*** システム管理 ***
めでたく全社LANになったY社。
例えば、現在の私が新しいコールセンターの仕事が決まったとしよう。
書類手続きの後、早ければその場で、遅ければ一週間ほどしてIDカードが手渡され、それを使えばセンター内に自由に入室できるようになる。
同時にID番号を教えられ、それで端末機器が使えるようになる。
この一連の手続きは一般にはシステム部門が行う仕事である。
このようにシステムはハードウェア的に機器を入れて、ソフトウェア的に完成したからと言ってもそれで終わりではない。
”運用”する仕事というものがあるのだ。
Y社もファイルやプリンターの共有ができてインターネット接続も簡単になったが、それを誰が管理するの?という事まで考えていなかった。
これはもう「時代だから仕方ない」という言い訳は通用しない。
ファイルサーバーはファイルのたまり場になってしまい、不要なファイルまで消さないでおくのであっと言う間に容量が足りなくなる。
インターネットで制限をかけなければ、これ幸い業務に関係ないサイトまで見て1日が終わる社員まで出る有様。
まだネットショッピングというものはなかったので、もっぱらアダルト系を見ている管理職が多かったが…
構築後は誰が管理するのかを入れた稟議書なり提案書なりを作って決裁するのが普通だが、対費用効果しか考えられない社長はともかく、提案した総務部長はそこが抜けてしまった責任をもって管理しなければならない。
それができないし、そこまで考えが及ばなかったというのが事実だろう。
サーバーが容量オーバーになれば不具合が出る、ご存じのようにアダルトサイトには罠がいっぱいあり、ウィルスも入りやすい。
個人で使っているPCが悪さされるのは時に笑い話で済む場合もあるが、会社のLANにスパイウェアが入ろうものなら信用問題だ。
まだ、個人情報云々の問題が出てくる時代ではないにしろ、情報漏洩の事実が発覚すれば取引停止もある。
そこで私に内線がかかってくる。
「何かおかしいんですけど…」
「(全社LANの)担当は総務部長だよ」
「そうですよね。でもあの人に言っても解決しないでしょう」
またこれだよ。
と思いつつサーバーをカチャカチャと操作する。
LAN上で
「不要ファイルと思われるものを”要らないフォルダー”に入れたので必要なら今週末までに自部署フォルダーに移してね。残っているものは問答無用で消します。」
とメッセージ出ししてから各部署に行って告知する。
まあ、アナログな活動を並行させなければいけない時代だった
PCが変だと言われば行ってウイルス感染を確認。
「またアダルトサイト見ましたね」
「そんな事するわけないでしょ、オレが…」
LANケーブルを引き抜き、自席に持ち戻る。
まあ、彼はPC使わないでも仕事してないので問題ない(笑)
対策ソフトを使って退治する。
人間、暇だとロクな事をしないな。
私がそうだったように他の部署でも暇人が増えてきたようだ。
まあ、総務部長自らヌード画像をプリントアウトして取り忘れる始末。
業を煮やした私はサーバーを設定してアダルトサイトを見られないように制限する事になる。
そんなこんなで私の履歴書に”サーバー管理、運用”スキルが追加される
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240528/17/fumdas/29/ee/j/o0810108015444536285.jpg?caw=800)