*** 魔法使い ***
上にシステムディスク、下にデータディスクを入れて企画書を作成するのが当たり前だったY社員。
そこにフロッピーを使わない魔法使いが現れる
いや、その魔法も目を吊り上げて勉強して極、最近手に入れたモノなんだけどね(笑)
もはや知らない人の方が多いかも知れないが、黎明期はパソコンと言えばマイクロソフト(MS)のOSを使い、みかん箱大の大きさで高さだけ半分か三分の二にした本体に15インチのテレビ(ブラウン管モニター)がセットになったものを差す。
普及のポイントはそのOSを他のメーカーでも使用できる事にした事でその上で動くアプリケーションソフト(ワープロとか表計算)を開発、発売するソフトメーカーが増えた。
さらにMSが”Windows”OSを開発しマウスを使う事で初心者の壁を取り除き、同じ操作ができるPCが色々なメーカー(Window互換機メーカー)から発売された事によりより安く入手できるようになった。
メディアも“これからは欧米並に(この言葉に日本人弱いな😁)PC使用が不可欠です”と焚きつけるものだから「安くなった事だし、一台買ってみっか」という流れ。
大体がワープロか表計算で活躍していたのだが、これまたMSがワープロ+表計算+アルファのセットで”MSオフィス”を発売し、それが標準化されるようになって現在にいたる。
Windowsにやや遅れてマッキントッシュ(マック)が現れてくる。
これは現在では大人気のiPhoneを出したアップル社が開発、発売したというのを知っている人も少なくなってきたか?
Windowsとは違うモノでなければ勝負にならないのは当然でマックはマウス使用を前提としていた。
iPhoneがそうであるように”マニュアルを見なくても直観で使える”事がウリ。
個人的な意見を言えば、やはりマニュアルを買わなければ使いこなせるモノではないのはiPhoneと同じだと思う。
大きさは一般家庭が買う高崎(でなくても良いんだけど)のだるま大(40×30×20㎝くらい?)で本体とモニターが一体化されていて縦長だった。
ソフトが事務処理用でなく、デザインとか設計方面に充実したものが多く、個人事務所での購入、使用に人気だった。
その後はWindows勢もマックもノートを出したり、同じソフトがどちらのPCでも使えたりと言った展開になって行くのだが、話が長くなるのでここらへんでやめておく。
閑話休題
ともかくY社にあったのはWindowsPCで本体にフロッピーディスクドライブが2つ付いているタイプ。
電源を入れシステムフロッピーを上のスロットに入れてジーコジーコ読ませる。
「えーと、あれはどこに入れたっけ?」
ファイリングケースから書類を探し出すように、データフロッピーの入っているケースをガチャガチャかき回して探し出しそれを下のスロットの入れて読み込ませる。
今や化石と化したフロッピーディスクを使用するのが正しい使い方で、電源を入れて画面上の選択肢をいくつか押すだけでソフトが立ち上がり、データを読み込み、昨日の作業の続きが画面に出てくるという事がいかに不思議な事か
時間と手間が何と短縮されるか
当時としては本当に画期的な発明(笑)だったのだ。
若くて活気のあるY社。
噂が流れるのも早い
PCと格闘し、データが消えるとかフロッピーが壊れ、昨日までの作業が消えてしまったとか何度も苦い思いをしてきた社員が聞きつけて、私に相談話を持ち込む事が多くなるのもあっと言う間だった。
「そろそろリース切れだから新しい機械を入れるんだけど…」
「過去の企画書データをすぐ出せるようにしたいんだけど…」
そんな中でいち早く私を呼んだのは営業管理の仕事をしている部長だった。
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