秦野市議会~ハラスメント防止研修会 | 地方政治の未来を創る 秦野市議会議員  古木勝久

秦野市議会~ハラスメント防止研修会

本日は、株式会社 人財開発研究所の北澤清孝氏をお迎えして、市議会議員を対象にハラスメント防止に関する研修を受けました。

 

セクハラからパワハラなど幅広い事例が紹介され、大変有意義な研修会でした。


☆1つだけ質問をしました
古木からの質問

「パワーハラスメントは受けた側の感じ方だとする考え方があるようですが、パワーハラスメントかどうかの判断は受けた側に委ねられるものなのでしょうか?」
 

北澤氏からのご回答
「皆さんがよく勘違いされるところです。セクハラとパワハラは異なります。セクハラの場合は、受け手側の感じ方が重要視されます。」

 

この法律において①優越的な関係を背景とした言動であって②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより③労働者の就業環境が害されるものであり、客観的に①から③までの3つの要素が、全て満たしていなければなりません」

 

つまり、パワーハラスメントでは、関係法(「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」、いわゆる労働施策総合推進法ですが、これはそもそも、雇用関係を前提にしています。

 

 

簡単に言えば、パワハラの認定には相当の専門性が求められ、知見なく、軽々に断定できるものではないことは想像に難くありません。

 

いわゆる「パワハラ防止法」はまだまだ認知度が低く、誤解されている部分が多くあると言われています。ちなみに2020年(令和2年)6月1日から施行、中小企業に対しては2022年(令和4年)4月1日から施行されました。


他の議員の質問では、現在進行中の「本市の政倫審の取り組みは、議会の質問権や調査権等の抑止に繋がるのではないかという一部の議員の考え方がある」~この考え方について、北澤清孝氏にご見解を求めていました。

 

別の専門領域になるということで、特段のご回答はありませんでした。つまり、このことについては、一般的なパワハラと、同列視した議論にはならないという、ご見解だったと受けとめました。


☆過去の本会議での出来事から
数年前の話で恐縮です。ある議員の「討論」終了後、休憩に入った時でした。ある部長が「場外」にて「事実と違うぞ!」と、突き上げるような声を上げられました。

 

今も、あの時の「叫び」が耳に残って離れません。

 

件(くだん)の議員の事実誤認でした。午後、再開後、きわめて異例とも言うべき「釈明討論」がありました。

 

直近の出来事では、部長を怒鳴りつけ高声(たかごえ)を上げた議場が最も印象的でした。あんなにも威圧的とも取れるような高声を上げて叱責する必要があったのかどうか疑問です。

 

いずれの事案も議員と職員間で発生したことですが、これらがパワーハラスメントに該当するかどうかは曖昧のままになっています。


☆一般質問等の事前の調整について
研修会では執務時間外の話がありました。

 

昨年11月1日、高橋市長から一般質問等の事前の調整にかかる時間は「午前8時30分~午後5時15分以内」にしてほしい旨の依頼がありました。

 

このことについては、客観的に冷静に考えてみる必要があります。

 

一般質問等などの事前の調整において、議員は執行部から日程を指定されない限り、時間外や昼休み中に職員に電話などしないと思います。

 

夜間の勤務時間外に職員から呼び出されることはあっても、夜、夜中に市役所や職員に電話をするようなことなどは絶対に考えにくい話です。

 

つまり、おおかたの議員はメールでも電話でも、「答弁」を得たいがために執行部の皆さんの都合や事情に引っ張られているのが実態ではないでしょうか。

 

☆「優越的な関係」について

研修会では北澤清孝氏から、一般的には議員と職員間の立ち位置では市民から選ばれたのであるから、議員には「優越的な関係」があります、しかし労働施策総合推進法でいう雇用関係にあるわけではありません。

 

いずれにしても、時間外勤務の対応をはじめあらゆる行政情報の入手など、何事においても、議員は行政に対しては、受け身であることが知られていません。

 

一般論ですが議員は「センセイ 先生」と持ち上げられながら、あたかも「優越的な関係」があるかのように言われますが、その法的根拠はどこにも存在しません。

 

この問題は、労働施策総合推進法だけではなく地方自治法や地方公務員法などを含めて考えなければならないと思います。


☆パワーハラスメントは申請主義なのか?!
巷(ちまた)で聞く話として「パワハラを受けた」という「申請」を「勇気ある行為」というような捉え方があるようです。

 

逆から見ると言われた側は、一方的に「犯罪者扱い」されます。「冤罪被害」を生み、「イジメ」の構造以上に、裁判に発展するような可能性が出てきます。

 

取り組み方によっては重大な人権侵害に繋がってしまいます。


また「これはハラスメントであって、あれはハラスメントではない」という勝手な素人の認定(判断)では感情操作となりやすく、その時の都合で判断される危険性もあります。

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今日の研修会で理解できたことは、調査や質問等の機能を持つ議会と執行部の関係性では、一般企業にあるハラスメントとは異なる部分と、共通する部分が浮き彫りになりました。

 

つまり議員の暴力的な行為や差別的な発言、横柄で威圧感をもった声高(こわだか)な態度、姿勢は許されない行為であり、パワーハラスメントに相当するでしょう。

 

一方、議会の機能や民主主義の根幹に関わる質問権や調査権などの在り方は、北澤清孝氏の言葉を借りれば、極めて専門性の高い視点に立って、労働関係法(労働施策総合推進法)などに、慎重に対処しなければならいと痛感したところであります。

 

最後になりましたが、機をとらえたこういった研修会を準備していただいた、秦野市議会議会局には改めて感謝申し上げます。