*** にんじん ***
私が入った会社はよろず代理業の会社。
我が代理店(Y社としよう)の仕事はまず営業のアポ電話から始まる。
でもって上手くアポ取りができたら
「業績アップのために販売促進のお手伝いしますよ」
と言う。
顧客(クライアント)の担当者、たまたまそれについて考えていたので
「じゃあ、何か提案してよ」
という事になる。
それを会社に持ち帰ってからが我が部署の仕事になるというわけだ。
既述のように電波媒体はもたないので、販売促進策(=にんじん)はそれ以外の提案となるわけだが、Y社でできる事と言えばイベントをやるか旅行をやるかあるいは商品をやるかどれかだ。
どのにんじんをぶら下げるかはクライアントによるのは言うまでもない。
最終的にはY社で作った企画書を持って行ってクライアントに提案する(プレゼンテーション)するというのが“業界”の流れ。
ちなみに大企業である電通あたりは専用ルームを持っていてそこにクライアントを招き、大スクリーンにプロジェクターで。でかでかと写しだすわけだ。
馴れていない人はそれだけで
「ここにしておけば間違いない」
と思ってしまう。
閑話休題
Y社にはそんな大それたモンはないが、イベント企画・実施担当部署、旅行企画・実施担当部署、商品企画・実施担当部署があった。
クライアントの希望、予算に合わせて今回は旅行で行こうということになったらどこどこに何日の予定でいくらいくらですよという企画書を出す。
その前書きに
”今の時代、商品を売るためににはセールスマンに頑張ってもらいましょう。そのために今回はセールスコンテストをしてトップ100人を沖縄に連れて行きましょう”
と書くのが私の部署。
”では具体的にコンテスト期間は~”
と作るのが旅行担当部署の人間というわけ。
なかなか面白い仕事ではある。
さらに提案がイベントともなると、予算次第で著名人を呼ぶ事もあるのでさらに面白くなる
そんなわけで旅行部署には旅行のプロ(旅行業務取扱管理者)がいるし、イベント部署の人間は運営時にいつでもプロデューサーやディレクターになれる人間が企画書を作っている。
こういう人たちが面白くないわけがない。