木曽町の市街地から国道361号を開田高原へ向かい、新地蔵トンネル手前の

上り坂にさしかかる左側に建物がある。この木造建物が本当に素晴らしい。

の経つのをれ、ゆっくりとそばを味わいながら自然のりを満喫して欲しい、

という思いが「時香忘」という店の名前にも込められている。

愛知県出身のオーナーは「昔食べたそばの味が忘れられなくてとうとうそば屋を

始めた。採算や打算を捨て、手間暇惜しまず、ただおいしいそばを打ちたいという

気持でやっている」という。

駐車場から玄関まで木の廊下を歩いていく。アプローチは約70m。

この時間がとても良い。室内も木をふんだんに使っており、特に都会

からのお客さんにはたまらない空間だ。


 

ドアを開けると左手前には、置物など木工作家の作品が展示・販売されている。


左奥にカウンター8席とテーブル4人掛けが2つ、6人掛けが2つある。

また、西側にはベランダがあり、新鮮な空気を吸いながら豊かな緑や清流を

眺めることができる。



この日注文したのは、この店で一番代表的な「粗挽きおやまぼくち蕎麦」

(1,260円)。特注の石臼を使い超粗挽きのそば粉を用いて作る。

つなぎは雄山火口(おやまぼくち)という(幻の)山菜の繊維を使う。いわゆる

山ゴボウの葉っぱである。これと同じようなそばは県内の飯山市富倉地区に

あると聞いたことがある。


 

オーナーは、そば粉とつなぎだけでなく、つゆの原料である茸や昆布、鰹節、

醤油、そして水にまで強いこだわりを持ってやっている。つなぎに小麦粉は

一切使用しない。ワサビは鮫皮で摺りおろす。

しばらくして、オーナーが「さっき打ったそばは、ちょっと打ち方を変えてみたので、

少し硬めだった」「これはサービスです」と言って出してくれたのがこの「夜明け

蕎麦」。1日わずか10食の限定品。

平成18年に木曽と伊那を結ぶ権兵衛トンネルが開通したのを契機に木曽の夜

明けをこの蕎麦で表現した。蕎麦は写真のように背中合わせで色が違う。闇夜

を表現した黒は粗挽き田舎蕎麦、夜明けの白は更科蕎麦。つなぎには0.12%

の葉脈だけを使い、手間をかけて打ったもの。


そば湯は、そばの香りがいっぱい。


その後、焼きそばがきの菓子(840円)を注文。

焼いたそばがきに白ごまソースをかけてある。

有機無農薬で作った紅茶とともにおいしくいただいた。


このほか粗挽き山ぶどう蕎麦や季節限定の粗挽きおろし蕎麦、粗挽き鴨南ばん

蕎麦などがある。

また、予約でそば懐石をやっている。3,570円、5,250円、7,350円のコースがある。

木曽郡内でそば懐石の店は、おそらくここだけではないかと思う。

次回は、このそば懐石の料理の数々を紹介したいと思う。お楽しみに。


住所:木曽町新開8,990番地(地図

アクセス:JR木曽福島駅からバスで約20分

電話:0264-27-6428

営業時間:11:00~16:00 土、日は10:30~17:30 

定休日:火曜日