ある山奥に小さな村がありました。

 

その村は不思議なところで、みんな白い装束を身に着けていました。

彼らは「祈り」をとても大切にしていました。

 

朝起きて「祈り」

滝(といってもそんなに大きくない)のある泉で身を清めながら「祈り」

水汲みしながら、掃除しながら、仕事しながら・・常に彼らの一日の中には

「祈り」がありました。

 

その村。。というか部族というのでしょうか・・

その部族は唯一無二の存在でした。

 

というのも、彼らは「祈り」により神託を受け取ることができたのです。

星を読むもの、未来予知をするもの、様々でしたが、その中でもひときわ

その能力の強いものが長(おさ)としてみんなを取りまとめていました。

 

神託を受け取ることができる部族の中で、一人困惑している少女がいました。

その少女はもうすぐ15歳になるのに、まだ一度も神託を受け取ることが

できずにいました。

 

他の少女たちは、早いものなら3歳から・・遅くても10歳にはみな神託を

受け取ることができているのに、この少女だけは全くできませんでした。

 

少女の名前はアミラといいました。

 

彼女は間違いなくこの部族、この村で生まれ育ちました。

 

朝起きて「祈り」

滝のある泉に入って「祈り」ました。

他の少女たちはそこで「神託」を受け取り、その情報を長のいる祭壇にある

壺の中に収めました。

不思議なのですが、その壺の中をアミラはまだ見ることはできていませんが

他の少女たちから聞くところによると、トロンとした液体が入っており

その液体に向かって、受け取った神託の言葉をつぶやくと、

その液体が情報を記憶するのだそうです。

アミラはもうすぐ16歳になります。

 

何をやっても、どうやっても何も見えず聞こえずで

ここ数年は出来損ないのレッテルを貼られ、居心地の悪い日々を送っていました。

 

 

そんなある日。

 

アミラは生まれて初めて竜をみました。

 

 

大きな竜が5体、大空を飛んでいました。

それぞれの竜には人が騎乗していて、アミラ達を見下ろしています。

 

アミラも口をぽか~んと開けて空を覆うように飛んでいる竜と騎乗した人々を

見つめていました。

 

竜はゆっくりと旋回したのち、村から少し離れたところに降り立ちました。

 

 

次回に続きます