流産・死産、そのとき言葉と感情の橋渡しをするアート | 流産の悲しみを アートで解きほぐす

流産の悲しみを アートで解きほぐす

流産経験のある公認心理師、アートワーク・セラピストの名田文子です。
流産の経験は、理解してもらいにくいものです。
今も心の傷が痛むのに、誰にも話せない。
そんなあなたに寄り添いたいと思います。

 

戻りつつある日常。

その一方で

もう二度と元通りにはならないだろうと思える、生活の変化。

 

 

緊急事態宣言が解除になっても

まだまだ安心はできない毎日ですが

いかがお過ごしでしょうか。

 

◆     ◆      ◆      ◆      ◆

 

さて、

流産・死産・新生児死・不妊などの問題を扱った

アートセラピーの本

「Grief Unseen」 を、ご紹介していこうと思います。

 

 

「Grief Unseen」

日本語訳すると、

「目に見えない悲しみ」 ということになるのでしょうか。

 

 

著者Laura Seftel は、

自分自身の流産の経験がきっかけとなり、

その後、アートセラピーという手法で、

「妊娠ロス」を経験した人々の支援をするようになった人です。

 

 

そのあたりの、

彼女の経験についても、

この本の中では詳しく語られているのですが

 

 

今回は、

序章の中で、心に残った部分を紹介します。

 

            The very term "miscarriage" 

            implies that the mother did not carry the pregnancy well.

            Some bereaved parents also feel a subtle sense of blame

            in the phrase "lose a pregnancy", 

            as if they somehow misplaced it or were careless.

(Grief Unseen p.18)

(Laura Seftel, 2006)

 

流産は、英語でいうと

miscarriage です。

 

 

著者は、この miscarriage という語が、

暗に母親を非難するニュアンスを含んでいるように感じる、

と言います。

 

 

mis = 誤った、悪い、不適切な。

つまり

「妊娠というものを、適切に運ぶことができなかった」

という語になります。

 

 

母親が不注意だったか、

なにか不適切なことをしたんだ、

という感じを与える言葉になっています。

 

 

でも、

ちがいますよね。

流産は、お母さんのミスではありません!!

 

 

この単語の例のように

言葉は、感情や実態に合わないことが、しばしばあって

 

 

著者は、

言葉と感情の間のギャップを、

アート表現をすることによって橋渡しをすることができる

と,

自分自身の経験から詳しく語っていきます。

 

 

私自身も

アートによって、

はじめて自分の本当の気持ちにアクセスすることができた、

同様の経験をしているので

 

 

  ★「そうだよ、私が感じてたのは、こういうことなの!」

    と、自分で自分に共感できる、アートの力

  ★誰かに本当によりそうためのツールとしてのアート

 

 

ぜひ経験していただきたいなと思っています。

 

 

今回はこのへんで。

また少しずつご紹介しますね。

 

 

    改めて見ると、この本、2006年の出版なんですね。14年も前!

     イギリスでは、

     妊娠ロスを経験した家族への支援も、

     日本とは段違いに手厚いと聞きます。

     詳しくご存知の方があったら、ぜひ教えていただきたいです。

 

 

最後までお読みいただいて、ありがとうございました。

あなたにとって平和な一日でありますように。