第25回日本山岳耐久レース(ハセツネcup)②第一関門から第二関門まで | ふむふむのブログ

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旅と山、参加したスポーツイベントなどについてだらだらと綴ります。
2013年から区切り打ちで始めた歩き遍路に関しては必ず綴るようにしています。
備忘録として、だらだら長く書いてしまうことが多いですが、お読みいただけると嬉しいです!

浅間峠から三頭山までの笹尾根が長い。
三頭山の登りになるまでは、緩いアップダウンを繰り返しながら標高を少しずつ上げていく。
走力がある選手は快適に走れる道である。
とりあえず自分は三頭山山頂までは休まず行くを目標に進む。

ポールは体を起こすため、もしくは推進力を得るために使い、ブレーキには使わないよう心がける。

間隔が開いた列となり進んで行く。
登りは歩き、平地と下りは走る。
昨年は行列歩行だったので、昨年よりは速いペースだ。

ナイトトレイルはランプを二つ点けると影が少なくなり凹凸の把握がしやすい。ソロでのナイトトレイルはヘッドランプまたはハンドランプの灯りで前方の進路を確認しつつ、足元にも注意を払わなくてはならず神経を使う。
しかし、列になっていると、前の選手の姿とその人の灯りとで、進むべき方向が周辺視野に入ってくる。
その分足元に集中できるので、前を行く人とペースが合っていればソロで行くより走りやすい。

登りでは何人かをパスしていける。
列の先頭になると、その先数十メートルにまた集団が見え、そこに追くよう頑張る。
その繰り返し。

道脇では座り込んでいたり、寝転んでいる選手の姿を頻繁見かけるようになる。
辛い距離、辛い時間になってきた。

また、浅間峠方面へ戻ってくる選手何名かとすれ違う。
水切れか何かで、浅間峠まで戻り棄権されるのかなぁと思う。

自分も身体にだるさが出てきた。
三頭山の登り開始までは快調に行きたいと思っていたが、昼の暑さで予想より早くバテ始めている。

そしてまた霧が出てきた。
と思った矢先、霧は一気に深まる。
頭のヘッドランプは乱反射し前が見えにくくなる。
頭のランプを消す。

ハンドランプを出し、腹に付けたランプと二つで行こうと思ったが、比較的人が多くいて、他選手の灯りが助けてくれるのでハンドランプは出さずに腹のランプだけで行く。
その方がポールも扱いやすい。

第二関門でランプの電池交換する予定であるが、ヘッドランプ、ハンドランプの電池を節約できれば腹のランプだけの電池交換で済むかもしれない。
時間短縮というよりは、疲れてくると少しでも余計な手間をかけたくなくなる。

そんなにスピードを出して走れないので、腹のランプだけで何とかなる。
カーブや足元がわかりにくい所では腹のランプを手で操作して照射したい所へ向ける。
ポールは二本を片手に持って。

パラパラと雨が降り出す。
森が傘がわりになり、あまり濡れることは無い。
まだ暑いので、雨を浴びて、少し筋肉を冷やしたいと思うがそうもいかなそうだ。

普段の気温での雨なら、体温低下を危惧するだろうが、今日の気温では、動いてさえいればその心配はなさそうだ。

西原峠を過ぎ、槇寄山へ。
少し下ると、いよいよ三頭山への登道が始まる。
結構な斜度の登りが続く。

道が濡れ始める。
滑らぬように慎重に行く。

だるさに加え、息が切れてくる。
立ち止まる選手も多く、嗚咽も聞こえてくる。

皆キツイんだろうな。

何とか山頂まで耐えよう。

ザックの左右の胸ポケットに入れた250mlのソフトフラスクの水とクエン酸飲料は空になった。
ハイドレーションバッグの経口補水液はまだ残っていそうだ。
加えて、まだザックに250mlのソフトフラスク2本が入っているので、おそらく第二関門まで水分は持つだろう。

足の運びが明らかに悪くなってきた。
前回ジェルを補給してから1時間以上経過していた。
疲れてくるとこういった管理も雑になってしまう。
山頂まで粘ると逆にエネルギー切れでバテてしまいそうだ。

登りで足を止めるのは自分にとっては不本意ではあるが、まだまだ先は長い。
足を止め、道の脇に退避する。
ジェルを補給し、ドライマンゴーを食べる。
空になった胸ポケットのソフトフラスクをザックに入れ、ザックか、中身の入ったソフトフラスクを胸ポケットに入れる。
その間に十数名に抜かれる。

