グッドバッドウィアード(ネタばれあり) | fuminの映画な日々

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三度のメシより映画が好き。寝る時間を削って映画館でうとうとしてしまうことも…

とうとう大阪での上映が10月9日でラストになってしまったので、最後にキープしていた前売り券を使って、なんばTOHOシネマズに行ってきました。ラブラブ

fuminの映画な日々-ノムポスター


韓国で韓国版を2回、カンヌ版を1回、そして日本で日本版5回で、計8回。もしかしてあと1回くらいは観るかしれませんが…。
この映画はやはり大スクリーンで観る映画だと思うので…。それに、なんど観ても楽しめるところが、さすがキム・ジウンです音譜

一段落ついたので、ここらで映画の感想を書いておこうと思います。
この映画、ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ウソンのトリプル主演!というのが宣伝の目玉ではありますが、それだけで「韓流スターの映画」と思われてしまうのはあまりにもったいない!!

いつも新たなジャンルに切り込む韓国の鬼才、キム・ジウン監督がマカロニウエスタンの名作『続・夕陽のガンマン』(The Good, the Bad and the Ugly、1966年)にインスパイアされた独自の韓国版西部劇ということで「キムチウェスタン」とも評されていますが、誰かが評しておられたように、ごちゃまぜの「ビビンバウエスタン」というキャッチの方がぴったりビックリマーク
往年の西部劇の「大陸横断鉄道をネイティブアメリカンの集団が襲撃、そこに騎兵隊が駆けつける」なんてシーンを彷彿とさせる列車襲撃シーン、なんと舞台は戦前の満州鉄道!襲撃するのは満州を跋扈する馬賊!ということで、韓流アジュンマよりも、往年の西部劇ファンや戦争もの好きのアジョシ達に喜んでいただけるんじゃないかと思います。
国際色ゆたかな闇市での活劇も、砂漠での逃走劇も、CGなしスタントマンなしの俳優自身によるほぼ100%のリアルアクションで迫力満点!

この映画の後にビョンホンが出ている「GIジョー」を観てCGの凄さに圧倒されたけど、やはりリアルアクションの迫力には勝てないな~と実感。

私が昨年わざわざソウルまで行って観たのは、もちろん待ちに待ったビョンホンの新作映画だからですが、観終わった直後の感想は「ウソン、めっちゃ格好いい~~ラブラブというのと、「これは主演はガンホやね~」というもの。
fuminの映画な日々-チャンイじゃぁビョンホンは付け足しか?というわけではなくて、このガンホ、ウソンとがっぷり四つ(六つ?)に受けて立てる役者はそうそういないので、これはもうキム・ジウンがビョンホンに盤石の信頼をよせているということなんだな~、と思いました。ビョンホンにとっては初の悪役(日本公開では「I come…」や「GIジョー」の悪役が先になっちゃったけど)これもビョンホンがキム・ジウンを信頼しての挑戦。この二人、ほんとに相思相愛なんです^^(いえ、変な意味じゃなくて…)

fuminの映画な日々-ウソン馬上とにかく、ウソンをいかに格好いいガンマンに見せるか、ジウン監督はよ~く心得ています。この馬上でライフル回すシーン、そしてロープにつかまってひらりと飛びながらの銃撃シーン、ウソンファンでなくともうっとりラブラブ

痛快な活劇で笑うシーンも満載。韓国ではみんな映画館で声上げて爆笑するので、字幕なくていまいち笑えず悔しい思いをしたこともありました…。特に、砂漠でテグ(ガンホ)とドンウォン(ウソン)がたき火にあたりながら寝転んで会話するシーン。あそこで「指切り魔」というキーワードが出てくるんだけど、字幕なしではわからなくて…。それにしても、焚き火に照らされて寝転んで上から撮ると誰でもたいてい変な顔になるんだけど、典型的なアジアの扁平な顔立ちのガンホなんてほんとに変な顔でテグらしい味が出てたけど…、ウソンはあのアングルでさえ格好いいのが凄い!ほんとうの男前ってこうなんだな~と妙に感心しました。
ビョンホンなんて、最後に倒れたところを上から撮ったらやっぱり変でしたもんね(常々、このアングルだとダウンタウンの浜チャンに似てると思っているのですが…)

音楽は軽快なラテン系のノリ。音楽がスタートするタイミングがまた小気味いい。砂漠の銃撃戦で軽快に流れる「Don't Let Me be Misunderstood 」を聞いて、すっごく聞いたことあるのにどうしてもタイトルが思い出せず、日本に帰国してからネット検索してやっとわかった「尾藤イサオの悲しき願い」!これわかる人って、50代以上かしら??若い人はサンタエスメラルダの曲で知っているかも「キルビル」にも使われていたし…。
日本版のラストにかかるオレンジレンジの曲、あれは興ざめでしたね~

さて、日本に帰って検索したのはそれだけではありません。
関東軍の「石原大佐」ってどこかで聞いたことがあったような…ということで調べたら、有名な石原莞爾でした。
満州事変の首謀者であり、満州国で「王道楽土」「五族協和」を夢見た昭和の軍人です。
詳しくはこちら
満州の関東軍というと、悪者のイメージがありますが、なかなかユニークな人物だったようです。 

そして、ここからはネタばれになりますが、「満州の油田」についても調べてみたら、なんと現在の中国北部の大慶油田。
「満州時代にこの油田を発見できていたら、歴史は変わったかも…」「もし発見できても、常温で固まってしまう特殊なオイルのため当時の日本の技術では大規模な開発は難しかったのでは?」という話も。
「実はアメリカは油田の存在を察知していたが、ソ連を警戒して秘密にしていた」とか、いろんな説が飛び交ってなかなか面白いです。
満州の油田をめぐる歴史SF「北満州油田占領」(作:谷甲州)という小説もでていて、私思わずアマゾンで買って読んじゃいました本音譜
キム・ジウン監督もいろいろ調べられたんでしょうね。

久々にのめり込んで観た映画でした。何回観ても楽しめます。
冒頭にちょこっとキム・ジウン自身が登場しているのも、ご愛嬌。監督は「甘い人生」でも手だけ登場してますが、今回は肩だけ?

私はどちらかというと韓国版が好きです。日本版では独立軍のオム・ジウォンの出番もなく、ウソンがなんで「良い奴」なのか不明だし、オ・ダルスやイ・チョンアも出番も少ない。なんで最後にウソンやガンホが生き残ったのかも不明。砂漠の逃走劇のラストは日本版好きですけど。

本編終了後に撮影中に交通事故で亡くなったアクション監督のチ・ジュンヒョンと、撮影を終了して帰国後に交通事故で亡くなったイラン人俳優Bana Tehrani Ali Asgharの2人をを追悼する字幕が出ます。

ラストでは「Oriental Western by Kim Ji Woon」と出るんですが、銃撃で3つ穴があいて、もいちど「Western by Kim Ji Woon」と、オリエンタルの文字がなくなっているのは、どういう意図でしょうか?「いちいち「東洋の」なんてつけなくてもこれが西部劇だ!」という自負?
この監督、いつもラストに凝っています。韓国ではエンドロールになると館内は明るくなってみんな出て行くのが普通なので、最後の最後なんてちゃんと観てるのは日本人くらいだと思うけど…。やっぱり変わり者です。 

これから地方での上映が始まりますので、まだの方は是非!