ~?って思います。



【脾腫と貧血】

脾臓が腫れて大きくなることを“脾腫”といい、ボビさんは通常の何倍もの大きさになってます。
血流の増加や肥満細胞腫、悪性腫瘍、代謝疾患による蓄積などが原因だったりします。

ボビさんの場合、今のところ原因不明ですが生まれつき説もあり、
経過観察ですでに3年以上経過してるので悪いものではないようです。

原因はともかく、脾臓が大きくなることで蓄積量が増えたり血球破壊が亢進します。
必要以上に赤血球が壊されるので、結果的に貧血になるとか。

 


脾臓本来の血球を壊す機能が亢進してしまう“脾機能亢進”という状態なんでしょうか?
だとしても、“脾機能亢進”は二次的な病態なので、結局は原因を探る必要が出てきます。

【消化管腫瘤】

これが一番厄介ですねー
腫瘤は腸管の内側ではなく外側で、針生検では悪性ではなく“炎症”との事ですが確定診断ではないです。

悪性腫瘍の可能性は無きにしも非ずですが、まずは腫瘍以外で消化管に腫瘤が出来る疾患を探します。
これに貧血が関係してると個人的には思うので、数値の状況から可能性のある疾患を考えます。

こんなことイチ飼い主の素人に考えられるんでしょうかねw

現状では数値的に貧血以外は大きく乱れていないので一般論で片付けられてスルーされてる状況です。

判断が難しいのは、数値は基準値内でも身体は正常とは限らないという事もあるということ。
一般的な血液検査で分かる事って少ないので、進行してから気付くことが多すぎる。

 

それにしても、なんかしっくりこないんですよね・・・


ティッシュケースみたいに毛が出てるw

~~ココまで~~

 

この記事、2024年の8月9日で下書き保存していました。
8月4日に消化管腫瘤がCTで確認された記事を書いているので、自分なりにあれこれ考えてたんでしょう。

この時点で僕は癌(腫瘍)以外の可能性を考え、主治医は癌(腫瘍)の方向で考えてました。

この考えの違いをこの時点でもっと追及していれば良かったと大きく後悔しています。

 

一応は違う方向を考えて「GESF(消化管好酸球性硬化性線維増殖症)」を提案してみましたが、

ちょっと難しく考えすぎてしまっていた感じです。

 




改めて当時の記事を読み返してみると、FIPを疑う事は可能だったように思えます。

ボビさんに限らず、思い込みから見当違いの治療をしてることって多いかもしれませんね。

FIPと貧血の関係やビタミンB12の関わり、A/G比や蛋白分画検査等で可能性を探る事が出来る状況でした。

まぁ、こんな感じであれこれ考えてましたが、結局よく分からず残念な結果になりました。

こういうのって、後から気付くから悔しいですねー

『失敗しない猫のお世話本』みたいな本、誰か書いてくれないですかねー
 

ではでは。