アキレス腱を軽く伸ばして再び登る。

少しの休憩だったが、さっきより足がよく動く。
テンポよく登っていける。
先ほど抜かれた何名かを再び追い抜く。
35kmポイントを通過。
このあたりからまたキツくなる。
しっかりと息をして耐える。

石、岩が多い道なので滑らぬように注意。
足の運びを慎重に。

前方から声援が聞こえる。
三頭山避難小屋にいるボランティアの方だろう。
その後少々して三頭山避難小屋着。
もう少しだ。
休んでいる人も何名か居るが、自分はさっき休んだので、このまま先を行く。

ここから少し下るのだが、なかなか走れない。
何とか踏ん張って超スローに走る。
辛さは越えれば、また楽になる時が来るのは分かっている。

最後の階段登り。
息はかなり切れるが、足は再び動いてきた。
このまま山頂まで行こう。

避難小屋から離れ声援は背後からかすかに聞こえる程度となり、やがて聞こえなくなる。
その後少しして、進行方向からかすかな声援が聞こえてくる。
今度は山頂の方々の応援の声のようだ。

あと少し、息をしっかり吐いて登る。

そしてようやく三頭山山頂。
標高1527m、36.3km地点である。
コース上の最高地点であり、距離的にはほぼ中間地点である。

スタートから7時間34分が経過している。
おおよそ三頭山までの倍がゴールタイムと言われる。
自分は去年のレースでは、三頭山以降の方がかなり早かった。
スタートが後方からとなる者は、前半にはまる渋滞の影響が大きいからだろう。
過去の試走においては、コース後半にコースから少々外れたところに行って水を補給したり、休憩したりする事が多くあったが、それでも前半と後半ほぼ同タイム、もしくは後半の方が若干早かった。
それを加味すると、恐らく何とか15時間切りは可能と思われる。
が、一応ここまでの目標タイムは7時間30 分以内(サブ15でゴールできる可能性が高いタイム)としていたのでわずかに遅れてしまった。 
いつになく、登りバテしまったことが影響してしまったようだ。

平たい岩に腰掛け、小休憩。
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切れた息をしっかり整える。

息切れとだるさはあるが、足自体のダメージはそれほどでもなさそうだ。

ジェルを補給。
経口補水液を飲む。
水分の残りははトータルで1リットル弱。

第二関門までは約6km。
間違いなく水分は持つ。
一安心。

ここからは長い下りになるので、足元をしっかり照らしておきたい。
ハンドランプを準備する。

さぁ出発。
三頭山から鞘口峠へと下る。
「急なので気をつけてください」
とボランティアの方が、声をかけ送り出してくれる。

下りでポールを使うと足への負担は軽減するが、逆にスピードを落としてしまう原因となる。
まだ筋力的な余力はある。
片手にハンドランプを持ち、もう片手にポールを二本まとめて持つ。
基本はポールには頼らずに下り、カーブなどのきっかけに軽く付く程度で降りて行く。

ガスが晴れたら、ハンドランプはやめて頭と腹のランプに切り替えよう。
しかし、奥多摩湖周辺も霧が出やすいのエリアなので、暫くは霧が続くかもしれない。

急な下り、かつ雨で道が滑る。
慎重に、しかしあまりスピードは殺さずに降りる。

間隔があまり開かずに選手がいるため、ガスっていながらも、その灯りでおおよその進行方向が把握できる。
しかし、一瞬の足元の不注意で横に張り出した木の根に右すねをぶつけてしまう。
痛い…。
しばらく痛みに耐えながら下っていく。
だんだん痛みは弱くなってくる。
しかし打撲の痛みとともにヒリヒリしたような、皮膚が傷ついたような痛みを感じる。
出血しちゃってるかな。
第二関門で確認しよう。

前に選手がいるものの、分岐の多いエリア、道間違いをしないよう気をつけて下る。
知った道ゆえ、多少の安心感はある。

声援の声が聞こえる。
鞘口峠が近い。

ポイントとなる場所ではボランティアの方が大きな声で場所(地名)を叫んでくれつつ、選手を励ましてくれる。
その声が聞こえてくると、山頂なり峠なり、ポイントとなる場所が近い事が分かる。
ありがたい。

