ここ数年、特別支援学級や発達障害の相談が急増中!その理由は?支援学級が増えているからじゃないの? | 元中学校教師が教える学校のウラ話

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公立の中学校で25年間、勤務していた私が「クラス替えの仕方」「修学旅行」「部活」「未納」「モンスターペアレント」「学級崩壊」「いじめ」「不登校」「人事異動」など、今まで話すことができなかった、学校のウラ話をお伝えしていきます。

手のかかる子に手一杯で他の子が・・・



1.特別支援学級や発達障害についての相談が増加
2.中学卒業後を見据えた相談
3.特別支援学級の対応について相談が寄せられる!
4.突然、出来なくなった?急に泣き出した?
5.先生は手のかかる子の対応で精一杯
6.特別支援教育への偏見が無くなってきている
7.個別の教育支援計画や指導計画は大切!
8.初めて特別支援学級担任に!先輩に相談出来てる?
9.手のかかる子もかからない子も公平に!
10.相談しやすい雰囲気をつくって!
11.平等で無くても公平な支援を


※    今回の記事は私が多くいただいている相談についてを書いています。
※    全ての特別支援学級の先生が、このような先生と言っているわけではありません。
※    ただ、記事のような先生がいることも知っていただきたいと思います。


1.特別支援学級や発達障害についての相談が増加

ここ数年、発達障害や特別支援学級の相談が増えています。

※特別支援「学級」であり、特別支援「学校」の相談ではありません。

文部科学省も特別支援学級に在籍する児童・生徒の人数が増加していることをハッキリ示しています。

「人数が増加したから相談が増えているんじゃないの?」

このように思う方もいらっしゃるでしょう。

ただ、私はいただいた相談内容から、少し違う印象を持っています。

特別支援学級に在籍する児童・生徒が増えたから、相談が増えているわけではないのです。


2.中学卒業後を見据えた相談

発達障害や特別支援学級についての相談は、大きく分けて2つに分けることができます。

①    中学卒業後の進路をどうすればいいか?
②    特別支援学級の対応について。

①の「中学卒業後の進路」に関しては、中学入学前10~12月や中学2年生の10月~12月に多くいただく相談です。

都道府県によっては、特別支援学級からは特別支援学校にしか進学できない地域もあります。

そのため、中学卒業後の進路を考えている親御さんからの相談が寄せられるのです。

「中学校1年生から通常級に入れたほうがいいのでしょうか?」
「全日制高校に進学するために中3から、通常級に入れようと思うのですが?」
「どのような支援が必要でしょうか?」など


3.特別支援学級の対応について相談が寄せられる!

②の「特別支援学級の対応について」の相談が増えるのは、2学期や3学期の三者面談後が多いようです。

三者面談で先生から聞く話と、子どもが家でする話が違っていいることがキッカケで、親御さんは、学校の対応や支援に疑問をもつのです。

ただ、どのような対応が正しいのか、どのような支援をすれば良いかが分からないため、相談を下さるようです。

実は①と②には下記の共通点があるように感じています。

「お子さんが大人しいタイプや我慢をするタイプ。」
「困りごとや悩み事を先生に話せない。」
「同じクラスに、手のかかる子どもがいる。」


4.突然、出来なくなった?急に泣き出した?

「先生から○○が出来ないと言われました。」
「クラスで、突然、泣き出したと言われました。」
「いつもは、静かに課題をしているのですが・・・。」
「出来るはずの問題が出来ていません。」など

相談を下さった親御さんたちが三者面談で言われた言葉です。

しかし、少し前まで出来ていた課題や問題が、突然、出来なくなるわけがありません。

突然、泣き出したのにも理由があるでしょう。

静かに課題に取り組んでいた子が、急に取り組まなくなることもありません。

教師から見て「突然」や「急に」でも、子どもにとっては「必然」や「少しずつ」のはずです。


5.先生は手のかかる子の対応で精一杯

「同じクラスに手のかかる子がいるんです。」
「授業中に教室から出たり、やりたくないと暴れたり・・・。」
「逆にうちの子は、手のかからない真面目な子と言われていました。」

