質問と回答
おつかれちゃん。
今日は引き籠ってブログ書きながらU-NEXTでドラマ観てます。
小難しいというか、字が多いので面白くないからここで閉じちゃって下さいね~
前回の診察で主治医にUSBメモリーにリンク先を入れてまで渡した嫌がらせのような質問ですが、
今回の診察でその回答がありましたので、まずはどんな質問をしたか、①、②、③まで全部載せます。
①【クレアチニンの急上昇について】
・3月20日診察、高血圧の為に「テルミサルタン」1/4錠を1日1回服用開始。
・4月20日頃、投薬せずに130台なので5月08日まで投薬ストップ。
・5月08日診察、T4の高値とクレアチニンが急上昇。
クレアチニンの急上昇はテルミサルタンが原因では?
いわゆる『薬剤性腎障害』の可能性は?
参考資料①
https://cdn.jsn.or.jp/academicinfo/report/CKD-guideline2016.pdf
(16枚目の表1『発症機序による薬剤性腎障害....』の病態11段目。)
さらに...3月20日のCre値は「1.51」、5月08日のCre値は「2.69」。
およそ1ヶ月半で“78%”の増加です。
単純に2~3週間で“30%”以上の増加なので、RA系阻害剤の副作用が考えられる?
ARBの服用によって全身性高血圧を抑制したが、腎臓の血圧が下がり過ぎて腎虚血に。
結果、腎血流の低下と急性尿細管障害により腎機能低下からクレアチニン値が上昇。
ARBやACEなどの「RA系阻害剤」は腎臓の輸出細動脈を拡張して糸球体内圧を下げ、
糸球体過剰濾過を抑制して蛋白尿を抑え、腎機能悪化を抑えますよね?
ただし、副作用に「腎機能低下」と「高カリウム血症」があり、
服用後に血清クレアチニンが30%以上上昇した時は、中止又は減薬の必要あり。
参考資料②
https://www.twmu.ac.jp/NEP/kouaturyouhou.html
(『〇主な降圧薬と注意点』の欄です。)
参考資料③
https://jsn.or.jp/jsn_new/news/CKD-kouketsuatsu.pdf
(12ページ、『IV. RA系抑制薬投与時の注意点』の欄です。)
今回、「両側腎動脈狭窄」が起こっていたかどうかは分かりませんが、
少なくとも「テルミサルタン」の副作用もしくは“効きすぎ”により、
腎臓がダメージを受けてクレアチニンが上昇したと考えてもいいと思うのですが...
以上、1つ目の質問です。
続いて2つ目の質問です。
②【薬剤について】
仮に今回のクレアチニン上昇が『薬剤性腎障害』だったとして、
今後血圧が上昇した時はARBやACEではなく、Ca拮抗薬が第一選択になると思いますが、
「アムロジピン」ではなく「ベニジピン」の服用はいかがでしょうか?
参考資料④
https://next-pharmacist.net/archives/3727#i-8
(獣医療ではアムロジピン一択とう現状は理解しています。)
「アムロジピン」はCa拮抗薬の中でも「L型」のみに作用なので、
輸入細動脈を拡張させますが、輸出細動脈は拡張しません。
「ベニジピン」は「L,T,N型」に作用するので、
輸入細動脈と輸出細動脈の両方を拡張させます。
「ベニジピン」も「アムロジピン」と同様に、代謝酵素の“CYP3A4”で代謝されるので、
理論上は使用しても問題ないと思いますが...
参考資料⑤
https://www.nc-medical.com/product/doc/benidipine_t2_if.pdf
(10ページに記載。ベニジピンのインタビューフォームです。)
もしくは、他の降圧作用のある薬として、「SGLT2阻害薬」はどうですか?
