本当にあった愉快な話 | 新産業ブログ

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"MAN_FROM_1999" 越後文晴です。アメンバー登録、コメント、リンクはお気軽にドーゾ。Yahoo!ブログから引っ越しました。

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月刊漫画雑誌「本当にあった愉快な話」(竹書房)、略称『本愉』。読者から送られてきた投稿を漫画家たちが4コマ漫画にする月刊誌。
 
私が当時住んでいた千葉市の団地近くのミニストップでこれを発見したのはおよそ20年前、多分創刊直後で当時は別の雑誌の増刊扱いだった。現在も主筆的作家である、田島みるくがある日ラジオ番組の投稿コーナーを聞いて「これを漫画でやってみよう」と思い立ったのがきっかけらしい。
 
「エロ本じゃないか!」よくそう言われる。当たっている partly. 読者は主婦などの女性が多いと思われるので、男性誌のようなエロではないが SEXの話もある。ただしメタで抑制的なエロだ。セーフティーセックスやセクシャルマイノリティーへの理解など啓蒙的な面もある。以前、男性誌のナンパ漫画で有名な、成田アキラの作品が掲載されたことがあったが、読者から苦情が殺到したのか一月でクビになった。
 
ま、それ以外の話もある意味ポルノ的ではある。どうしようもない恥ずかしい性癖に浸るひと時。例えば仕事が終わって通勤電車の中で一杯ひっかけながら夕刊紙を読むとか、最近だと自宅で『ニッポン凄い!』的なテレビ番組を鼻息荒くして見るとか、色々な人がいるが私は月に1度(たまに増刊も)コンビニでこの雑誌とチーズケーキや和菓子なんかのスイーツを買ってきて貪る習慣を止められない。
 
コンビニの雑誌コーナーに行くと、よく似た名前の雑誌がいくつかある。2000年頃にこれら後発の雑誌が創刊され、投稿4コマ漫画競争が始まり、投稿への賞金がどんどん上がる一方、掲載作品のレベルは下がった。漫画の質は変わらないのだろうが読者層をどんどん「下」に広げていったように見える。この『愉快な話』も一時期『ゆかいな話』と改題していた。ひょっとして「うちの読者に『愉快』という漢字は難しい」と思ったのだろうか? 
 
私はその後数年この雑誌を買わなくなったが、雑誌名が『愉快』にもどってまた読み始めた。現在は各誌ごとに住み分けができたのだろう。
 
つーか下品なことに違いはないんだけど、ダハッ。『国道20号線』、北関東的。(失礼。今や汎地方都市的とも言えるね) タイトルは『愉快な話』だが、実際は不幸な痛い話ばかりだ。ご近所トラブル、家族間トラブル、DV、事故、犯罪、病気、医療ミス、商品トラブル、賃貸など住宅のトラブル、困窮、金銭トラブル、やくざ、心霊・オカルト、芸能人の裏の顔e.t.c... 
 
それら全国から送られてくる下世話な話をプロの漫画家たちが4コマ漫画に創り上げる。そしてその物語を日本中で共有する。それは酒飲みながらお互いの不幸話を披露し合うようなものだろうか? でもそのブルースを夜の酒場でしみじみやるのでなく、プロが漫画にし、全国規模で出版するという大ボリュームで行うことにより新しい意味が生じる。スタートのヒントこそラジオ番組だが、他にこのようなコンテンツはあるだろうか? 一時期テレビで所ジョージかなんかの司会でこういうのやってたが、今も続いているものはないと思う。どうですか?
 
読者の投稿以外に、漫画家たちの私生活が題材の漫画も掲載される。昔ジャンプなどで活躍した有名どころだ。あれだけ成功しているのだから庶民とはかけ離れた生活をしているはずだが、読者が投稿してくる話と並べても嫌味なコントラストは生じない。
 
その秘訣は「卑屈気味に書く」ことらしい(笑) 以前この誌上でそう言っていた作家がいた。ま、基本不幸ですからね日本人は。本当に幸せな人、自由な人の話は商品になりずらい。この雑誌でも幸せな人の話は裏表紙の開運グッズ通販や出会いサイトの広告で読めますけど。
 
でも読者の送る不幸話に小さな幸せ、小さな自由を見つけ、物語化し、4コマ漫画に創り上げる技量がこの雑誌の作家たちは最高なのだ。これが同類他誌や書店の女性漫画コーナーにある平綴じの分厚い実話マンガと違うところだと思う。

 
私はこの雑誌のジャーナリズム的な面も気に入っている。洋の東西を問わず、新聞とかジャーナリズムの始まりは、多分こんな感じのいかがわしいものだったのだろう。本愉がこれから 朝日新聞や The New York Timesのようになるとは思わないし、そうなってほしいとも思わないが。
 
その『情報源』は読者の投稿とされているし、所詮娯楽目的のマンガだ。その真否を見極めるのは難し。しかし間違った報道をしたら腹を切らなければならなかったり、いろーんなしがらみを持つ報道機関(本流)の硬直した現状を見ると、自由な言論はこういうところにしか残ってないのかもと感じてしまう。もちろん漫画雑誌だからと言って漫画家や出版社に責任が生じないわけではない。誌面では人名、商品名、会社名に ○だの、●だのといった、うざったい伏字が施されている。窮屈で陰湿なこの世界に嫌気がさす。
 
私のお気に入りは 東條さち子の作品です。自身がアパート経営をしていて、それに関する著書もある漫画家。この 本愉でもアパート経営で生じたエピソードを書いたりしています。また、夫がタクシー運転手だそうで、それで警察に関する話もとても興味深い。現在の連載は「食べたら危ない食品の世界へようこそ」。他に女性刑務所経験者の投稿マンガも担当している。
 
そんなわけで 本愉の社会派ネタから、私のブログに関連するテーマのものを見つけましたので無断転載させていただきます。今回は東條氏の作品ではないですが。
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竹書房 本当にあった愉快な話 vol.240 2017年6月号
田島みるく「本当にあった愉快な話」より「もらい事故で実刑」
 
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竹書房 増刊 本当にあった愉快な話 2017年8月号『危険な場所に逝ってQ』
おかだちえ 「葬儀屋の墓場まで持って行きたい話」より「サラリーマン大家さん」
 
マンガ描けるってすごいよな羨ましい。もしも~マンガが~かけ~たなら~