これも、相談をいただいたお母さん方から多く聞く話です。

これらの全ての内容を合わせていくと、相談を下さったお母さん方の子どもは下記のような状態であったと想像ができます。

「先生に相談したいけど・・・。」
「先生はAさん(手のかかる子)のことで忙しそう。」
「相談はできないな~。」

「この問題はどうやればいいんだろ?」
「でも、先生はAさんのところか~。」
「質問できないな~。」

「Aさんがうるさくて集中できない・・・。」
「でも、我慢をしなきゃ・・・。」
「もうダメだ~。我慢できない・・・。(涙)」


6.特別支援教育への偏見が無くなってきている

発達障害と言う言葉が広がり、特別支援学級に対しての差別や偏見が無くなってきていることは良いことです。

私が教員になった20年前は、子どものためを思い特別支援学級(当時は特殊学級)を進めた先生が親御さんから罵声を浴びている場面を何度もみたことがあります。

「うちの子は××いというのか!」
「馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
「あんな××いと同じクラスにできるか!」
「ふざけるな!」

まだまだ、年配の方には差別や偏見を持っているかたもいらっしゃいます。

ただ、親御さんたちが、お子さんの成長のために「特別支援学級」を1つの選択肢と思ってくださるようになったのはとても良い事だと思います。


7.個別の教育支援計画や指導計画は大切!

私は「特別支援学校の教員免許」と「公認心理師の資格」を持っています。

また、「特別支援教育コーディネーター」という役職を何回も勤めさせていただきました。

残念ながら、特別支援学校や特別支援学級の担任をすることはありませんでしたが。

私は子どもたちの成長のため「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を作成することは大切だと思っています。

なぜなら、「個別の教育支援計画」により、支援者(先生など)は長期的な視野を得ることができ、「個別の指導計画」により、支援者(先生など)は具体的な支援や対応について知ることができるからです。


8.初めて特別支援学級担任に!先輩に相談出来てる?

特別支援学級や特別支援学校の教員は、必ずしも「特別支援学校の教員免許」を持っている必要はありません。

教育委員会から臨時免許を発行してもらえるので「特別支援学校の免許」がなくても、担任をすることができるのです。

また、最近は新規採用教員は10年以内に、特別支援学級や特別支援学校を経験することを義務(推奨)している都道府県もあります。

そのため、知識や経験がなく特別支援学級の担任となる先生が増えています。

誰しもが「初めて」を経験するものです。

当然、初めての先生は、分からないことがあれば先輩に聞いて欲しいですし、先輩も自分の技術を後輩に教えて欲しいと思います。

ただ、仕事が多忙の先生方の中には、質問する時間も無い先生や答える余裕が無い先生もいます。

相談を下さったお母さんの子どもたちと同じような状態が学校の中にもあるのです。


9.手のかかる子もかからない子も公平に!

特別支援学級であろうと、通常級であろうと、手のかかる子はいるものです。

当然ですが、担任の先生たちは、その子の対応で手一杯になることもあるでしょう。

でも、クラスには他の子もいるんです。

イヤな事があったり、ツラいことがあっても我慢している子もいるんです。

私も教員時代に手のかかる子を、たくさん担任してきました。

深夜に警察から呼び出しをうけ、迎えに行ったことが何回あるか。

(そんなに昔の話ではないですよ。)

もちろん、手をかけた子なので、思い出もたくさんあります。

だからと言って、手のかからない子の支援をおろそかにしたことはありません。

平等ではなくても、公平に接するように意識をしてきました。


10.相談しやすい雰囲気をつくって!

私はクラスでこのように言っていました。

「みんなもイヤな事たくさんあるよね!」
「それでも、ちゃんと学校にきて、普通に授業を受けているんだよね!」
「それって本当にエラいことなんだよ!」
「そんなみんなが大好きだよ!」

「何か困ったことや気になることがあったら声をかけてね!」
「先生が気になったときも声をかけるからね!」
「忙しそうにしていても気にしないで!」
「いつでも相談にのるからね!」

こうは言っても、相談を躊躇する子もいます。

私は大人しくて、真面目で、我慢をしやすい子には、コチラから積極的に声をかけるようにしていました。


11.平等で無くても公平な支援を

特別支援学級には、本当に手のかかる子がいるのは分かっています。

それでも、先生方には「公平」な支援をしていただきたいと思います。

手のかかる子に9の支援をして、大人しい子に1の支援でもいいと思います。

その1が、その子にとって必要な支援だからです。

必ずしも同じ量の支援をする必要はないでしょう。

ただ、このように思って、支援をしないことだけはないようにしていただきたいと思います。

「あの子は手がかからない。」
「放っておいても自分でやる。」
「課題を渡せばOK!」

違うんです!

子どもはそう見えるようにガンバっているんです!

我慢をしているんです!

 


このブログは、筆者の経験を元に作成しています。ただし、個人情報や学校が特定ができないように事例を少し変えて作成しております。掲載している情報により生じたいかなる損害に関しても、筆者が責任を負うことはできません。