昨年の12月にに米国で承認された「ベクサキャット(ベクサフロジン)」という、
猫用の糖尿病治療薬としての「SGLT2阻害薬」があるようです。
「SGLT2阻害薬」自体は獣医療で使われている(試験的に?)ようですし、
人では糖尿病と腎臓病で使われている「フォシーガ」が一般的かと思います。
しかも「フォシーガ」は人医療領域で慢性腎臓病治療薬として2年前に承認されています。
参考資料⑥
http://www.shimizu-clinic.biz/blog_detail/index/entry/274
(人医療の医師が猫の糖尿病薬について書いています。)
https://www.ono-pharma.com/ja/news/20210826.html
(慢性腎臓病の治療薬として承認を取得)
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201802258939343148
(J-GLOBAL 猫における「SGLT2阻害薬」の治験報告)
https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20210810-011
(ベーリンガーインゲルハイム 猫でSGLT2阻害剤の臨床試験)
「SGLT2阻害薬」はそれほど降圧作用が高くないようなので、
収縮期血圧が150台~160前後の場合に使えないかな~?なんて思ってます。
「ベクサキャット」は入手困難でしょうが、「フォシーガ」なら...
どちらかと言えば、“糖尿病対策+ちょっと降圧作用”で使えないでしょうか?
参考資料⑦
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210812001/670227000_22600AMX00528_H100_1.pdf#:
(フォシーガの薬理試験概要文です。)
膀胱炎に注意しながら服用というのが難点ですが、
獣医療で糖尿病も腎臓病も選択肢が無さ過ぎるのをなんとかしたいです。
以上、2つ目の質問です。
最後に、以下3つ目の質問です。
③【薬物代謝について】
獣医療で使われていない薬剤が多いですが、薬物の代謝酵素以外に注意点はありますか?
下記リンク先に、猫では代謝出来ない酵素などについて書いています。
猫ではシトクロムP450のCYP2C活性が著しく低いと書かれているので、そこに注意すれば大丈夫?
参考資料⑧
https://repository.lib.gifu-u.ac.jp/bitstream/20.500.12099/23193/1/vk_0248.pdf
(岐阜大学博士論文の要旨?)
あと、グルクロン酸抱合酵素のうちUGT1A6が遺伝的に欠損してるようです。
参考資料⑨
https://so-amc.com/column_detail/entry/392
(南大阪動物医療センターのコラム)
https://tabaru-ac.com/case/perm/97.htm
(動物病院TACのトピック)
薬物代謝経路の一覧です。
参考資料⑩
https://www.genome.jp/kegg/drug/jp08309.html?id=D09537
https://www.genome.jp/kegg/drug/drug_ja.html
(KEGG DRUG データベースです。)
オロゴンの場合、薬が効きすぎているならそれは代謝機能が低いという事ですよね?
なのでより一層注意しないとダメなのは分かるのですが、
上記の代謝酵素以外に気を付ける(知っておくべき)ポイントがあれば教えて下さい。
以上、3つ目の質問です。
こんな感じで答えるに答えられないような質問をしました。
鼻にゴミついてるw
結論から言うと、「難しすぎて分からない」との事。
多分、理論的に「分からない」というより、「現在の獣医学的に説明できない」という事でしょう。
他の獣医師の先生にも聞いてみてくれたそうですが、回答は得られずちょっと残念。
こういう質問は正解が欲しいのではなく、突っ込んだ意見が聞きたいだけなんですけどね~
ちなみに、グルクロン酸抱合酵素を簡単に言うと・・・
脂溶性の高い薬物を体外に排出(尿)されやすいように反応させる為の酵素の事です。
①のクレアチニンについては「そう言われてます。」と、同じ意見でしたが、
②と③については、なんか知らんまに話しが終わってたw
闇雲な実験じゃなく、できる限り理路整然と考えればもう少し前に進めそうな気がします。
もっと深く考えて、もっと広く調べれば選択肢が広がる事って多いと思います。
実際、動物医薬品として承認せず、いつの間にか使ってる人薬って多いのに・・・
それって実際の現場で治験してるようなもんですからね。
まぁ、ええわ。
ゴチャゴチャ言ってもこれ以上は進まへんですからね。
②の「SGLT2阻害薬」に関しては、そのうち色々と情報が出てきそうなので、
定期的に調べて何か分かればまた記事にしますね~
それではみなさま、ごきげんよう~
でわでわ。