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 13年前の「あの日」のまま時が止まった建物を横目に、地図に沿って東日本大震災・原子力災害伝承館へと進んでいく。
 
 最初の方で道に迷ってしまい、タイムロスしてしまったが、目の前に大きな建物が2軒見えてきた。赤い丸で囲ってあるのが東日本大震災・原子力災害伝承館、黄色い丸で囲ってあるのが「双葉町産業交流センター」である。この時点で13時近くになっていたため、まずは双葉町産業交流センター内のフードコートで昼食に「なみえ焼そば」を食べることにした。
 
 伝承館と産業交流センターの手前で再び、「株式会社OVER ALLs」による巨大アートを発見。この作品は「HERE WE ARE!~ヨイショ!~」という名前がついており、江戸時代から受け継がれてきた双葉町の伝統行事「ダルマ市」での一大イベント「巨大ダルマ引き」をモチーフにしたという。「ダルマ市」では無病息災、商売繁盛、家内安全を祈願するという。
 力を合わせて未来に向かって、復興を手繰り寄せる老若男女の手を描いたそうだ。
 
 このアート作品は「常 ~NOrMAl~という名前がついており、福島県相馬市を中心に行われる伝統行事「相馬野馬追」をモチーフにしたという。最初に現地でこのアート作品を見たときは「戦国武将が出陣していく姿を描いていてカッコいいな~」と思っていた。
 野馬追は地域住民の「日常」に溶け込んでいる行事だ。野馬追は地域の安寧と平和を願う思いが込められており、2011年の震災直後も絶やすことなく開催された。そんな「日常」をこのアート作品で描かれており、「過去を取り戻そう」というのが「復興」ではないこと、「常 ~NOrMAl」であること、「当たり前」を続けるということを表現したそうだ。
 
アート作品の詳しい情報はこちらのリンクからご覧下さいm(_ _)m
 
 13時前に双葉町産業交流センターに到着。英語表記の「Futaba Business Incubation and Community Center」の頭文字を取って、「F‐BICC」(エフ・ビック)という愛称が付けられている。双葉町内でも最も早く避難指示が解除された中野地区に、2020年10月にオープンした。貸し会議室や貸事務所のほかに、フードコートやお土産屋さんもある複合施設となっている。また、2023年8月にはファミリーマートもオープンした。
 
 F‐BICCの1階にあるフードコートへ行き、「なみえ焼そば」を扱っているお店「せんだん亭」へ行くことにした。食券でなみえ焼そばの中サイズを注文する。お値段は確か700円くらいだったと記憶している。
 「なみえ焼そば」は双葉町の隣にある「浪江町」のご当地グルメで、極太麺と濃厚ソース、豚肉ともやしだけのシンプルな具材が特徴だ。およそ50年ほど前に、労働者のために食べごたえと腹持ちを良くするために考案されたという。七味唐辛子をふりかけて、いただきま~す!厚切りの豚バラ肉と濃厚なソースが絡んでいてとても美味しかった。
 
 このお店では、浪江町の伝統工芸品である「大堀相馬焼」のお皿で料理が提供される。実はこのお皿には9頭の馬が描かれており、「何事も『馬九行久』(=うまくいく)」という意味が込められている。また、絵馬にも描かれる「左馬」であることから、「右に出る者はいない」=「勝負に強い」とも言われている。
 
 「せんだん亭」ののぼりの写真も撮らせてもらった。「馬九行久」(うまくいく)と掛け合わせた昔の人の知恵と、何百年も続く伝統の凄さを感じた。東日本大震災、原発事故、コロナ禍と苦難が続くが、地域の伝統がいつまでも続いて欲しいと願う。
 
 お腹を満たしたあとは、旅行1日目のメインである「東日本大震災・原子力災害伝承館」へと足を運んだ。ここから内容が重くなっていきます。
 
 それでは次回に続きます!