鞘口峠からは登りなるので、登るための心の準備をする。

ボランティアの方々の声援を受け鞘口峠を通り過ぎる。

下りで足がガクガクしてきたところだったので、登りで使う筋肉が変わる分、足への負担は少なくなる。
一方、心肺はキツくなる。
大きく息をしながら登る。

霧は相変わらず深く、ハンドランプは手放せない。
指の股にハンドランプを挟み両手ポールを持って登ったり、ハンドランプを持った手を大腿に置き、もう片方の手に持った二本のポールを突いたり、そんな感じで登っていく。

登り切ると、下り基調の道となる。
車道に出る場所まで来ると第二関門は近い。
車道はまだかなぁと思いながら進む。
思った以上に車道までが遠かった。

突然車道の標識が目に飛び込む。
ようやくここまで来た。

車道、トレイル、車道、トレイルと繰り返し、少し登って月夜見山。

あとは下って車道を少し行けば第二関門の月夜見第二駐車場だ。

緩い下りから、急な下りになる。

道案内をするボランティアの方の声が聞こえる。
車道は近い。

トレイルを下り切りる。
車道に出たら右へ行ってくださいと案内される。

車道を少し走ると霧の向こうに関門の明かりがぼんやりと浮かんで見える。

もう少しだ。

第二関門の月夜見第二駐車場着。
42km地点だ。
時間は8時間49分。
順位は556位(
この時点で、自身では順位は分かっておりませんが、第一関門から220位アップした)。

水分提供のテントやトイレ、休憩用ブルーシートが敷いてあり、照明も明るい。
大自然の中のオアシスというべきか、大自然の中に突然現れる文明というべきか。
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ブルーシートに座り、先程ぶつけた右すねの状態を確認。
ゲイターに穴はあいていないことを確認。
ゲイターを下ろしてみる。
3cm程度表皮だけが切れ、わずかに浸出液が出ている。
幸い出血はしていない。
傷の周りが充血し少し腫れている。
軽度の打撲と裂傷、処置するほどではないし、レースに影響するほどでもない。
ゲイターをしていなかったら深く大きな傷になっていたかもしれない。
筋肉の保護に加え、外傷軽減も目的としてゲイターを装着していたのでよかった。

ハイドレーションパックの経口補水液を飲む。
残っていた約100mlを飲み干す。
ソフトフラスクに内の水とクエン酸飲料の残量は合わせて250ml程度。
余裕を持って2.5リットルを装備したが、残りは250ml、2250mlを消費したことになる。
やはり暑さが影響し、自分にしてはかなり飲んだ。

空になったハイドレーションパックをザックから引き抜き、250mlの空になったソフトフラスクを二本持ち補給テントへ。
ハイドレーションパックにはポカリを1リットル入れてもらい、二本のソフトフラスクには水を入れてもらう。
これで残っている水分と合わせて1750mlとなる。
距離的には半分以上来ており、かつ夜間は冷えて水分摂取が少なくなるので、ここまでの摂取量と同量の水分があればゴールまでは十分に持つ計算である。
ここまでで2250mlを消費し、1750mlを装備している。
ゴールまで持つか、量的にはギリギリといったところだ。
御岳山手前のコース上に補給が認められた水場があるので、そこでもう一度補充してもいいだろう。

ブルーシートに戻り、ハイドレーションパックをザックに取り付け、腹に付けたランプの電池交換をする。

隣に座った方と少し話しをする。
水切れになったそうで、途中一度座り込んで休んでいたら身体が冷えてしまいそれから身体が動かなくなった。
脱水になると、ジェルするら気持ち悪くて受け付けない、食欲がわかないとのこと。
反対側の隣に座った方は水がギリギリでヒヤヒヤだったと。

今年はやはり、暑さとそれによる水分不足で苦しむ人が多いようだ。

ジェルとドライマンゴーを補給。
がっつりと固形物を食べたいとは思えないが、空腹感はある。
少しの運動ですぐに食欲減退していた昔と比べれば、内蔵も強くなってきている。

ザックのポケットに入れたジェルのゴミを袋に詰め込みザックの中へ。
ザックの中に入れてあるジェルを、取り出しやすいようにザックとランパンのポケットに入れる。

しばらく座っているが一向に体は冷えて来ない。
スタート時からアームカバーを付けているが、手首に手繰ったままで一度も腕までは被せていない。
結局、夜明け前の一番気温が下がる時間でも使用しないで行けてしまいそうな気がする。

トイレに行きストレッチをして出発。

(つづく)