はじめて訪れたアラブ世界の印象は、
「濃い」という一言につきる。
照りつける太陽と熱風、
腹が立つほど青々しい空、
朝五時から鳴り響くアザーン
(イスラーム教のお祈り、
お経をスピーカーから大音量で流しているイメージ)、
脂ぎったアラブ人と強烈な体臭、
すべてが強烈で容赦ない。
ヨルダンの国境を越えてイスラエルに入る辺りで、
顔はかわいくても態度はかわいくないイスラエル人の女性兵士は、
いくらお世辞を言っても クスリともしない。
同行した友人は行方不明になる。
前途困難な旅を早くも感じさせる幕開けだった。