マイナンバーカード(2)~いわゆる先進7か国では日本だけ | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

マイナンバーカード(2)~いわゆる先進7か国では日本だけ

 

☆マイナンバーは義務、カードは任意?!

いわゆるマイナンバー法にあるマイナンバーはすべての国民には法的義務として付番されています。一方、マイナンバーカードは任意です。

 

先の予算決算常任委員会総務分科会のご答弁では「マイナンバーは義務、マイナンバーカードは任意、しかし何故か、任意である理由については国からは説明がない」とのことでした。

 

これまで、マイナ保険証に一本化することには多くの問題やリスクがあるといわれてきました。

 

にもかかわらず、マイナ保険証に優遇制度を設けていることです。これは明らかに法的にも問題があり差別です。

 

☆災害時、役に立たなかったマイナ保険証

「災害時の通信障害時に対応できない」ことです。能登半島地震では、長期的な停電が続き、デジタル機器が使えない状況になったことが問題になりました。

 

そもそもマイナ保険証とは、病院の機械でマイナンバーなどが病院に通知される仕組みになっています。

 

マイナ保険証には保険証番号は記載されていませんから、災害時における停電などでは機械が動かない場合に確認することは不可能なことは当然であります。致命的な問題点と言っても過言ではありません。

 

☆通信障害に対応できないマイナ保険証

政府は「災害時は保険証がなくても特別に無料受診できるようにするから大丈夫」と答えていました。しかし災害時でなくとも、「通信障害」や「機器の不具合」は発生します。その際にはマイナ保険証が利用できなくなります。

 

これは命と健康にかかわる重大な問題ではないでしょうか。

 

☆保有率は59%、病院等に使用率11%

9月26日の読売新聞の社説にはこのようなことが書かれていました。「マイナ保険証の保有者は、今年7月時点で国民の59%に上っている。

 

だが、病院や薬局での利用率は11%にとどまっている。マイナ保険証を巡っては昨年、他人の個人情報がひも付けられるトラブルが頻発した。

 

そうした問題は解消されたが、今も通信エラーで本人確認ができず、患者がいったん医療費を全額請求された、といった報告は後を絶たない」と、この制度に強い疑念を呈しています。

 

勿論、このような指摘は讀賣新聞だけではありません。

 

☆いわゆる先進7か国では日本だけ

ここ数年、日本は行政のデジタル化が遅れている、世界水準に乗り遅れまいと、マイナ保険証に一本化するべきだという考え方があります。

 

しかし、マイナンバーカードのような国民ID(身分証明書)と、健康保険証を一体化させている国は、先進7カ国と言われているG7では日本だけと言われています。

 

DX先進国と言われて久しいお隣の韓国では、日本のマイナンバーカードと同様に一体化された「住民登録カード」が幅広い分野で利用されているそうです。

 

しかし日本にはあまり伝わってきませんが、カードを紛失するトラブルが日常的に相次いでいるとのことです。

 

2年前に日本で発刊された『韓国 超ネット社会の闇』の著者でジャーナリストの「金敬哲」(キム キョンチョル)氏によると、韓国における17歳以上の国民の約40%が、10年間のうちに、1回はカードを紛失しているそうです。

 

再発行件数は10年間で、何と1,650万件に上り、1,000億ウォン(約105億円)もの費用がかかっていたことが判明しました。 

 

こうした問題を受け、イギリスがマイナンバーカードを廃止したように韓国でも今「住民登録カード」の廃止に向けた議論が高まっているようです。

 

☆マイナ運転免許証は両用OK!

一方、日本は来春、運転免許証とマイナンバーカードを一体化させた「マイナ免許証」の運用を始めるようです。この免許証は現行の免許証との併用を認める方針です。

 

このような手法であるならば、マイナ保険証と現行の保険証の併用も十分可能ではないのかと思います。

 

手続き上においては勿論のこと、財政的にも、リスクの面でも、任意であることを考えても、現行の健康保険証とマイナ保険証を両立させることは誰にとっても困ることはありません。極めて理にかなっていると考えます。

 

☆「断らない窓口」になっていただきたい!

今、デジタル庁は自治体窓口DX「書かないワンストップ窓口」を掲げて行かない窓口、書かない窓口を盛んに喧伝(けんでん)しています。

 

笑顔や言葉を交わすことなく、また人と面談することに背を向けていくような窓口、多くの市民はそんな乾いた行政を望んでいません。

 

「行かない窓口」「書かない窓口」ではなくて、断らない窓口「Face to Face」で市民に寄り添うような窓口になっていくことを望みます。(終)

 

☆東京新聞2024年9月7日

https://www.tokyo-np.co.jp/article/352479